カレントアウェアネス
No.357 2023年9月20日
CA2050
研究文献レビュー
日本の公立図書館における経営形態:2016年以降の動向を中心に
筑波大学人間総合科学学術院人間総合科学研究群情報学学位プログラム:菅野裕樹(すげのゆうき), 山岸素子(やまぎしもとこ)
筑波大学情報学群知識情報・図書館学類:照井ひなた(てるいひなた), 鐵見咲希(てつみさき), 星 愛美(ほしまなみ), 梅木雄飛(うめきゆうと), 百花 葵(ひゃっかあおい)
筑波大学図書館情報メディア系:小泉公乃(こいずみ まさのり)
1. いま公立図書館の経営形態を考える意義
先行する研究文献レビュー(CA1589、CA1714、CA1878参照)以降、公立図書館の経営形態の議論に新たな展開が生じてきている。図書館の理念や存在意義に直接影響する教育委員会から首長部局への移管や、拡張・多様化する異なる館種の融合などである。これらは公立図書館にとって指定管理者制度による民営化の流れに続く大きな変革となって、図書館員の専門性にも影響を与えている。
本稿では、公立図書館の経営形態とそれに関連する図書館員の専門性に注目し、2016年5月以降の文献を対象に、幅広くレビューする。主として、(1)図書館政策と制度、(2)公立図書館の複合化と組織・サービスの融合的な連携、(3)デジタルトランスフォーメーション(DX)の組織形態への影響(コロナ禍・コロナ後)という論点を設けている。本稿は、筑波大学の図書館・公共経営研究室(研究室代表、小泉公乃)によって執筆するものである。
2. 公立図書館における政策と制度
2.1 公立図書館における政策と制度の動向
公立図書館の経営形態に最も強く影響を与えるのは国の政策や制度である。2019年6月7日、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(以下「第9次地方分権一括法」)が公布・施行され、地方公共団体は条例により、公立の社会教育施設の所管を教育委員会から地方公共団体の長へ移すことが可能になった(1)。このとき改正された「図書館法」の条文は、第8条、第13条、第15条である。この他に、同法の成立と特に関わる重要な条文として、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の第23条と第33条及び「社会教育法」の第8条が挙げられる。これまでも、地方自治法において事務委任及び補助執行制度が定められており、教育委員会と首長部局が連携して社会教育施設の事務を行うことは可能であったが、この第9次地方分権一括法では、首長の責任のもとで社会教育施設の設置および管理等の事務が実施可能とされた(E2192参照)。その目的は、「観光・地域振興分野やまちづくり分野を担う首長部局で一体的に所管できるようになり、社会教育のさらなる振興はもとより、文化・観光振興や地域コミュニティの持続的発展等に資する」こととされている(2)。この変化は公立図書館の理念・目的や存在意義に甚大な影響を与え、結果的に経営形態や図書館員の専門性にも大きな変化をもたらした。
また、2017年5月には、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」が公布され、2020年4月に会計年度任用職員制度が導入された。改正法によって特別職の職種が整理され、特別職非常勤職員の職として設定されていた図書館職員は会計年度任用職員に移行することとなった(3)(4)。
指定管理者制度導入の可否の議論は依然として続いている。公立図書館における同制度の導入率は他の社会教育施設や公の施設全体と比べて低い状況にあり(5)(6)(7)、2018年度以降は新たな導入は鈍化している(8)。桑原芳哉は多くの自治体が図書館への指定管理者制度の導入を見送っている背景として、本制度の導入に対する住民の反対運動や批判を避けたいという「消極的直営維持」という判断があるとしている(9)。
公立図書館の経営形態やそれに関連する図書館員の専門性に間接的に影響を与えるものとしては、「公共施設等総合管理計画」がある。総務省は、2014年から2022年にかけて、三度「公共施設等総合管理計画策定にあたっての指針」を出し、公共施設の全体的な状況を把握し、長期的な視点をもって計画的に更新・統廃合・長寿命化を行うことによって、財政負担の軽減・平準化、公共施設の適切な配置を実現することが必要だとした(10)(11)(12)。この背景には、人口減による公共施設の利用状況や需要の変化、建物の老朽化、自治体の財政難や自治体の合併後における施設再編の難航等がある。本計画の影響もあり、新館建設時における複合化の割合が増加している(CA2034参照)。
他にも新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金についても触れる必要がある。この活用事例の中に「図書館パワーアップ事業」(13)が含まれるが、これについては小泉公乃(2020)が詳しい(CA2003参照)。地方創生図鑑(14)のウェブサイトでは電子図書館の導入といった各自治体の事業を確認することができた(2023年3月閉鎖)。電子出版制作・流通協議会が2021年8月に公表した調査結果では、105の自治体が令和2(2020)年度新型コロナウイルス臨時交付金を電子図書館の導入等に活用していると推計されている(15)。電子図書館事業導入の発端がコロナ禍での新しいサービスという場合もあったが、現在はDXの流れの中でその重要性が増し、経営形態にも影響を与えるようになっている。
