CA1985 – 研究文献レビュー:2010年代の学校図書館に関する日本国内の研究動向:研究の多様化と学校図書館を取り巻く状況の変化を踏まえて / 今井福司

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カレントアウェアネス
No.345 2020年9月20日

 

CA1985

研究文献レビュー

 

2010年代の学校図書館に関する日本国内の研究動向:
研究の多様化と学校図書館を取り巻く状況の変化を踏まえて

白百合女子大学基礎教育センター:今井福司(いまいふくじ)

 

 学校図書館に関する研究文献レビューは、『カレントアウェアネス』でも継続的に取り上げられている。本稿に先行するレビューとしては、中村(CA1546参照)、河西(CA1722参照)によるものがあり、中村が2000年から2004年、河西が2005年から2009年までの文献を対象としている。また岩崎はアプローチが異なるものの、学校図書館を主とした研究レビューを執筆し、2011年半ばまでの資料を参照している(CA1755参照)。

 他誌に目を向けると、渡邊のレビュー(1)が2010年までを対象としている。また平久江は2017年時点での学校図書館の研究動向を検討しているが、2010年以降は論文のページ数や件数を触れるに留まっている(2)。そして『図書館界』400号記念特集のレビューにおいて、狩野が2009年から2017年までの学校図書館の文献レビューを行っているが、対象は実践報告が中心であり、研究文献へのレビューは十分ではない(3)。米谷のように2014年学校図書館法改正といった特定のテーマを設定して学校図書館の文献紹介を行うものはあるが(CA1902参照)、2010年以降学校図書館の内容を全体的に扱った研究文献レビューは管見の限り存在しない(4)

 このような状況を踏まえ、本レビューでは敢えてテーマを限定せず、2011年から2020年までを対象として、学校図書館に関する日本国内の研究動向をまとめる。

 この10年間を対象に、2011年から2020年までを指定しCiNii Articlesで「学校図書館」、「司書教諭」、「学校司書」のキーワードでの検索を行ったうち、研究文献と思われる記事に絞ってピックアップした。その上で平久江による「図書館情報学関係の査読制度を持つ主要な学術雑誌13誌」(5)に掲載された研究論文を中心としつつ、その他査読誌および紀要論文や単行書のうち、学校図書館の研究を扱ったものを加えながら検討した。紹介できなかった文献が数多くあることを先にお詫びしておきたい。

 以下、11の観点に分けて文献を紹介する。

 

1. 学校図書館専門職に関する研究

 2010年代の研究動向を踏まえる上では、2014年学校図書館法一部改正(E1597参照)について指摘しておく必要がある。これまで法令で盛り込まれてこなかった「学校司書」についての条項が新たに追加された。これを反映してか、学校図書館の専門職に関わる研究や論考が複数出てきている。

 まず法律や政策といった制度について、塩見は学校図書館法改正までの学校図書館専門職員の政策議論をまとめている(6)。桑田は文部科学省の協力者会議の報告書ならびに議事録を紹介し、専門職のあり方を述べている(7)。鎌田は改正前に学校図書館専門職員に求められる資質能力を論じた4つの調査研究を取り上げ、解説を加えた(8)。木内は横浜市学校司書配置政策の形成過程とその構造を明らかにするために政策形成過程研究および「政策ネットワーク」という概念モデルを用いた研究を行っている(9)

 学校司書の組織内における位置づけや関わりについて取り上げた研究も複数ある。例えば、小竹は経営学の組織社会化戦術のモデルを用いて、小中学校の新任学校司書の職場適応への支援の現状と課題について聞き取り調査を行い(10)、吉澤と平久江は、小中学校の司書教諭と学校司書の学習支援に関する職務に対する教員の要望の現状と課題を明らかにした(11)

 また庭井は学校司書や司書教諭と教員が指導上の役割分担をどのように形成するのかについて半構造化インタビューによって影響を与える要因と形成プロセスのモデルを生成し(12)、西巻は特色ある学校づくりで学校図書館を利活用している学校の校長と学校図書館担当者に質問紙とインタビュー調査を行い、学校図書館担当者が教育課程展開に関わっていることを確認した(13)。江竜は英語多読の文脈ではあるが、英語多読の実践の歴史をまとめた上で、教員と司書教諭の連携の必要性を論じている(14)

 そして松本は司書教諭が発令されている小学校で、司書教諭の学校図書館職務にあたる時間の確保の有無、学校司書の配置の有無によって、学校図書館サービスと利活用への効果に影響があるかを検討し(15)、教員と学校図書館担当者の協働不足の要因を明らかにするためにセンゲ(Peter Senge)の「学習する組織論」を適用しながら、協働を生み出すために必要な能力とその育成法について考察した(16)

 

2. 予算や雇用条件等に関する研究

 地方公共団体での雇用や労働条件、学校図書館予算の扱いについては学校図書館を巡る長年の問題となっており、研究誌でも関連研究が行われている。例えば、土井らの静岡県内の2018年度における学校司書の配置状況の調査(17)、本間による学校図書館法改正以後の東京都における司書教諭と学校司書の状況の紹介(18)、竹市らの愛知県内の小学校、中学校、特別支援学校の学校司書の雇用体系や勤務形態の調査(19)、福永と山本の愛知・岐阜・三重県における公立図書館および学校図書館の職員の採用に関する教育委員会への質問紙調査(20)がある。また杉浦による各地方公共団体の学校司書の配置状況の違いの背景として、各地方公共団体・学校の裁量が拡大したことによって格差が生まれたと指摘する研究もある(21)。米澤と千田は公立学校図書館の予算を巡る制度や調査を紹介しつつ、都立高等学校の資料費・人件費に関わる制度について整理している(22)。また杉浦の学校司書配置における民間委託の受託業者へのインタビュー調査を実施した研究は民間委託の状況を受託側からも明らかにしている点で類似のない研究である(23)

 

3. 専門性やスキルの議論

 学校図書館法の改正に伴って、学校司書の養成プログラムである「学校司書のモデルカリキュラム」が開始された(E1896参照)。これについて、仲村らは「学校司書のモデルカリキュラム」の妥当性を探るために、これまで教育されてこなかった内容が同カリキュラムで扱われているかを、過去に研究発表や実践報告を行った学校司書に対するインタビュー調査によって明らかにしている(24)。川原と岡田は「学校司書のモデルカリキュラム」の実施状況について調査を行っている(25)

