E1410 – つながるLibGuides:パスファインダーを超えて

カレントアウェアネス-E

No.234 2013.03.28

 

 E1410

つながるLibGuides:パスファインダーを超えて

 

 海外の大学図書館のウェブサイトで,タブや四角いボックスが特徴的な,ときおり図書館員の顔写真が載っていたりする,そんなパスファインダーを見かけたことがないだろうか?どの大学でもデザインが似ているのは,米国Springshare社のLibGuidesという同じサービスを利用して作られているからである。

 LibGuidesは,図書館員などがウェブ上で主題ごとのガイドを作成し,提供することのできるサービスである。北米の大学図書館を中心に世界中で約4,000館が導入しているという人気の高いサービスであるが,日本ではまだ数館が契約しているに過ぎない。

 現在提供されているガイドには,主題別・科目別ガイドの他に,東日本大震災に関するニュースソースをいち早く集めた速報的なものから,学生寮でのベジタリアン料理の作り方といった生活ガイドのようなものまで,幅広いコンテンツがある。学生は,例えば今受けている授業に関連したガイドを見て,そこから図書館員や教員によって選定され,まとめられた参考図書リストや,データベース,ウェブサイトなどの各種情報源に触れることができる。

 ガイドの編集機能は多彩であるが,ブログ感覚で習得できる。すべての操作はウェブブラウザから行うことができ,HTMLなどの知識が十分になくても基本的なガイドであればすぐに作成できる。一つのガイドは,タブで表現される「ページ」と,ページの中の「ボックス」から構成されている。ボックスは,単純なテキストを記述するものから,自館のオンライン・カタログへのリンクを埋め込んだ図書リストや,関連サイトのリンク集,YouTubeなどの動画の埋め込み,RSSフィードの表示などいくつかの種類が用意されており,自由に組み合わせることができる。

 ガイドは一から作成することも可能だが,すでに他の図書館で提供されているガイドを丸ごと再利用してしまうこともできる。また,自館のコンテンツであれば,ページ単位やボックス単位で複製,あるいは「リンク」することも可能である。オリジナルの方のコンテンツを編集すると,リンクしたコンテンツにも反映される。自分のガイドが誰かに再利用されたときにはメールで連絡が来るようになっているため,著作権上の問題がある場合は当事者間で調整できる。しかし,LibGuidesを運用している図書館員たちのコミュニティ内の雰囲気として,このような再利用はむしろ歓迎されているようである。

 また,Serials Solutions社との提携により,ディスカバリ・インタフェースSummonで自館のLibGuidesのコンテンツを検索させることが可能である。BlackboardやMoodleなどのラーニング・マネジメント・システム(LMS)から授業に関連するガイドにリンクすれば,学習支援コンテンツとして役立たせることもできる。APIや,オプションでスマートフォン表示機能も提供されている。自館のウェブサイトのどこかにパスファインダーをひっそりと置いてアクセスされるのを待つのではなく,学生がよく利用する場面にジャスト・イン・タイムで届けることができるのである(CA1751参照)。

 さらにLibGuidesでは,原則的にガイドの作成者のプロフィールが画面に表示され,その主題に精通した専門家が誰かがわかる「人」のガイドともなっている。つまり,どのような職員がいるか,図書館には何ができるかを示す,「顔の見える図書館」のショーケースともなり得ている(E1387参照)。

 以上のように,LibGuidesは,高機能なパスファインダー作成ツールというだけでなく,図書館員やローカル・コミュニティの中で,ガイドの価値や,ガイドの作成者が持つ専門性をつなげて最大限に利活用できるサービスともなっている。

 日本では,この1年で,香川大学附属図書館や九州大学附属図書館がLibGuidesの導入に踏み切っており,ガイドが少しずつ増えている。九州大学では,教材作成支援ツールとして位置付け,図書館員だけでなく学生サポーターや教員もガイドを作成しており,特に医学教育で活用していこうという動きがある。教員や学生にガイドを提供してもらう試みは,香川大学でも進められているようである。慶應義塾大学メディアセンターも,LibGuidesの試行提供を始めたばかりである。

 今後日本でのLibGuidesの普及を考えた場合,編集画面やインタフェースの日本語対応にはまだ問題がある。また,日本では,サブジェクト・ライブラリアン制度の根付いた海外と比べ,図書館員に主題別の情報をまとめるという経験やスキルが充分でないという課題もある。

 しかしここで,海外での普及の背景に,LibGuidesが図書館員に非常に好まれているという事実があることに着目したい。Springshare社を中心としたLibGuidesユーザのコミュニティ活動も活発で,各地の図書館員がすでに30万件を超えるガイドを生み出し,デザインのカスタマイズや他のツールとの連携方法を進んでシェアしている。専門性を発揮してローカル・コミュニティに貢献しつつ,成果をグローバルに還元するというライブラリアンの使命を,楽しみながら実現できるツールとして愛されているのである。

 日本でも,LibGuidesを使う楽しさを通じて図書館と図書館員の専門性がどのように広まるのか,ユーザ同士のつながりがどのように深化していくのか,今後に注目したい。

(九州大学附属図書館・天野絵里子)

Ref:
http://www.springshare.com/libguides/
http://libguides.com/community.php
http://help.springshare.com/lms
http://help.springshare.com/reuse
http://springsharelounge.com/
http://thelibraryprojects.wordpress.com/2013/02/10/libguide-love/
http://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/
http://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/libguidesintroduction
http://kagawaunivlib.libguides.com/
http://libguides.lib.keio.ac.jp/
http://guides.lib.cua.edu/digitalhumanities
http://guides.nccjapan.org/researchaccess
http://uiuc.libguides.com/
http://guides.library.umass.edu/jpnearthquake
http://maxguides.bridgew.edu/content.php?pid=147308&sid=1645578
http://libguides.library.csupomona.edu/vegandormcooking
CA1751
E1387