2.2 第9次地方分権一括法(図書館の首長部局移管)
第9次地方分権一括法(16)に基づいて、数多くの地方公共団体が公立図書館の所管を教育委員会から首長部局へ移管してきた(17)。具体的な事例としては、2022年4月から知事部局に移管され、同年7月に開館した石川県立図書館(18)(E2540参照)や、自治体の総合計画を一体的かつ円滑に推進するために移管された綾瀬市図書館(神奈川県)等がある(19)。学校教育部門の改善のために社会教育部門を教育委員会から市長部局へ移管した兵庫県神戸市のような事例もみられる(20)。また、法改正を受けて、補助執行から正式に首長部局へ移管された事例としては、神奈川県大和市や島根県出雲市、岩手県大船渡市等が挙げられる(21)(22)(23)(24)。
こうした事例にあるように、首長部局への移管は主に地域活性化の文脈で公立図書館を観光や地域振興の資源として扱おうとするものが多い。これに関連し図書館問題研究会(図問研)は、「知る自由」を守るという図書館の重要な役割が阻害されかねないことや、観光・地域振興の名のもとで社会教育施設における個人の学びが後退する可能性があると論じており(25)、図書館友の会全国連絡会も改正内容に反対する要望書を公開している(26)。日本図書館協会(JLA)の講演で、松岡要は、同改正について自治体の財政難を背景とする公共施設の複合化と民間委託の流れを後押しする意図の存在を指摘している(27)。
国際的にも図書館を街の中心に据えて文化の創造を目指す動きがみられるが、その背景には移民等によって人口流動性が高まった地域社会を文化によって再構築しようとする文化政策がある。本制度の導入を検討する際には、観光による地域振興という商業的な視点に限定されていないか注意する必要がある。
2.3 会計年度任用職員制度
総務省は、2020年に会計年度任用職員について調査を行っている。それによると2020年4月1日時点で、同制度によって雇用された図書館職員は1万8,185人(うちパートタイム1万6,941人)である(28)。
山縣宏寿は、次年度の再任用が必ずしも保障されるわけではない同制度の運用の在り方を問題視し、職員の生活の安定性に与える影響や、専門性を有する職員の人的資本の形成と有効活用の点について検討が必要であるとしている(29)。JLAと図問研は、本制度の運用に対する提言をそれぞれ発表し、制度の趣旨に沿った実施、雇用の安定と待遇の改善、条例や規則の改正を含む制度の改革を各自治体に求めている(30)(31)。
2.4 指定管理者制度、PFI、PPP等に関する議論
指定管理者制度については、2016年以降も、短い指定期間と職員雇用の不安定さや、指定管理者が図書館政策の策定や決定に関われないことといった制度上の問題を指摘する否定的な意見が多くみられる(32)(33)(34)(35)(36)(37)。他の主要な論点として、サービス水準の向上や経費の削減等も取り上げられている(38)(39)(40)(41)。指定管理から直営に戻した守谷中央図書館(茨城県)や下関市立中央図書館(山口県)の事例もある。直営に移行した理由には、人件費の抑制やサービスの充実が困難であるといった指定管理者による管理・運営体制への懸念(42)(43)や、指定管理期間満了後の次期指定管理者の公募に対して応募事業者がなかったこと等が挙げられる(44)。田井郁久雄は、指定管理者の導入によってサービスが向上したかについて、年間の貸出数を指標として検証した。この調査によると指定管理者制度を導入した図書館には、導入後の貸出数が伸び悩んだ事例や、委託料や新しい設備の導入等で経費がかえって増加した事例があるとしている(45)。
その他に糸賀雅児(46)は、公共図書館の経営特性と目標に対して、それに適合した経営方法を事前に照らした場合、指定管理者制度は図書館に「なじまない」ものであるとしている。それにも関わらず、多くの公共図書館には指定管理者制度を「なじませるよう作用する経営風土」が残っていると指摘する。また、委託化や指定管理者制度を導入してから事後に評価だけするのではなく、ステークホルダーとの合意形成や市民との協働を含んだ全体的なアプローチであるパブリックガバナンスの重要性を主張している。
さらに、雇用の継続性や労働条件に問題があることも依然として指摘されている。田中伸樹は、「確実に再指定されるかわからない」という職員の雇用不安や、安く請け負うための人件費削減について指摘している。この問題への対処として契約条件に労働法規の順守を求めること、選定時において労働条件を評価対象に含め比重を高めること、公契約条例を制定すること等を挙げている(47)。
その一方で、指定管理者制度が直営に劣っているわけではなく、その可能性にも着目して総合的に判断すべきという意見もみられる(48)(49)(50)(51)。湯浅俊彦は、指定管理者制度のもと、電子書籍を活用した障害者サービスとレファレンスサービスを導入した図書館の事例を紹介し、指定管理者が新たな利用者サービスを推進していると結論づけたうえで、指定管理者制度を有効活用し、利用者主体の図書館をつくることが大切であると述べている(52)(53)。