 野口は司書教諭や学校司書が効果的な支援を行うための方策を考察するために、担当教科や経験年数によって、高校教員の読書指導の意識や指導の実施に差があることを明らかにした(26)。そして、読書指導に影響を与える要因を個人的な経験と読書指導をとりまく環境の両面から検討している(27)。また、江竜は学校図書館専門職員に求められる専門性を学習指導の観点から整理している(28)

 平久江は地域の連携協力という異なる観点からではあるが、学校図書館および学校図書館担当者の役割と課題について検討している(29)。他にも、松田はランクス(R. David Lankes)によるコミュニティメンバーを集めることを重要視する“Anti-Field of Dreams Model”を自身が関わる学校図書館実践に適用し、コミュニティ形成における学校図書館専門職の役割を論じ(30)、杉浦は島根県の松江市立小中学校図書館における『はだしのゲン』の閲覧制限問題(E1472参照)と関連諸団体の対応を取り上げながら、学校図書館専門職としての対応を提案している(31)

 

4. 制度や基準の検討

 制度の検討としては、まず海外の事情を取り扱った研究がある。例えば、深谷らはスウェーデンの読書推進や読書教育、学校図書館をめぐる実態を訪問調査や文献調査で明らかにしている(32)。また須永はフランスの学校図書館について継続的な報告を行っており、フランスの学校図書館の制度や概要(33)、映画に見られるフランスの学校図書館(34)、中等教育学校の学校図書館の専任教員の養成と採用の制度を説明している(35)

 次に日本の各地方公共団体の制度や現状についても調査が行われている。渡辺は教育委員会による、公立小中学校図書館の整備の推進要因の把握を目的として、各地方公共団体の教育委員会の政策や、学校図書館支援センターの現状と課題を明らかにした(36)。鈴木らは日本学校図書館学会静岡県支部調査研究委員会名義で、静岡県の教育委員会における学校図書館支援指導の状況(37)や文部科学省の「学校図書館の現状に関する調査」による静岡県の学校図書館の現状分析(38)を行っている。

 地方公共団体の対応について取り扱ったものとして、他にも野口らは学校図書館運営マニュアルの作成状況について都道府県教育委員会等に質問紙調査を行い、内容分析を行うことで全体的な特徴や対象者による内容の違いを明らかにしている(39)

 そして、文部科学省や各種団体の発表した基準を扱ったものとしては、岩崎の「IFLA/ユネスコ学校図書館ガイドライン」改訂版(E1724参照)の解説(40)、米谷と北の「教育の情報化に関する手引」と「教育の情報化ビジョン」に対する学校図書館との関わりからの分析(41)、柳の米国の学校図書館専門職員の質を保証する米国図書館協会(ALA)ならびに米国学校図書館員協会(AASL)の2003年・2010年基準の検討(42)、大城と坂下によるAASLによる2018年基準(E2006参照)の検討(43)、米谷と北による全国学校図書館協議会(SLA)の「学校図書館評価基準」に対する情報環境等の変化に反映した更新の提案(44)などが挙げられる(45)

 それ以外にも、本田は2011年の学習指導要領で明確となった「言語活動の充実」に向けて、学校図書館が果たすべき役割を論じ(46)、野口は特別支援学校における学校図書館の現状について、制度と実践の双方から検討を行っている(47)

 

5. 情報リテラシー,学校図書館活用スキルに関する研究

 情報リテラシーならびに学校図書館で身につけるべきスキルを扱った研究も数多い。

 まず河西は学校図書館における情報リテラシー教育の課題と展望を示す目的で、米国における情報リテラシー概念の発展と日本での受容について歴史的な経緯を解説している(48)

 塩谷は学校図書館の学習環境の改善は、児童の「情報活用スキル」の習得度の向上に効果があることを検証している。特に、情報活用スキルを繰り返して自覚的に使用する機会が必要であることを確認した上で、探究的な学習に必要な情報スキルについて、各教科で学ばせにくいものは司書教諭が指導に関わることで修得に効果があることを明らかにした研究である(49)

 立田は学校図書館の利用を通じて新たな読解力を評価するためのルーブリックの例を解説している(50)。ルーブリックについては、大作が日本の探究学習で利用可能な一般的ルーブリックを開発するために、米国のルーブリックの現状と課題の検討結果に基づいて原案を作成し、ルーブリック評価の活用を通じて、探究学習における学修支援のあり方について考察も行っている(51)

 他にも学校図書館で身につけるべきスキルとしては、矢野と中谷による小学生と短大生の詩の解釈を調べ、論理的思考力が身についているかの調査(52)、原口らによる科学的な「読み」を実現するための要素には物理的近さ、心理的近さ、タイミング、コミュニケーションの4要素があることを明らかにする研究(53)が挙げられる。

 こうしたスキルの習得をどのように指導していくのかについて、指導法の研究も行われている。例えば、新居は学校図書館において書架が作り出す仮想境界面が、教師による個別支援である「足場がけ」(scafolding)にどのような影響を及ぼしているのかを検証しており(54)、村上は、教科の指導と評価に学校図書館メディア活用能力育成の内容を関連させる実践を通じて、学校図書館メディア活用能力の育成と教科指導との両立が可能であることを確認した(55)

 原田と林による松江市における学校図書館を対象とした学び方の指導体系表の作成や、各学校での活用や教育関係者の評価についての報告(56)、小田の「読書へのアニマシオン」によって登場人物や内容についてどの程度の理解が促されたかの調査(57)も指導法の研究や効果を扱っていると言える。

 また指導の在り方については、庭井は各国の利用者教育の状況を踏まえた上で、中学生を対象とした学校図書館スキルの評価シートを試作し、その効果について明らかにしている(58)

 

6. 実践研究

 研究誌に絞っても学校図書館実践を主として取り上げる論文や報告は複数存在する。数が多いためここでは代表的なもののみ取り上げる。例えば、土井らの音についての豊かな学びを意図して、学校図書館を活用するプログラムの策定と実践を通じての検討(59)、伊吹のフェイクニュースを教材とした現代文における実践(60)、森高の読書感想画の授業実践(61)などがある。

 そして、江竜の英語多読用図書の提供や司書教諭による英語多読授業支援の効果の検証(62)、ユンの韓国における読書教育のための学校図書館・公共図書館の協力型プログラム「読書メンタリングプログラム」の開発や運営協力体制の検討(63)、小幡による読書支援を通じた中学生へのカウンセリングの応用可能性の検討(64)、国立国会図書館国際子ども図書館による学校図書館の授業支援サービスの実践研究やインタビュー調査(65)なども挙げられる。

