E1000 – CA-Eのこれまでとこれから― 999記事の軌跡とアンケートから

カレントアウェアネス-E

No.162 2009.12.02

 

 E1000

CA-Eのこれまでとこれから― 999記事の軌跡とアンケートから

 

 この度,メールマガジン『カレントアウェアネス-E』(CA-E)は掲載記事数1,000本を数えました。本記事では,これまでのCA-Eの足跡を簡単に振り返るとともに,読者アンケートの結果などを基に,今後のCA-Eを展望します。

 CA-Eは2002年10月,国立国会図書館関西館の開館を契機に創刊しました。これにより,同年6月から季刊となった『カレントアウェアネス』(CA)と原則月2回刊行のメールマガジンCA-Eが連携し,効果的に図書館に関連する最新情報を届けようという試みがスタートしました。さらに2006年6月には,図書館に関する情報ポータルサイト「カレントアウェアネス・ポータル」(CAポータル)を開設し,図書館に関連する最新ニュースをブログ形式で速報する「カレントアウェアネス-R」(CA-R)の本格運用を開始しました。その結果,刊行頻度も媒体も異なる3種類のカレントアウェアネスシリーズがお互いに補いあうことで,より速く,より多く,より深く,情報を届けようという現在のスタイルが出来上がりました。

 CA-Eの記念すべき最初の記事は,「E001 – 第68回国際図書館連盟(IFLA)大会 <報告>」(E001参照)です。第1号には全部で6本の記事が掲載されましたが,その長さの平均は約500文字。2009年11月18日発行の第161号では,1記事当たり平均約1,200文字で,長さは倍以上となりました。その一因として,CA-Rとの役割分担の明確化があります。ニュース速報の役割をCA-Rに譲り,CA-Eでは取り上げたトピックの説明や背景に関する記述を充実させ,「ニュース詳報」としての性格を色濃くしていきました。

 CA-Eで取り上げるトピックも変化しています。これまでで,最も長期間に渡ってアクセスランキング上位を守ってきたのは,図書館ネコ「デューイ」の記事(E574参照)です。刊行当初は国内外の図書館界の動向を伝えるニュースが多かったのですが,記事数を重ねるにつれ,デューイの記事に代表されるように,読みやすく,一息つけるような,「やわらかい」トピックを取り入れるよう,心がけるようになりました。これは,CA-Eの読み物としての面白さを意識した結果です。また,トピックの範囲を「図書館」から少し広げ,IT業界の最新動向やTwitter,SNS,Flickr等のウェブサービスの紹介も行うようになりました。

 さらに2009年度からは,執筆者のバラエティが豊かになりました。これまで以上に積極的に館内外の関係者に協力を呼びかけた結果,2008年度は約22%であったCA-E担当者以外の執筆割合は,2009年4月~11月の期間で,約40%にまで伸びました。今後もこういった方々の協力を仰ぎながら,取り上げるテーマの幅を充実させていきたいと考えています。

 CA-Eがスタートした当初は85人だったメールマガジン登録者(国立国会図書館の職員は除く。以下同じ。)は,2009年11月現在,4,499人となりました。このほど初めて,CA-Eを支えていただいている読者の方々に対するアンケートを実施しました。2009年11月20日~30日にかけて,CAポータル上にアンケートページを開設して協力を呼びかけたところ,268名の方から回答をいただきました。以下に,その結果概要をご紹介します。

  • ◆回答者の職業
     回答者の職業で最も多かったのは図書館員(64%),次が研究者(9%)でしたが,IT関係(6%)など,図書館の関連領域で働く方にも読んでいただいています。
  • ◆回答者の年代
     30代(32%),40代(25%),50代(18%),20代(14%),60代以上(11%)となりました。
  • ◆CA-Eの読み方
     メールマガジンが7割を占め,「定期的に電子メールで届き,忘れずに読むことができるメールマガジンという形式がよい」といった趣旨のご意見を多数いただきました。また,CAポータルで読んでいる人は15%,RSSで読んでいる人は10%という結果になりました。
  • ◆1記事当たりの長さ,1号当たりの本数,刊行頻度
     いずれにおいても,「ちょうどよい」という回答が8割以上を占めています。一方で,「1記事の長さや1号当たりの本数を減らし,刊行頻度をあげてほしい」「全体の分量が多く,読むのに疲れる」「メールマガジンに掲載するのは目次と概要のみにして,CAポータルの該当記事へのリンクを張り,興味がある記事だけ本文に飛べるようにしては」といったご意見もいただきました。
  • ◆面白かった/役に立った/印象に残った記事
     最も多かったのが,図書館ネコ「デューイ」の記事。その他には,福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」(E967参照),津波や地震などの被害に遭った図書館の速報(E282E675E785参照),Googleの動向を伝える記事などが多く挙げられました。
  • ◆興味のあるテーマ,これから読んでみたい記事のテーマ
     「海外の図書館の動向」「図書館資料のデジタル化」をテーマにした記事に特に多数のご要望をいただきました。その他,「図書館員の専門性」「利用者サービス」「著作権」「新しい情報技術」「学術情報流通・オープンアクセス」「図書館経営」「児童や学生に対する図書館サービス」などを多くの方が挙げていました。これまでCA-Eでは登場回数がそれほど多くなかった,国内の公共図書館の取組についても,ぜひ取り上げてほしいとの声もいただきました。

 アンケートの結果は,今後のCA-Eの編集に生かしてまいります。ご協力,誠にありがとうございました。

 アンケートでは,多くの回答者から「いつも楽しく読んでいる」「これからも継続してほしい」「情報源として役に立っている」といった,温かい励ましの言葉をいただきました。これを支えに,CA-Eは更なる発展を目指してまいります。引き続きご愛読いただきますよう,よろしくお願いいたします。

(関西館図書館協力課調査情報係)

Ref:
http://current.ndl.go.jp/ca_no300_history
CA1695
E001
E282
E574
E675
E785
E967