これらの指定管理者制度の議論を凝縮したような事例として、武雄市図書館(佐賀県)を巡る数多くの論考がある。同館では指定管理者制度導入前に25.5万人だった来館者数が、リニューアル後は1年間で92.3万人に増加し、それまで図書館に関心のなかった利用者層へのアピールに成功したとされる(54)が、同時に多くの批判が寄せられてきた(55)。永利和則は、同館ではにぎわい創出という地域活性化の新たな価値を生むことに成功したが、市民の読書活動推進には力を発揮できず、図書館の社会教育施設としての機能が弱体化していると指摘する(56)(57)。武雄市図書館の指定管理者制度の導入事例は、図書館による地域活性化という新たな可能性を拓くと同時に、地域の知識の拠点としての図書館の役割を再考していく必要性も浮かび上がらせている。
民間資金の活用や官民の協力によって公共施設の整備やその運営を行うPFI(Private Finance Initiative)とPPP(Public Private Partnership)については、2016年以降も導入件数が限られていた。文献で主に取り上げられた事例として、PFIについては、岡田知之が安城市中心市街地拠点施設アンフォーレ(愛知県)の事例を詳しく紹介している(58)(59)。また、桑原芳哉がリブリオ行橋(福岡県)の事例について触れている(60)。PPPについては、猪谷千香が紫波町オガールプラザ(岩手県)を成功事例として詳しく説明している(61)。
2.5 公共施設等総合管理計画
松本直樹は、自治体の公共施設等総合管理計画における図書館と公民館の対応を調査し、図書館は長寿命化や民間委託等によって現用の施設が維持される傾向にあることを解明した。加えて施設の統廃合や縮減についての計画策定に際して住民との合意形成を行う重要性を強調している(62)。また、公共施設等総合管理計画と公立図書館の施設整備についての動向レビュー(CA2034参照)もある。公共施設等総合管理計画は図書館の複合化にも影響し、これが公立図書館の経営形態と図書館員の専門性に大きな影響を与えている。
3. 公立図書館の複合化と組織・サービスの融合的な連携
2021年度に文部科学省が実施した社会教育調査によれば、公立図書館3,394館のうち複合館が2,302館と、複合館の割合が過半数を占めていた(63)。また、新設あるいは新築された図書館のうち複合館が占める割合は、1980年代後半に50%を超え、2000年代には70%、2010年代には約80%まで増加している(64)(65)(66)。桑原芳哉は、その背景に中心市街地の空洞化があると分析する。幅広い層に向けた集客力があり、安定した人数の利用が見込める公立図書館を複合施設に導入し、中心市街地の活性化を狙う事例が目立つと述べている(67)。
公立図書館の複合化には地域経営という自治体行政との関係や、公共施設等総合管理計画による制約等、多様な要素が含まれている。そしてこれは、公立図書館と異なる館種の図書館や他の公共施設、民間施設との複合化を通して、異なる組織間での統合や融合(ハイブリディゼーション、交雑)につながり、公立図書館の経営形態や図書館員の専門性に影響を与える(CA1878参照)。
3.1 複合の形と複合施設の種類
主な複合化の型として常世田良は、(1)異種の図書館同士、(2)公立図書館と生涯学習関連施設、(3)公立図書館と行政機関、(4)公立図書館と民間施設、(5)公立図書館と商業施設、(6)大学図書館と飲食施設、(7)専門図書館とその他施設の7つを挙げている(68)。公共施設と併設された図書館を対象とした酒井要と大島秀明の分析によれば、併設する施設の機能として最も多いのが「集会・交流」、次いで「ホール」、「庁舎・行政窓口」、「生涯学習」と続く(69)。このように公立図書館のハイブリディゼーションは多岐に及んでいることがわかる。
3.2 複合型図書館のサービス方針
複合型図書館では組織形態や図書館員の専門性の変化と連動してサービス方針も変化しつつある。篠原周太郎らは、複合型図書館のサービス方針について、「地域の集合知の拠点」として、中心市街地における多様な関係主体と協力して施設融合的なサービスを取り入れる傾向があることを明らかにした(70)。東京都小平市仲町の「なかまちテラス」では、10代の若者からなる「なかまちテラスティーンズ委員会」を設立し、公民館のネットワークを生かした運営が行われている(71)。また大阪府吹田市の「吹田市立子育て青少年拠点夢つながり未来館」では、子育て担当部局、青少年担当部局と図書館が連携した運営によって託児サービスを展開し、保護者に読書のための余暇を提供している(72)。このように複合型図書館は、他施設が持つ機能を生かした多機能型サービスを展開している。
3.3 公立図書館同士の複合(県立と市立図書館)
公立図書館同士の複合事例として、オーテピア高知図書館(高知県)とミライon図書館(長崎県)が挙げられる(CA1932、E2231参照)。オーテピア高知図書館は、高知県立図書館と高知市民図書館が合築した複合施設であり、同建物内にはオーテピア高知声と点字の図書館と高知みらい科学館がある。ミライon図書館は、長崎県立長崎図書館と大村市立図書館が複合した図書館である。
これらの複合型図書館が計画された背景には、県立と市立図書館の併存に対する二重行政との批判(73)や、地域の生涯学習や賑わい創出等の図書館に求められる役割の多様化と専門化が挙げられる(74)。また、上岡真土は、オーテピア高知図書館の事例では、統合の際の課題として事前の人事交流がなく、県市の職員で業務の相互理解が進んでいなかったことを指摘する(75)。いずれの事例においても、理念の近い公立図書館同士の統合であり、建物やシステムも同様に統合されている。その一方で、組織は県と市で分かれており、このことが中長期的に図書館サービスへどのような影響をもたらすのか注目される。
3.4 学校図書館との複合