 

7. 蔵書構築,組織化に関わる研究

 蔵書構築や、組織化についての研究も複数行われている。例えば、大川は学校で所有する史料を学校図書館のデジタルアーカイブとして公開した経緯や、公開した史料の解説を行っている(66)。また、小山は教育課程の展開に対応する学校図書館コレクション構築における課題を整理し(67)、学校図書館資料を選書するための指標の提案(68)や、先進的な取り組みを行っている事例についての考察(69)を行っている。そして、斎藤は学校図書館における担当者の選書意識の構造や現状と課題を明らかにするために、半構造化インタビューによる調査を行った(70)。資料選定委員会の開催や、選書基準の明確化が必要であることも指摘している(71)

 組織化の観点からは、小山による書道の分類に関する分類項目の追加提案(72)、全国SLAによる『小学校件名標目表第2版』について、瀬田による新設件名の難度の指摘と維持管理について検討(73)、村上による小学校件名標目表と基本件名標目表(BSH)を相互に利用するための統合的な手法の検討が挙げられる(74)

 本節の関連研究としては、選書に用いられるブックリストについて、掲載される児童書の傾向を扱った橋詰の研究も挙げられるだろう(75)。また論文ではないが、国立国会図書館国際子ども図書館による、学校図書館におけるコレクション形成の議論や、事例調査、蔵書データの分析、インタビュー調査など幅広い調査も重要な研究として挙げておきたい(76)

 

8. 養成・研修に関わる研究

 学校図書館に関わる専門職の養成や研修については、大学での教育活動ともつながることもあり、多くの研究が見られる。

 平久江は学校図書館担当者の養成と研修の現状と課題について2回の研究会を開き、その記録をまとめている(77)。中村はeラーニングによる国際連携の可能性(78)、日本の学校図書館関係教職員が海外事例を学ぶニーズの調査(79)、海外関係者を招いたシンポジウムの開催(80)に取り組んでいる。また杉浦は日本図書館情報学会によるLIPER報告書(CA1621参照)で提言された「情報専門職(学校)」を踏まえつつ、養成の現状や現職者の再教育について論じた(81)

 また司書課程科目の授業実践を題材とした研究としては、松戸による「読書と豊かな人間性」においてアクティブラーニングを用いた授業の実施と同科目に対するイメージを調査した事例(82)、庄と岡本による司書課程授業の実習を高等学校図書館で行い、実習プログラムを学生自身に設定させる授業の実施(83)、前田と徳田による教員養成大学における司書教諭養成科目での新聞活用教育の効果を論じた事例(84)、五十嵐のアクティブラーニングによる実践とその効果の検証(85)、岡田による司書教諭養成科目において学校図書館のイメージを絵で描く授業評価(86)が挙げられる。

 また現職への研修を扱ったものとして、富永の4年目教員を対象とした学校図書館を活用した授業スキル獲得のための教員研修とその成果の報告(87)、木幡と伊藤による学校図書館専門職の自己研鑽方法としてインストラクショナルデザインに基づいたeラーニング教材の開発が挙げられる(88)

 

9. 図書館史のアプローチ

 長尾の図書館史に関する文献レビュー(CA1938参照)でも紹介があるように、学校図書館史を扱った研究もこの期間継続して発表されている。長尾が紹介した文献以外にも、占領期の学校図書館政策に影響を与えた阪本一郎に対する研究(89)、占領期の教育指導者講習が行われた時期に発行されていた『IFEL図書館学』の分析(90)や愛知県教育委員会指導主事の嶺光雄に対する研究(91)、1950年代から1980年代までを対象とした学校図書館手引き書での高等学校図書館の授業実践の分析(92)、昭和から平成にかけての鹿児島県の学校図書館大会研究発表の分析(93)、1967年の高校標準法改正による高等学校の学校図書館事務職員の定数化の検討(94)などがある。

 また学校図書館史としては周辺となるが、鈴木貴史は「青少年読書感想文コンクール」における課題図書導入までの歴史を辿り、優良図書への誘導が形成されるまでの過程を批判的に検討しており、業界の取り組みを再検討しようとする動きもみられる(95)

 

10. “the library as place”の適用

 “the library as place”(CA1580参照)を学校図書館へ適用した研究も複数行われている。例えば、久野は「場としての図書館」理論を学校図書館研究に導入し(96)、研究の枠組みを援用して「文化センター」としての学校図書館を提唱した(97)

 また新居は昼休み時間を過ごす中学生にとって学校図書館が果たす機能について、質問紙調査ならびに参与観察を行い(98)、学校図書館が「第三の場所」としてどのように機能するのかマイクロ・エスノグラフィーの手法を用いて検討している(99)

 直接理論を適用した研究ではないが、橋本による図書室登校を行う高等学校生徒の参与観察の報告(100)や、生活動線の観点を導入した学校図書館の来館のしやすさや利用の実態の分析(101)もこれらの一環として位置づけられると思われる。

 

11. 学校図書館研究の理論構築

 小川は学校図書館研究における理論について提言を行っており、教育実践学に学校図書館を位置づけ(102)、白數とともに、学習観の変遷を整理し、構成主義的な教授学習論の検討を通じて図書館資料を活用した「科学的探究」の教授学習モデルを構築した(103)。また、学校図書館を「集合的活動システム」として位置づけた上での学校図書館活動を把握するための包括的モデルの開発(104)を行っている。枝元は探究型学習における構成主義的教育観や、情報リテラシーを巡る議論の整理を綿密に行い、教育実践でどのように適応されるかを紹介している(105)。根本は自身の学校図書館史の研究成果や海外の状況を踏まえつつ、現在の教育改革において学校図書館がどう振る舞うべきかについて、教育学の文脈で捉え直して論じている(106)。決して数は多くないが、今後の研究を深化させるために不可欠なアプローチである。

 

12. その他の研究

 以上、11の観点に分けて研究を整理してきたが、これらに該当しない研究を以下で紹介する。まず教材としての新聞の扱いについて、稲井は2008年版学習指導要領における学校図書館と新聞に関わる内容を整理し、学校図書館において新聞を活用する事の意義や教材・学習材としての位置づけを確認し(107)、村山と三上はNIE(Newspaper in Education)の全国大会と、全国SLAの研究大会における実践発表を分析し、学校図書館における新聞活用教育の実施を確認した(108)

