カレントアウェアネス-E
No.300 2016.03.17
E1779
『カレントアウェアネス-E』とは:2013~2015年の記事から
本稿では,メールマガジン『カレントアウェアネス-E』(CA-E)の2013年から2015年までの期間に刊行した記事を振り返ります。
◯CA-Eについて
CA-Eでは,図書館及び図書館情報学に関する様々なニュースを扱っています。2002年の刊行当初は1記事が平均500字程度でしたが,2006年のブログ記事「カレントアウェアネス-R」(CA-R)の登場に伴って「ニュース詳報」化し,現在は1記事当たり1,500~2,000字程度です。情報誌『カレントアウェアネス』(CA)とは連携しながらも差異化を図っており,読みやすくコンパクトな記事をお届けするよう努めています。
2011年からは図書館関係者の方に『カレントアウェアネス-E』編集部(以下編集部)がインタビューする形式の記事を刊行するなど,創意工夫を図ってきました。また,東日本大震災発生直後から,日々編集部が収集しCA-Rとして発信している情報などをもとに,震災に関する図書館等の動きを数か月分集約した記事「東日本大震災後の図書館等をめぐる状況」(E1748ほか参照)を中心に,被災地の図書館についてとりあげるなど,災害等に関する情報発信にも力を入れています。
◯多くとりあげたテーマ,館種,国・地域
この3年間で多くとりあげたテーマは,「学術情報流通」「デジタルアーカイブ」「オープンアクセス」(OA)「災害」でした。また,館種は公共図書館と大学図書館を扱うことが多く,続いて国立図書館でした。国・地域は,日本と米国についての記事が圧倒的に多く,続いて英国でした。
2015年は特に,「オープンデータ」「情報リテラシー」「機関リポジトリ」「オープンサイエンス」などのテーマを扱うことが多く,また,国内の図書館が開催したイベントや国内外で開催されたシンポジウムや集会をとりあげる記事も増やしました。
◯アクセス数が多かった記事
この3年間のアクセス数トップ3の記事は次のとおりです。
- 「われわれの館~図書館司書就職支援の館~管理人インタビュー」(E1503参照)
- 「博士論文のインターネット公表:学位規則改正」(E1418参照)
- 「『図書館ロケット』の作詞・作曲者,畑亜貴さんインタビュー」(E1491参照)
続いて,期間内に一定数のアクセスがあった記事をいくつかのトピックごとに見てみます。
まず,学術情報関連では,京都大学におけるOA方針採択(E1686参照)をはじめ,OAリポジトリ連合(Confederation of Open Access Repositories:COAR)のロードマップ(E1666参照),機関リポジトリ推進委員会による博士論文のインターネット公表化の現況調査について扱った記事(E1707参照)などがあります。
次に,図書館に関するイベントを扱ったものや,ある図書館での特徴的な取組や継続的な活動をとりあげたものがありました。前者の例としては,「図書館の音と学び」,「高齢社会における図書館」といったテーマで実施されたイベント(E1664,E1669参照)。後者の例としては,特に大学図書館に関するもので,京都大学吉田南総合図書館の黒板を活用した広報(E1602参照),筑波大学の「近未来図書館シリーズ」(E1668参照)などが挙げられます。
続いて,図書館の基本的な業務であるレファレンスサービスや資料保存について扱ったものとして,米国Springshare社のLibGuides(E1410参照),国立国会図書館(NDL)の第25回保存フォーラム(E1642参照)も読者の関心を集めたようです。
最後に,2013年6月に成立したマラケシュ条約(E1455参照),2013年8月に報じられた漫画「はだしのゲン」の小中学校における閲覧制限(E1472参照),2014年の学校図書館法一部改正(E1597参照),欧州連合(EU)欧州司法裁判所の「忘れられる権利」に関する裁定を扱った記事(E1572,E1655参照)など,CA-Rでもその動向を追ってきた,法律や知的自由に関する話題をとりあげたものがありました(E1424,E1459参照)。
そのほか,期間外の記事ではありますが,CAポータルのキャラクターのモチーフにもなっている図書館ネコ「デューイ」の記事(E574参照)へのアクセスは刊行後10年近くを経ても衰えず,アクセスランキングの上位を守っていました。
◯CA-Eの今後
本稿ではアクセス数をもとに近年の記事を振り返りましたが,図書館界に大きな影響を与えたニュースをとりあげた記事も注目を浴びる一方,図書館の周辺分野に関するニュースや,図書館に関わる「人」や図書館に関するユニークな試みに注目した記事も多くご覧いただいていることがわかりました。
CA-Eは,2009年度以降記事テーマの多様化を図るべく,徐々にNDLの館内で執筆する割合を減らしており,2015年は全記事の過半数(56%)をNDL職員以外の方に執筆いただきました。今後も図書館の周辺分野も含めながら,様々なニュース,取組,イベント,文献等を扱っていきたいと考えています。
CA-Eの記事テーマは,編集部がCA-Rなどで日々収集している情報をもとに決定していますが,記事の寄稿や企画の提案も広くお待ちしています。これまでご協力いただいた方々に改めてお礼を申し上げるとともに,今後もお力添えのほどよろしくお願いいたします。
関西館図書館協力課調査情報係
注:この記事には英訳版(E1779e)があります。
Ref:
http://current.ndl.go.jp/cae
http://current.ndl.go.jp/callfor
http://current.ndl.go.jp/sinsai
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