長澤悟は、1990年ごろから生涯学習の文脈で学校と公立図書館の融合がみられ始めたと指摘する。現在もこの組み合わせが数多くみられている。その理由は、いずれの館種も主に地域の子どもたちを対象としていることから、双方の連携を強化して一体的な経営が可能だからだと考えられる。例えば、流山市立おおたかの森小・中学校(千葉県)は、地域の交流センター、こども図書館、学童保育所と複合している(CA1942参照)。
3.5 大学図書館との複合
2021年5月には、国内で初めて国立大学法人が指定管理者として運営する箕面市立船場図書館(大阪府)が開館した。駅前地区の施設整備と指定管理者である大阪大学のキャンパス移転が伴ったこともあり注目を集め、同館の新規登録者数は開館後2か月で1,500人を超えた。市民に向けた大学蔵書貸出数も移転前に比べて4倍に増加した。大学と複合することで、地域の活性化と大学の地域貢献が期待されている(E2115、E2427参照)。
3.6 他の公共施設との複合
塩尻市市民交流センターえんぱーく(長野県)は、公共施設(交流施設及び子育て施設)と連携した複合型図書館のモデルケースである。伊東直登は、複合型図書館には、(1)機能独立型、(2)建築上は独立しつつも業務連携を行う機能連携型、(3)空間と業務両面での一体化を図る機能融合型の3つがあり、えんぱーくは機能融合型であると分析している(76)。そのうえで、図書館側が子どもの賑やかな声を社会的な常識の範囲で認めることで、複合相手の子育て支援センターとの連携が進展し、より多彩なサービスを展開することに成功したと指摘する。伊東直登らが実施した子育て支援センター利用者を対象にした調査では、図書館に対する好意的な意見が多く寄せられた(77)。
様々な機能が有機的に繋がるえんぱーくは、「融合施設」を方針として掲げている。そのために、複合施設全体の管理運営を主業務とする総務課を設置して行政の縦割りをなくし、えんぱーくのボランティア全員が所属する団体も設立した。こうして行政と市民の双方の組織で機能の融合が行われている(78)(79)。
その他に、荒川区立中央図書館(東京都)と文学館、こども広場が複合するゆいの森あらかわでも、機能が有機的に結びついた「融合施設」が目指されている。ゆいの森あらかわでは、図書館員が他の施設職員と協力してレファレンス業務を行い、レファレンスの事例を記録し情報共有を行うとともに、様々な立場の職員が利用者の窓口となるような工夫をしている(80)。また、猪谷千香は、図書館と子育て支援センター等が複合した紫波町オガールプラザの官民連携の事例(2.4参照)を詳しく説明し、融合的な経営が重要と指摘している(81)。
3.7 複合型図書館の効果
複合型図書館には様々な効果が期待されている。酒井要と大島秀明の調査では、複合型図書館は他の関連施設をも含めた地域の情報拠点としての機能を持ち、利用者数を増やす効果があると示されている(82)。えんぱーくの子育て支援センター利用者を対象とした調査でも、施設間の距離の近さから図書館利用が増加したことが示された(83)。
志波文彦らの調査では、図書館を目的に来館した利用者がついでに同建物内のカフェや書店を利用するケースや、カフェ等を目的とした来館が図書館の利用につながるケースが確認された(84)。
3.8 複合型図書館の課題
複合型図書館は、施設へのアクセスの良さと多機能性から多くの利用者が期待される。前﨑徳生は、多くの自治体が新しい地域社会について検討する過程で、街の中心に置くべき施設として複合型図書館が選ばれる傾向にあるとする(85)。しかし、そうした自治体の中には集客力を重視するあまり本来の図書館機能が不十分となったり、多くのステークホルダーの中で図書館が設計や運営を主導できず、本来目指すべき理念や目的が達成できなかったりする事例もあり、課題として指摘されている。
例えば、神奈川県大和市の文化創造拠点シリウスは、図書館、芸術文化ホール、生涯学習センター等が複合しており、年間300万人超の来館者が訪れるが、その一方で席数の不足やサービス維持といった課題を抱える。この課題を解決するために同市は、同様の複合型図書館みんなの森ぎふメディアコスモスがある岐阜市やえんぱーくがある塩尻市と図書館同盟を結び、連携している(86)。
新出は、複合施設化に伴い、図書館が相対的に重視されなくなり、結果的に図書館員と建築家のコミュニケーション不全につながっていると指摘している。図書館は住民のための施設であるという共通の認識の下、図書館員と建築家がそれぞれの思想を理解しあうパートナーの関係を構築する必要性を訴える(87)。
西尾恵一は、複合型図書館についての評価指標を見直す必要性を指摘している。特に複合型図書館のサービスの質に直結しない訪問者数は評価指標として適切ではないとする(88)。また、杉岡秀紀は、複合・集約化された公立図書館における図書館評価には、より精緻な検討が求められると指摘している(89)。多機能であるからこそ評価基準の見直しが求められる。
4. DXの組織形態への影響(コロナ禍・コロナ後)
DXも組織形態と図書館員の専門性に甚大な影響を与える。先に図書館パワーアップ事業の例を挙げたが、経営戦略の一環としても図書館のDXは進められている。大阪市立図書館は「大阪市ICT戦略」に沿ったサービス提供に取り組み(90)、県立長野図書館は「長野県eLibrary計画」(信州版図書館DX)において中核的な役割を担っている(91)(92)(93)(94)。また文部科学省「これからの図書館像」(95)では、図書館業務と情報の電子化は効率的なサービス提供のうえで必要なものと位置付けられている。