 次に電子書籍やデジタル教科書について、米谷と北はデジタル教科書の普及のために「学校図書館の情報化」が促進されることが重要であると主張し(109)、井上は米国の学校図書館におけるコンピュータの整備状況ならびに電子書籍の普及状況を解説し課題を論じている(110)

 また、須永が国際学校図書館協会(IASL)の歴史と概要を紹介しているが(111)、同協会の2016年大会は東京で開催された(CA1886参照)。研究誌ではその様子は報告されていないが、全国SLAの機関誌『学校図書館』に個々の発表概要が掲載されていることを紹介しておきたい(112)

 また学校図書館がもたらす効果を検証したものとして、濵田と秋田による平成28年度文部科学省委託調査「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」のデータを使った研究があり、小中高校生の読書に対して影響を与える要因を検討し、読書に関する諸行動と読書の関連において学校図書館が果たす機能を明らかにしている(113)

 計量情報学のアプローチとしては、浅石が中学校・高等学校の教科書における知識の潜在的規模を推定するために、計量情報学の知見をテキストに適用した研究を行い(114)、学校図書館における計量書誌学データの存在とその活用について提言を行っている(115)

 学校教育法施行規則に基づけば、幼稚園にも図書室の設置が必要とされており、これは広義の学校図書館とも取れる。矢野は幼稚園における絵本の環境構成および保育者の役割を探るために面接調査や(116)、幼稚園の図書室のあり方を学校図書館の観点から検討するために、幼児の読書傾向などの調査を行っている(117)

 それ以外にも、重要な研究として、鈴木による静岡県で実施された静岡県学校図書館報コンクールを対象とした関係資料の調査と分析(118)、米谷による学校図書館の呼称と機能の認識についての考察(119)、金による学校図書館における自由研究の制度的な成立経緯と実践事例の検討(120)、大平による学校図書館の授業での活用を可能とする施策の検討(121)、福永による名古屋市の小学校における読み聞かせボランティアについて実態把握のためのアンケート調査が挙げられる(122)

 

13. 全体の傾向ならびに今後への展望

 以上の傾向を踏まえると、この10年間は学校図書館に関する研究は継続的に発表されており、期間が既存のレビューに比べて倍の長さになったことを踏まえても、研究文献の減少は見られず、学校図書館の研究は継続的に行われていると判断する。また学校図書館という観点だけではまとめきれないと思われるほどに、各文献が扱う内容やアプローチは多岐にわたっている。

 本研究文献レビューの本旨からは外れるが、文献のオープンアクセス(OA)について述べておきたい。今回対象とした文献の中には冊子体のみで刊行され、オンラインでの本文閲覧が一切できない雑誌があった。もちろん購読料による発行組織の維持のためにやむを得ない側面があるとは思われるが、一定期間の経過後にはOAでの公開を行い、他分野の研究者も閲覧しうるようなアクセス可能性を高める工夫が必要であると考える。

 アクセス可能性という観点から見れば、大学の機関リポジトリで公開される紀要論文については、オンラインで全文が閲覧できる。今回は必要に応じて取り上げるだけに留まったが、査読の有無の問題はあるものの、この期間紀要論文で発表された学校図書館の文献は300を超えている。これに学会発表の会議録も加わる(123)ため、研究動向の正確な把握のためには、これらを丁寧に検討する必要もまたあるだろう。

 

 本研究文献レビューを、私が研究者として独り立ちできるように叱咤激励してくださり、有形無形の支援を送り続けて下さった故平久江祐司先生に捧げる。

 

(1) 渡邊重夫. 学校図書館研究の近年の動向と今後の展望. 学校図書館. 2011, (723), p. 16-19, 41.

(2) 平久江祐司. “第1章 学校図書館に関する国内の研究動向”. 学校図書館への研究アプローチ. 勉誠出版, 2017, p. 13-28.

(3) 狩野ゆき.《Ⅱ.館種別状況》学校図書館. 図書館界. 2018, 70(1), p. 71-85.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.70.1_71, (参照 2020-07-20).

(4) もちろん、個々の博士論文において先行研究検討が行われる中で、学校図書館のレビューが全体的に行われる可能性があるが、あくまでもそれは博士論文の研究内容に合致したレビューであり、学校図書館の内容を全て網羅する内容とはならないと推測される。

(5) 平久江祐司. “第1章 学校図書館に関する国内の研究動向”. 学校図書館への研究アプローチ. 勉誠出版, 2017, p. 19.

(6) 塩見昇. 学校図書館専門職員制度化の課題. 図書館界. 2015, 66(6), p. 382-390.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.66.6_382, (参照 2020-07-20).

(7) 桑田てるみ. 新しい学校図書館像の構築と専門職養成に関する一考察, 学校図書館法改正を受けて再考する. 現代の図書館. 2015, 53(3), p. 113-119.

(8) 鎌田和宏. 学校図書館法の改正とこれからの学校図書館専門職の役割をめぐって. 現代の図書館. 2015, 53(1), p. 3-11.

(9) 木内公一郎. 横浜市学校司書配置政策の形成過程. 図書館界. 2017, 69(4), p. 216-234.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.69.4_216, (参照 2020-07-20).

(10) 小竹諒. 新任学校司書の職場適応に対する支援: 組織社会化戦術の観点から. 日本図書館情報学会誌. 2019, 65(3), p. 101-119.

(11) 吉澤小百合, 平久江祐司. 小中学校司書教諭・学校司書の学習支援に関する職務への教員の要望: 質問紙調査の分析から. 日本図書館情報学会誌. 2017, 63(3), p. 141-158.
https://doi.org/10.20651/jslis.63.3_141, (参照 2020-07-20).

(12) 庭井史絵. 学校図書館員と教員による指導上の役割分担形成プロセス: 学校図書館を利用した授業における協働の分析. 日本図書館情報学会誌. 2017, 63(2), p. 90-108.
https://doi.org/10.20651/jslis.63.2_90, (参照 2020-07-20).

(13) 西巻悦子. 学校図書館担当者による教育課程支援: 特色ある学校づくりへの貢献. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 31-46.

(14) 江竜珠緒. 日本の中等教育における英語多読の広がりと実践: 英語科教諭と司書教諭の連携に向けて. 日本図書館情報学会誌. 2018, 64(3), p. 99-114
https://doi.org/10.20651/jslis.64.3_99, (参照 2020-07-20).

(15) 松本美智子. 司書教諭の活動時間の確保と学校司書の配置が学校図書館利活用に与える効果. Library and information science. 2017, (77), p. 1-26.
http://lis.mslis.jp/pdf/LIS077001.pdf, (参照 2020-07-20).

(16) 松本美智子. 教員と学校図書館担当者の協働に求められる組織構成員の能力の育成: センゲの「学習する組織論」の視点から. Library and information science. 2019, (82), p. 23-45.

(17) 土井幸弘, 鈴木守, 海老原一彦, 浅井稔子, 井口繁和, 鈴木嘉弘. 静岡県市町教育委員会2018年度学校司書配置状況等の分析: 学校司書の配置で,学校図書館機能が動き出している事実が明らかに. 学校図書館学研究. 2019, 21, p. 45-61.

(18) 本間ますみ. 司書教諭の職務内容を明らかにし,その養成課程を考える. 現代の図書館. 2015, 53(1), p. 12-18.

(19) 竹市由美子, 福永智子, 山本昭和. 愛知県内の小・中学校における学校司書の実態: 小学校、中学校、特別支援学校へのアンケート調査から. 中部図書館情報学会誌. 2018, 58, p. 1-20.

(20) 福永智子, 山本昭和. 愛知・岐阜・三重県下の自治体における司書採用の実態: 公立図書館および学校図書館の職員について. 中部図書館情報学会誌. 2013, 53, p. 35-59.
https://8fcdfa39-a-62cb3a1a-s-sites.googlegroups.com/site/chuubutoshokanjouhougakkai/53fukunagayamamoto.pdf, (参照 2020-07-20).

(21) 杉浦良二. 学校図書館の格差 : 公立学校図書館の条件整備における国の責任. 学校図書館学研究. 2016, 18, p. 38-44.

(22) 米澤久美子, 千田つばさ. 公立学校図書館と都立高等学校図書館の財政事情. 現代の図書館. 2019, 57(4), p. 199-210.

(23) 杉浦良二. 学校図書館の民間委託に関する一考察: 三重県内公立小中学校における株式会社リブネットの事例から. 学校図書館学研究. 2015, 17, p. 23-31.

(24) 仲村拓真, 小田光宏, 庭井史絵, 堀川照代, 間部豊. 学校司書モデルカリキュラムによる養成技能の妥当性に関する研究: 学校司書が必要と認識する知識・技術の扱いに着目して. 図書館学. 2018, (112), p. 18-29.

(25) 川原亜希世, 岡田大輔. 特集, 2019年度研究グループ報告: 学校司書のモデルカリキュラム実施の実態について. 図書館界. 2020, 72(2), p.75-81.

(26) 野口久美子. 教員の読書指導への意識や実態を踏まえた学校図書館の支援のあり方: 高等学校を対象とした調査をもとに. 日本図書館情報学会. 2013, 59(2), p. 61-78.
https://doi.org/10.20651/jslis.59.2_61, (参照 2020-07-20).

(27) 野口久美子. 高等学校教員の読書指導に影響を与える要因: 教員の個人的な経験と読書指導をとりまく環境に着目して. Library and information science. 2015, (74), p. 1-29.
http://lis.mslis.jp/pdf/LIS074001.pdf, (参照 2020-07-20).

(28) 江竜珠緒. 学習を支援する学校図書館職員に求められる専門性とその養成. 現代の図書館. 2015, 53(1), p. 19-24.

(29) 平久江祐司. 言語活動の充実を支援する学校図書館, 地域連携型の学校図書館へ. 現代の図書館. 2014, 52(1), p. 47-52.

(30) 松田ユリ子. 学校図書館におけるコミュニティ形成プロセス. 現代の図書館. 2017, 55(3), p. 130-137.

(31) 杉浦良二. 松江市立小中学校図書館における『はだしのゲン』閲覧制限: 地方教育行政と学校図書館専門職の問題. 中部図書館情報学会誌. 2014, 54, p. 55-62.
https://8fcdfa39-a-62cb3a1a-s-sites.googlegroups.com/site/chuubutoshokanjouhougakkai/54sugiura.pdf, (参照 2020-07-20).

(32) 深谷優子; 林寛平, 秋田喜代美. スウェーデンの読書活動推進政策の展開: 学校図書館へのアクセスと機能を中心にして. 読書科学. 2014, 56(1), p. 14-25.
https://doi.org/10.19011/sor.56.1_14, (参照 2020-07-20).

(33) 須永和之. フランスの学校図書館. 日仏図書館情報研究. 2013, (38), p. 23-38.

(34) 須永和之. 映画から見るフランスの学校図書館. 日仏図書館情報研究. 2016, (41), p. 29-36.

(35) 須永和之. フランスのドキュマンタリスト教員の養成と採用. 現代の図書館. 2015, 53(1), p. 25-31.

(36) 渡辺暢惠. 市教育委員会における小・中学校図書館の整備推進の要因 : 4市の事例から. 日本図書館情報学会誌. 2013, 59(3), p. 101-118.

(37) 鈴木嘉弘, 海老原一彦, 土井幸弘. 教育委員会の学校図書館支援指導について. 学校図書館学研究. 2015, 17, p. 55-67.

(38) 鈴木嘉弘, 海老原一彦, 土井幸弘, 鈴木守, 浅井稔子, 萩田純子, 堀内典子, 井口繁和. 文科省「平成28年度学校図書館の現状に関する調査」における静岡県の現状分析と今後の課題. 学校図書館学研究. 2018, 20, p. 65-79.

(39) 野口久美子, 大作光子, 横山寿美代, 野口武悟. 学校図書館運営マニュアルの内容分析: 教育委員会等を対象とした調査から. 教育メディア研究. 2014, 13(1), p. 1-13.
https://doi.org/10.11304/jims.13.1, (参照 2020-07-20).

(40) 岩崎れい. 「IFLA/ユネスコ学校図書館ガイドライン」改訂版の内容とその論点. 現代の図書館. 2015, 53(2), p. 90-95.

(41) 米谷優子, 北克一. 『教育の情報化に関する手引』2010年版及び『教育の情報化ビジョン』の学校図書館とのかかわりからの分析: 「教育の情報化」の方向性に関する考察. 図書館界. 2012, 64(1), p. 20-35.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.64.1_20, (参照 2020-07-20).