さらに、2019年6月、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)(96)が施行され、電子図書館機能を拡充して非来館型サービスを向上させる取り組み等が行われてきている。電子化によって可能となった非来館型サービスは、COVID-19の流行を背景に、その必要性を増している (97)(98)(99)(100)。2020年1月時点で91だった電子図書館導入自治体数は、2023年4月に501自治体へ増加した(101)(102)。長野県では、全国初の試みとして全市町村と県が協働電子図書館を運営している(103)(104)(105)(106)。
電子図書館や非来館型サービスによって時間的・空間的な制約が取り払われつつある一方で、電子図書館については契約に関連した専門性や複数の図書館による共同構築のノウハウが問われ、また非来館型サービスについては、オンライン上のコミュニケーションに対応できる組織形態を構築する必要が生じている。非来館型サービスの課題として、自宅にインターネット環境がない利用者へのサービス提供をどうするかという指摘もある(107)(108)。
DXに関連して、デジタルアーカイブの広まりも公立図書館に影響を及ぼしつつある。池田美千絵は、公立図書館における地域資料とデジタルアーカイブについて歴史的に概観し、結論ではデジタル資料に詳しいデジタルライブラリアンの養成や自治体、他の館種・他機関との連携の重要性を指摘する(109)。また、澤谷晃子は大阪市立図書館デジタルアーカイブのオープンデータの取り組みについて詳述している(110)。同館は他機関との連携を強化しつつ、図書館員はオープンデータ化に関連してCode for OSAKAにも積極的に参加している。この団体は、大阪で市民がテクノロジーを使って行政サービスや地域の諸課題の解決に取り組むシビックテックの活動を行っている団体である。同様に是住久美子は、田原市図書館(愛知県)で市民協働事業として構築してきた田原市図書館デジタルアーカイブとそのオープンデータ化について触れながら、国が推進するGIGAスクール構想とデジタルアーカイブのコンテンツとの親和性を主張している(111)。そして、森いづみは、県立長野図書館の使命が「共知・共創の広場」であり、地域において民主的で有機的な場となることを目指しているとして、DXの文脈におけるコレクション、空間、専門性の構築(人材育成)について幅広く論じている(112)。
このように、DXはコロナ禍により急速に進められた側面もあるが、21世紀においてデジタル化に対応していくことは公立図書館には必須の要素であり、公立図書館の経営形態と図書館員の専門性にも影響を及ぼしていることがわかる。
5. まとめ
人口減少と情報技術革新に対応するために、国や自治体は新しい政策や制度を模索している。本研究文献レビューから、そのような環境の変化のなかで公立図書館が理念や存在意義を問われながらも、多様な種類の組織と融合していく様子が浮かび上がった。
第9次地方分権一括法による首長部局への移管は公立図書館の理念や存在意義をも大きく変える制度である。この制度の中で、公立図書館を観光資源の中核として位置付ける動きもみられるが、公立図書館を単に観光資源とするのではなく、教育や多様な文化をも含んだ地域における文化政策の中心に位置づける必要があるだろう。複合型図書館はステークホルダーと融合的に連携したサービス提供の在り方を模索している。これは、目先の経済合理性にとらわれず、教育と文化の視点から新しい地域社会の創造を試みるものである。
また日本の複合型図書館の事例をみるために、同じ取り組みで先行する欧米の状況も触れておきたい。欧米における複合型図書館のなかでも公立図書館と学校図書館の組み合わせは、不特定多数の市民が訪れるために子どもの安全面から課題が指摘されるものの、地域の子どもへのサービス提供という目的が一致することから成功事例が多い。日本において、この組み合わせが数多くみられるのは、理念や目的の高い類似性が理由であると考えられる。その一方で、理念や目的が比較的異なる公立図書館と大学図書館の複合は融合的な連携の難易度が高く、国際的にも失敗事例が多いことがわかっている。しかし、日本の大阪大学と箕面市の事例においては、理念や目的が異なる業務を細かく調整して運営することによってそれを乗り越えているようにもみえる。今後、日本の図書館員によるきめ細やかなマネジメントによって高度に融合的なサービスを構築していくことを期待したい。
最後に、図書館の評価についても触れておきたい。公立図書館における政策・制度や経営形態の多様化に伴い、その適用が各図書館にとって適切であったかどうかを評価する必要がある(113)。本稿を通してみてきた事例では、それらの経営形態をなじませるように努力してきた過程はわかるが、それをどう評価するかについてまでは述べられていなかった。図書館の評価は、多様化する公立図書館の経営形態、すなわち指定管理者の導入と所管の変更、複合化による図書館の組織形態の多様化、そして、他施設と協力した融合的なサービスやCOVID-19の流行を契機に加速的に展開したデジタルサービスの提供が市民にどのような影響をもたらしたかを把握するうえで、今後ますます重要となるだろう。
(1)内閣府地方分権改革推進室. “地域の自主性及び自立性を高める改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第9次地方分権一括法)の概要”. 2019, 6p.