(42) 柳勝文. アメリカにおける学校図書館員養成課程の質保証. 現代の図書館. 2015, 53(3), p. 120-126.

(43) 大城善盛, 坂下直子. 特集, 2019年度研究グループ報告: 学習者,学校図書館員,学校図書館のための全米学校図書館基準, フレームワークを中心とした分析. 図書館界. 2020, 72(2), p.89-95.

(44) 米谷優子, 北克一. 「学校図書館評価基準」改定の必要性とその試案: 情報化の進展等に対応して. 学校図書館学研究. 2013, 15, p. 25-51.

(45) また本研究文献レビューの学術雑誌13誌には含まれないが、大阪市立大学大学院創造都市研究科都市情報学専攻が発行する電子紀要『情報学』では、制度や基準を検討した文献が数多く収録されている。例えば、
川瀬綾子, 西尾純子, 森美由紀, 北克一. 学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議による「これからの学校図書館の整備充実について(報告)(素案)」に対する考察. 情報学. 2016, 13(2), p. 9-21.
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/il/meta_pub/G0000438repository_111S0000001-1302-2, (参照 2020-07-20).
西尾純子, 川瀬綾子, 森美由紀, 北克一. 全国学校図書館協議会「学校司書の資格について」の検討: 学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議への提出文献. 情報学. 2016, 13(2), p. 57-66.
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/il/meta_pub/G0000438repository_111S0000001-1302-6, (参照 2020-07-20).
など今回の研究文献が取り上げていない基準や報告も取り上げられているが、紙幅の都合上、割愛した。

(46) 本田浩子. 新学習指導要領の学校図書館機能活用における教科のための実践評価に関する考察: 英語科の視点より. 学校図書館学研究. 2011, 13, p. 5-17.

(47) 野口武悟. 特別支援学校における学校図書館の現状と展望. 現代の図書館. 2015, 53(3), p. 127-135.

(48) 河西由美子. 情報リテラシー概念の日本的受容: 学校図書館と情報教育の見地から. 情報の科学と技術. 2017, 67(10), p. 514-520.
https://doi.org/10.18919/jkg.67.10_514, (参照 2020-07-20).

(49) 塩谷京子, 情報リテラシー育成のための学校図書館における学習環境デザインに関する研究. 関西大学, 2016, 博士論文. http://doi.org/10.32286/00000204, (参照 2020-07-20).

(50) 立田慶裕. 読解力の発達を図る学校図書館利用のルーブリック. 情報の科学と技術. 2018, 68(8), p. 400-405.
https://doi.org/10.18919/jkg.68.8_400, (参照 2020-07-20).

(51) 大作光子, 探求学習における情報活用スキルに焦点をあてたルーブリックの開発. 筑波大学, 2019, 博士論文.
http://doi.org/10.15068/00159235, (参照 2020-07-20).

(52) 矢野光恵,中谷綾. 論理的思考力と感性をはぐくむ読書の在り方に関する一考察: 教育方法の視点を拓くための試案. 学校図書館学研究. 2016, 18, p. 13-27.

(53) 原口るみ, 大貫麻美, 土井美香子. 科学的な「読み」を実現する支援の要素に関する理論の構築と実践研究: 小学校における「空気」の出前授業と図書の時間連携の理科読事例の分析. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 5-19.

(54) 新居池津子. 書架の創出する場所が探究的な学習活動に取り組む中学生へ及ぼす影響: 学校図書館における教師支援としての足場がけに着目して. 読書科学. 2020, 61(3), p. 113-127.
https://doi.org/10.19011/sor.61.3-4_113, (参照 2020-07-20).

(55) 村上幸二. 融合方式による学校図書館メディア活用能力育成の実践的考察: 小学校国語科における指導と評価との関連を中心に. 図書館界. 2018, 69(5), p. 288-299.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.69.5_288, (参照 2020-07-20).

(56) 原田由紀子, 林良子. 松江市における「学び方指導体系表: 子どもたちの情報リテラシーを育てる」の活用について. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 100-112.

(57) 小田孝子. 「読書へのアニマシオン」の効果とその取組について. 図書館学. 2013, (103), p. 1-11.

(58) 庭井史絵. 学校図書館利用指導の再構築: 教科教員との協働型モデルに関する研究. 青山学院大学, 2019, 博士論文.
https://www.agulin.aoyama.ac.jp/repo/repository/1000/20309/, (参照 2020-07-20).

(59) 土井美香子, 大貫麻美, 原口るみ, 瀧上豊. 理科読の実践研究: 「音」をテーマとした小学校における教科横断授業の事例. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 73-79.

(60) 伊吹侑希子. フェイクニュースを素材にした情報活用能力を育む指導法の考察. 学校図書館学研究. 2019, 21, p. 17-30.

(61) 森高光広. 教育現場で「読書感想画」制作を実践する課題についての考察. 学校図書館学研究. 2019, 21, p. 61-79.

(62) 江竜珠緒 . 学校図書館における英語多読用図書の提供と支援の効果 : アクション・リサーチによる分析を基に. 図書館情報メディア研究 . 2019, 17(1), p. 1-17.
http://doi.org/10.15068/00157867, (参照 2020-07-20).

(63) ユンユラ. 韓国における学校図書館と公共図書館の協力型プログラムの開発: 読書メンタリングプログラムを中心に. Library and information science. 2016, (75), p. 137-160.
http://lis.mslis.jp/pdf/LIS075137.pdf, (参照 2020-07-20).

(64) 小幡章子 . 学校図書館における物語を介した心理的支援の試み: 教室に居場所を見つけられなかった中学1年生男子F君の事例 . 学校図書館学研究 . 2012, 14, p. 53-62.

(65) 国立国会図書館国際子ども図書館編. 図書館による授業支援サービスの可能性 : 小中学校社会科での3つの実践研究. 国立国会図書館国際子ども図書館, 2012, 80p., (国際子ども図書館調査研究シリーズ, 2).
https://doi.org/10.11501/3531104, (参照 2020-07-20).

(66) 大川功. 学校図書館におけるデジタルアーカイブの構築: 「語り継ぎ」から「語り上げ」へ. デジタルアーカイブ学会誌. 2020, 4(1), p. 7-15.
https://doi.org/10.24506/jsda.4.1_7, (参照 2020-07-20).