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/09ikkatsu-gaiyoukouhu.pdf, (参照 2023-07-10).
(2)内閣府地方分権改革推進室. 前掲.
(3)総務省自治行政局公務員部. 会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル. 第2版. 2018, 126p.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000579717.pdf, (参照 2023-07-17).
(4)地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の運用について(通知). 総務省, 2017, 11p.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000493353.pdf, (参照 2023-07-10).
(5)桑原芳哉. “指定管理者制度の新たな動向”. 公共図書館運営の新たな動向. 日本図書館情報学会研究委員会編. 勉誠出版, 2018, p. 23–39, (わかる!図書館情報学シリーズ, 5).
(6)永田順子, 遠藤尚秀編. 公立図書館と都市経営の現在: 地域社会の絆・醸成へのチャレンジ. 日本評論社, 2020, 216p., (都市経営研究叢書, 4).
(7)糸賀雅児. 特集, 公立図書館の管理・運営の多様化: 管理運営形態の多様化と図書館経営. 図書館雑誌. 2018, 112(6), p. 380–383.
(8)桑原芳哉. 公立図書館の指定管理者制度導入状況: 2018年度以降の動向を中心に. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2022, (54), p. 1-17.
(9)桑原芳哉. “指定管理者制度の新たな動向”. 公共図書館運営の新たな動向. 日本図書館情報学会研究委員会編. 勉誠出版, 2018, p. 23–39, (わかる!図書館情報学シリーズ, 5).
(10)総務省自治財政局財務調査課. 公共施設等の総合的かつ計画的な管理による老朽化対策の推進. 総務省自治財政局財務調査課, 2014, 39p.
https://www.pref.kyoto.jp/chiho/fm/documents/koukyousisetusetumeikai.pdf, (参照 2023-07-17).
(11)総務省. 「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」の概要(平成26年4月22日).
https://www.soumu.go.jp/main_content/000287575.pdf, (参照 2023-07-17).
(12)総務省. 公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針の策定について. 2014, 6p.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000287574.pdf, (参照 2023-07-17).
(13)“新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金”. 地方創生.
https://www.chisou.go.jp/tiiki/rinjikoufukin/index.html, (参照 2023-07-17).
(14)“地方創生図鑑”. Internet Archive.
https://web.archive.org/web/20230325011859/https://www.chihousousei-zukan.go.jp/, (参照 2023-08-07).
(15)一般社団法人電子出版制作・流通協議会, 電子図書館・コンテンツ教育利用部会. (一社)電子出版制作・流通協議会、2021年7月1日現在の電子図書館を導入している公共図書館情報を更新. 2020, 6p.
https://aebs.or.jp/pdf/E-library_introduction_press_release20210701.pdf, (参照 2023-07-17).
(16)中央教育審議会生涯学習分科会. “公立社会教育施設の所管の在り方等に関する生涯学習分科会における審議のまとめ”. 文部科学省. 2018-07-09.
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/toushin/1414209.htm, (参照 2023-07-13).
(17)“社会教育調査 / 令和3年度 統計表 図書館調査”. e-Stat.
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040038469, (参照 2023-07-14).
(18)石川県立図書館.
https://www.library.pref.ishikawa.lg.jp/, (参照 2023-07-14).
(19)綾瀬市生涯学習推進プラン(第2期綾瀬市教育振興基本計画)及び前期実行計画. 基本計画編. 綾瀬市, 24p.
https://www.city.ayase.kanagawa.jp/material/files/group/22/syougai_gakusyuu_suishin_plan2.pdf, (参照 2023-07-14).
(20)第6期第4回神戸市立図書館協議会協議内容. 神戸市, 9p.
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/31491/naiyou6_4.pdf, (参照 2023-07-14).
(21)令和元年度社会教育委員会議臨時会(第31期) 会議録. 大和市.
https://www.city.yamato.lg.jp/material/files/group/48/000157694.pdf, (参照 2023-07-14).
(22)日本図書館協会図書館政策企画委員会編. 図書館政策セミナー「公立図書館の所管問題を考える」講演録. 日本図書館協会, 2020, 87p.
(23)“「協働まちづくり部」新設へ 令和2年度に組織再編 生涯学習課を市長部局に 大船渡”. 東海新報. 2020-01-28.
https://tohkaishimpo.com/2020/01/28/279217/, (参照 2023-07-14).
(24)生涯学習部門の市長部局への移管について. 大船渡市, 2p.
https://www.city.ofunato.iwate.jp/uploaded/attachment/21972.pdf, (参照 2023-07-14).
(25)“図書館を含む社会教育機関の首長部局への所管を可能にする「第9次地方分権一括法案」に反対します”. 図書館問題研究会. 2019-03-27.
https://tomonken.org/statement/chihoubunken/, (参照 2023-07-18).
(26)“【2019/3/25】「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第9次地方分権一括法案)に係る要望書”. とともれん活動報告. 2019-03-25.
https://totomoren.net/blog/?p=832, (参照 2023-07-18).
(27)日本図書館協会図書館政策企画委員会編. 前掲.
(28)地方公務員の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員に関する調査結果(令和2年4月1日現在). 総務省, 9p.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724456.pdf, (参照 2023-07-13).
(29)山縣宏寿. 図書館非正規職員と会計年度任用職員制度. 図書館雑誌. 2020, 114(7), p. 354–357.
(30)公益社団法人日本図書館協会非正規雇用職員に関する委員会. “会計年度任用職員に関する提言”. 日本図書館協会. 2022-01-24.
https://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=6172, (参照 2023-07-18).
(31)“「司書を会計年度任用職員として任用」と条例・規則に明記することに反対します”. 図書館問題研究会. 2021-05-06.
https://tomonken.org/statement/kaikeinendo_jourei/, (参照 2023-07-13).
(32)永利和則. 社会教育施設である公立図書館の管理・運営のあり方について指定管理者制度の視点からの一考察. 福岡女子短大紀要. 2021, (86), p. 1–15.
(33)永利和則. 社会教育施設としての公立図書館を再考する : 指定管理者制度の観点から. 月刊社会教育. 2018, 62(12), p. 11–19.
(34)永利和則. 公立図書館の指定管理者制度. みんなの図書館. 2022, (546), p. 7–14.
(35)糸賀. 前掲.
(36)千錫烈. 公立図書館における指定管理者制度導入の課題 : ─短期的利益と長期的利益の比較衡量の視点から─. 関東学院大学人文学会紀要. 2016, (134), p. 1–41.
https://kguopac.kanto-gakuin.ac.jp/webopac/NI30001612, (参照 2023-07-18).
(37)鑓水三千男, 日本図書館協会図書館政策企画委員会編. 図書館政策セミナー「法的視点から見た図書館と指定管理者制度の諸問題」講演録. 日本図書館協会, 2018, 87p.
(38)永利和則. 《報告3》体験を踏まえた論考: 指定管理者制度と直営の図書館. 図書館界. 2019, 70(6), p. 643–648.
(39)常世田良. 《討議》図書館における指定管理者制度の現状と今後. 図書館界. 2019, 70(6), p. 648–662.
(40)松岡要. 指定管理導入図書館の分析 東京の図書館委託化を推進する“都区財政調整”. 出版ニュース. 2019, (2508), p. 4–9.
(41)田中伸樹. 公立図書館への指定管理者制度の導入についての検討. 桃山学院大学環太平洋圏経営研究. 2017, (18), p. 79–90.
(42)成島和子. 直営に戻した守谷中央図書館. 月刊社会教育. 2018, 62(12), p. 32–36.
(43)桑原芳哉. 公立図書館における指定管理者制度導入の現状:昨年度からの変化と事業者に関する特徴. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2016, (48), p. 13–25.
https://doi.org/10.24577/seia.48.0_13, (参照 2023-07-13).
(44)桑原芳哉. 公立図書館の指定管理者制度導入状況: 近年の動向. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2018, (50), p. 31–44.
https://doi.org/10.24577/seia.50.0_31, (参照 2023-07-13).
(45)田井郁久雄. 《報告2》データでみる指定管理者制度の実態: サービスと経費. 図書館界. 2019, 70(6), p. 632–643.
(46)糸賀. 前掲.
(47)田中. 前掲.
(48)桑原芳哉. 公立図書館における指定管理者制度導入の現状:昨年度からの変化と事業者に関する特徴. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2016, (48), p. 13–25.
https://doi.org/10.24577/seia.48.0_13, (参照 2023-07-13).
(49)桑原芳哉. 公立図書館における指定管理者制度導入の現状:昨年度からの変化と事業者に関する特徴. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2016, (48), p. 13–25.
https://doi.org/10.24577/seia.48.0_13, (参照 2023-07-13).
(50)桑原芳哉. 公立図書館の指定管理者制度導入状況: 近年の動向. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2018, (50), p. 31–44.
https://doi.org/10.24577/seia.50.0_31, (参照 2023-07-13).
(51)樹下康治. 投稿 公共図書館の運営形態による今日的課題への対応に関する考察 : 指定管理者制度導入と直営との比較. 現代の図書館. 2016, 54(1), p. 12–19.
(52)湯浅俊彦. 指定管理者制度が切り拓く次世代型公共図書館の可能性. 出版ニュース. 2017, (2437), p. 4–11.
(53)湯浅俊彦. 指定管理者制度がもたらす公共図書館のイノベーション. 図書館雑誌. 2018, 112(6), p. 391–393.
(54)永田, 遠藤. 前掲.
(55)井上一夫. 「ツタヤ図書館」指定管理から10年、奪われた地方自治!. みんなの図書館. 2022, (546), p. 34–41.
(56)永利和則. 社会教育施設である公立図書館の管理・運営のあり方について指定管理者制度の視点からの一考察. 福岡女子短大紀要. 2021, (86), p. 1–15.
(57)永利和則. 社会教育施設としての公立図書館を再考する : 指定管理者制度の観点から. 月刊社会教育. 2018, 62(12), p. 11–19.
(58)岡田知之. 直営図書館を核とした複合施設PFIで整備運用: 安城市中心市街地拠点施設アンフォーレの挑戦. 図書館雑誌. 2018, 112(6), p. 397–399.
(59)岡田知之. 直営図書館を核に、分棟による公民連携の複合施設「アンフォーレ」: PFIと定借で一体整備、安城市中心市街地拠点整備事業. 公共建築. 2020, 62(1), p. 74–79.