(67) 小山守惠. 教育課程の展開に寄与する学校図書館における選書の課題. 学校図書館学研究. 2015, 17, p. 43-53.

(68) 小山守惠. 教育課程の展開に寄与する学校図書館資料選定の在り方. 学校図書館学研究. 2016, 18, p. 28-37.

(69) 小山守惠. 教育課程の展開に寄与する蔵書構成へと移行するための資料選定の実務上の課題と解決策に関する考察. 学校図書館学研究. 2018, 20, p. 37-53.

(70) 斎藤純. 学校図書館の選書業務における担当者の意識の構造と課題: 公立中学校の学校図書館担当者へのインタビュー調査をもとに. Library and information science. 2019, (82), p. 1-22.

(71) 斎藤純. 中学校の学校図書館における選書の現状と課題: 選書実務における阻害要因の観点から. 学校図書館学研究. 2016, 18, p. 4-12.

(72) 小山守惠. 学校図書館における資料組織化: 728 書.書道の試案. 学校図書館学研究. 2012, 14, p. 41-51.

(73) 瀬田祐輔. 『小学校件名標目表 : 第2版』の維持管理に関する一考察: 件名新設作業を中心に. 中部図書館情報学会誌. 2011, 51, p. 1-11.

(74) 村上幸二. NDCと参照のリンクを用いた小学校件名標目表と基本件名標目表(BSH)の統合的検索手法の検討. 日本図書館情報学会誌. 2016, 62(3), p. 181-199.
https://doi.org/10.20651/jslis.62.3_181, (参照 2020-07-20).

(75) 橋詰秋子. 小学生用ブックリストの実態調査: 定量的観点による分析. 日本図書館情報学会誌. 2019, 65(1), p. 18-30.
https://doi.org/10.20651/jslis.65.1_18, (参照 2020-07-20).

(76) 国立国会図書館国際子ども図書館編. 学校図書館におけるコレクション形成: 国際子ども図書館の中高生向け「調べものの部屋」開設に向けて. 国立国会図書館国際子ども図書館, 2014, 104p., (国際子ども図書館調査研究シリーズ, 3).
https://doi.org/10.11501/8484023, (参照 2020-07-20).

(77) 平久江祐司編著. 学校図書館担当者の養成と研修の現状と課題に関する研究. 筑波大学メディア・教育研究会, 2015, 281p.

(78) 中村百合子. SFR研究「学校図書館専門職養成のためのeラーニングを活用した大学間国際連携の可能性」概要報告. St. Paul’s librarian. 2016, 31, p. 129-138.
http://id.nii.ac.jp/1062/00015012/, (参照 2020-07-20).

(79) 中村百合子, 森田英嗣. 日本での学校図書館関係教職員の英語による専門学習ニーズ: ISLF2018の事後調査を通して. St. Paul’s librarian. 2018, 33, p. 197-211.
http://id.nii.ac.jp/1062/00017989/, (参照 2020-07-20).

(80) 中村百合子. 巻頭言. St. Paul’s librarian. 2019, 34. (ページ付けなし).
http://id.nii.ac.jp/1062/00019257/, (参照 2020-07-20).

(81) 杉浦良二. 司書教諭免許制度に関する考察. 学校図書館学研究. 2012, 14, p. 23-39.

(82) 松戸宏予. アクティブラーニングを用いた授業デザインの検討: 「読書と豊かな人間性」における実践を通して. 学校図書館学研究. 2011, 13, p. 19-29.

(83) 庄ゆかり, 岡本恵里香. アクティブラーニング型学校図書室実習: 学生の実践力とその評価. 図書館学. 2017, (111), p. 1-8.

(84) 前田稔,徳田悦子. 学校図書館司書教諭の授業を核とする教員養成大学における新聞活用教育: モデルカリキュラムの開発・実施と評価. 学校図書館学研究. 2012, 14, p. 63-76.

(85) 五十嵐誓. 学校図書館を活用したアクティブ・ラーニングのあり方に関する検討: 教員養成大学における「学習指導と学校図書館」の実践を通して. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 89-99.

(86) 岡田大輔. 「学生が絵を描く授業評価アンケート」の司書教諭課程の科目ごとの分析. 図書館学. 2016, (108), p. 24-30.

(87) 富永香羊子. 学校図書館の活用における指導観および期待感尺度の開発: 市川市における若年層教諭に対する学校図書館活用研修から考える. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 47-61.

(88) 木幡智子, 伊藤真理. インストラクショナルデザインに基づく学校図書館専門家養成のための学習教材作成. 中部図書館情報学会誌. 2015, 55, p. 1-14.
https://8fcdfa39-a-62cb3a1a-s-sites.googlegroups.com/site/chuubutoshokanjouhougakkai/55itou.pdf, (参照 2020-07-20).

(89) 杉山悦子. 戦中・戦後の「読書指導」: 阪本一郎の場合. 日本図書館情報学会. 2019, 65(1), p. 1-17.
https://doi.org/10.20651/jslis.65.1_1, (参照 2020-07-20).

(90) 杉浦良二. 『IFEL図書館学』における学校図書館学研究. 学校図書館学研究. 2013, 15, p. 53-64.

(91) 杉浦良二. 学校図書館政策における指導主事の役割: 愛知県教育委員会・嶺光雄の事例から. 学校図書館学研究. 2014, 16, p. 23-30.

(92) 西巻悦子. 高等学校図書館と授業実践における課題: 1950年代から1980年代. 学校図書館学研究. 2014, 16, p. 31-41.

(93) 岩下雅子. 昭和20年代から平成30年までの鹿児島県の学校図書館変遷史: 鹿児島県学校図書館大会事例発表を通して. 図書館学. 2019, (114), p. 39-47.

(94) 鞆谷純一. 1967年の高校標準法改正による学校図書館事務職員の定数化について. 図書館界. 2014, 66(3), p. 224-233.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.66.3_224, (参照 2020-07-20).

(95) 鈴木貴史. 読書感想文における「自立した読者の育成」に向けた課題. 学校図書館学研究. 2019, 21, p. 4-16.

(96) 久野和子. 「第三の場」としての学校図書館. 図書館界. 2011, 63(4), p. 296-313.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.63.4_296, (参照 2020-07-20).

(97) 久野和子. 「文化センター」としての学校図書館: 「学習センター」「情報センター」「読書センター」に続く新しい学校図書館機能の提案. 学校図書館学研究. 2018, 20, p. 23-36.