(60)桑原芳哉. 公立図書館の指定管理者制度導入状況: 近年の動向. 尚絅大学研究紀要. 人文・社会科学編. 2018, (50), p. 31–44.
https://doi.org/10.24577/seia.50.0_31, (参照 2023-07-13).
(61)猪谷千香. 町の未来をこの手でつくる: 紫波町オガールプロジェクト. 幻冬舎, 2016, 222p.
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(63)“社会教育調査 / 令和3年度 統計表 図書館調査”. e-Stat.
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(68)常世田良. 《基調報告》図書館と複合施設・複合的サービス: そのメリットとデメリット. 図書館界. 2017, 69(2), p. 80–86.
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(73)新出. 「図書館・図書館学の発展—2010年代を中心に」: 《Ⅱ. 館種別状況》 公共図書館の動向: 図書館経営論を中心に. 図書館界. 2018, 70(1), p. 54–70.
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(76)伊東. 前掲.
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(78)伊東. 前掲.
(79)伊東, 常世田, 柳澤. 前掲.
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http://hdl.handle.net/10291/20808, (参照 2023-07-18).
(81)猪谷. 前掲.
(82)酒井, 大島. 前掲.
(83)伊東, 常世田, 柳澤. 前掲.
(84)志波文彦, 福本七海, 二田水宏次. “来館目的と利用行動からみた複合公立図書館の利用実態に関する研究: St, Tg館における施設利用者の来館目的と利用空間のつながりについて”. 日本建築学会計画系論文集. 日本建築学会, 2022, 87(791), p. 12–21.
(85)前﨑徳生. 全国の図書館を見学して考えたこと(3): 足元をすくわれる図書館: 縮小社会と公共施設統廃合、まちづくり志向と多機能複合化、所管変更の荒波の中で. みんなの図書館. 2023, (551), p. 40–53.
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(91)県立長野図書館. “「共知・共創の広場」としての県立長野図書館の使命(仮称)”. 2021, 5p.
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(93)森いづみ, 小澤多美子. 「共知・共創の広場」を目指して: 地域とともに歩む県立長野図書館の取り組み. 図書館雑誌. 2023, 117(5), p. 244–247.
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(98)国立国会図書館関西館図書館協力課編. 公立図書館における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応(2). 国立国会図書館, 2023, 131p., (図書館調査研究リポート, 19-2).
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(101)一般社団法人電子出版制作・流通協議会, 電子図書館・コンテンツ教育利用部会. 前掲.
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(103)県立長野図書館. “「共知・共創の広場」としての県立長野図書館の使命(仮称)”. 2021, 5p.
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(104) 県立長野図書館. “資料2: 県立長野図書館ミッションビジョン「共知・共創の広場」”. 2022, 6-17p.
https://www.knowledge.pref.nagano.lg.jp/documents/99/shiryo2.pdf, (参照 2023-07-13).
(105)森, 小澤. 前掲.
(106)森, 岩波. 前掲.
(107)三浦なつみ. <テーマ3 コロナ禍の中の図書館を考える> No.1 「図書館動向調査」から見る公共図書館. 図書館界. 2022, 74(3), p. 193–197.
(108)中山愛理. 新型コロナウイルス感染症に対応する日本の公共図書館の取り組み : 図書館アウトリーチサービスの視点から. 大妻女子大学紀要. 文系. 2022, (54), p. 122-110.
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(109)池田美千絵. 〔研究ノート〕公立図書館における地域資料とデジタルアーカイブを巡って. 学苑 昭和女子大学紀要. 2022, (969), p. 62–72.
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(110)澤谷晃子. [A11] 大阪市立図書館デジタルアーカイブのオープンデータ利活用促進に向けた取り組み. デジタルアーカイブ学会誌. 2019, 3(2), p. 87–90.
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https://doi.org/10.20628/toshokankai.72.4_184, (参照 2023-07-13).
(112)森, 小澤. 前掲.
(113)糸賀. 前掲.
[受理 : 2023-08-20]
菅野裕樹, 山岸素子, 照井ひなた, 鐵見咲希, 星 愛美, 梅木雄飛, 百花 葵, 小泉公乃. 研究文献レビュー:日本の公立図書館における経営形態:2016年以降の動向を中心に. カレントアウェアネス. 2023, (357), CA2050, p. 24-31.
https://current.ndl.go.jp/ca2050
DOI:
https://doi.org/10.11501/12996503
Sugeno Yuki, Yamagishi Motoko, Terui Hinata, Tetsumi Saki, Hoshi Manami, Umeki Yuto, Hyakka Aoi, Koizumi Masanori
Management Structures of Public Libraries in Japan: Developments Post-2016
This paper reviews research articles concerning the management structures of public libraries in Japan from mid-2016 to early 2023. We focus on some factors that have a significant impact on public libraries’ management structures and librarians’ expertise. This review examines multiple perspectives, primarily: 1) prevailing library policies and systems; 2) public libraries in public complex facilities and their cooperational services, organizational integration, and hybridization; and 3) the ramifications of digital transformation on public libraries’ organizational configuration, with specific emphasis on pre- and post-COVID-19 scenarios. In conclusion, we discern that Japanese public libraries are fostering reciprocal partnerships with diverse entities, adapting to novel organizational structures and enhancing librarian competencies amidst declining populations and swift technological advancements.