(98) 新居池津子. 昼休み時間を過ごす中学生から捉える学校図書館の機能: 書架によって創出される場所における居方に着目して. 日本図書館情報学会. 2020, 66(1), p. 1-18.

(99) 新居池津子. 学校図書館は授業において「第三の場所」としてどのように機能するのか: 中学生に対する教師のインフォーマルなかかわりに着目して. 読書科学. 2018, 60(3), p. 173-186.
https://doi.org/10.19011/sor.60.3_173, (参照 2020-07-20).

(100) 橋本あかり. 図書室登校をしている生徒たちに関する実態調査: つつじヶ丘女学園高校(仮称)での参与観察から. 図書館学. 2019, (115), p. 1-10.

(101) 橋本あかり. 学校図書館利活用増進手法の模索: 生徒の生活動線と学校図書館の位置の空間的関係に着目して. 図書館学. 2019, (114), p. 31-38.

(102) 小川哲男. 教育実践学としての学校図書館学の構築. 学校図書館学研究. 2012, 14, p. 5-21.

(103) 小川哲男, 白數哲久. 図書館資料を活用した子どもの科学概念の構築を図る理科授業のデザインに関する実証的研究: 学校図書館学の教授学習論の構築を目指して. 学校図書館学研究. 2015, 17, p. 7-21.

(104) 小川哲男. 「質の高い知識体系」を構成する学校図書館の利活用に関する研究の包括的モデルの開発. 学校図書館学研究. 2018, 20, p. 5-21.

(105) 枝元益祐. 教科教育で展開される探究型学習に関する研究: 学校図書館活動と教科教育を繋ぐ関連性の再構築を目指して. 学校図書館学研究. 2013, 15, p. 73-95.

(106) 根本彰. 教育改革のための学校図書館. 東京大学出版会, 2019, 327p.

(107) 稲井達也. 学校図書館における教材・学習材としての新聞活用の意義と方法. 学校図書館学研究. 2014, 16, p. 5-12.

(108) 村山正子, 三上久代. NIEと学校図書館の連携にむけての一考察: 全国大会実践発表の調査より. 日本NIE学会誌. 2016, (11), p. 23-31.

(109) 米谷優子, 北克一. デジタル教科書と学校図書館: 教育の情報化をめぐって. 学校図書館学研究. 2014, 16, p. 43-59.

(110) 井上靖代. 米国の学校図書館と電子書籍, Common Core State Standardsが与える影響の可能性. 現代の図書館. 2013, 51(4), p. 217-222.

(111) 須永和之. 特集, 世界の図書館大会と国際交流: 国際学校図書館協会IASL大会. 現代の図書館. 2014, 52(2), p. 91-97.

(112) 2016IASL東京大会大会発表要旨. 学校図書館. 2017, (795), p. 20-22, 25-29, 31-35.

(113) 濵田秀行, 秋田喜代美. 小中高校生の読書に対する学校や家庭,友人間における行動の影響:学校図書館の魅力に注目して. 読書科学. 2020, 61(3), p. 143-153.
https://doi.org/10.19011/sor.61.3-4_143, (参照 2020-07-20).

(114) 浅石卓真. 教科書の中の知識: テキストの計量情報学的分析. 樹村房, 2020, 191p.

(115) 浅石卓真. 学校図書館における計量書誌学的データとその活用可能性. 情報の科学と技術. 2014, 64(12), p. 514-519.

(116) 矢野光恵. 子どもが選択した絵本を情報源とする幼児理解と保育者の教育活動との関連性: 保育室における絵本の環境構成の意義に注目して. 学校図書館学研究. 2017, 19, p. 17-30.

(117) 矢野光恵. 子どもが選択した絵本からみる読書傾向と保育者の教育活動との関連性: A幼稚園年長児の一年間の貸出調査から. 学校図書館学研究. 2015, 17, p. 33-42.

(118) 鈴木守. 学校図書館報のコンクールの考察: 静岡県学校図書館報コンクールの事例から. 学校図書館学研究. 2014, 16, p. 13-22.

(119) 米谷優子. 学校図書館はどのように称されているか: 学校図書館の呼称と機能の認識. 図書館界. 2019, 71(1), p. 16-35.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.1_16, (参照 2020-07-20).

(120) 金昭英. 学校図書館における自由研究の現状分析: 千葉県袖ケ浦市の「読書教育」を例にして. 東京大学, 2015, 博士論文.
http://doi.org/10.15083/00072951, (参照 2020-07-20).

(121) 大平睦美. 学校図書館におけるメディアに関する研究. 大阪大学, 2012, 博士論文.

(122) 福永智子. 名古屋市の小学校における読み聞かせボランティア: ボランティアの実態と意識の調査. 中部図書館情報学会誌. 2016, 56, p. 19-44.
https://8fcdfa39-a-62cb3a1a-s-sites.googlegroups.com/site/chuubutoshokanjouhougakkai/56fukunaga.pdf, (参照 2020-07-20).

(123) 図書館情報学以外の学会でも学校図書館に関する発表が行われる場合がある。例えば、
寺島大樹, 木尾卓矢, 中井孝幸. 5053 地域内における学校図書館と公共図書館の相互利用に関する研究 その1 学校と公共図書館の距離からみた定期的な読書活動. 建築計画. 2019, p. 105-106.
などが挙げられる。

 

[受理:2020-08-20]

 


今井福司. 2010年代の学校図書館に関する日本国内の研究動向:研究の多様化と学校図書館を取り巻く状況の変化を踏まえて. カレントアウェアネス. 2020, (345), CA1985, p. 23-30.
https://current.ndl.go.jp/ca1985
DOI:
https://doi.org/10.11501/11546856

Imai Fukuji
Research Trends on School Libraries in Japan in the 2010s: A Review of the Diversification of Research and Changes in the Circumstances of School Libraries

This research literature review focuses on trends in research on school libraries in Japan from 2011 to 2020. Thirteen major peer-reviewed journals were included in the review, along with reviews of articles and monographs as needed.
The review was divided into 11 perspectives, including school library professions, budget and employment conditions, professionalism, institutional and standards review, and information literacy.
The results of the review confirmed that research on school libraries has been ongoing for the past decade. The review also confirmed that the content of and approaches to research have been diversified. Issues of accessibility, including open access, and the need to consider bulletin papers published by universities were also suggested.