E210 – ビル・ゲイツの図書館プロジェクトとその成果 <文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.38 2004.06.16

 

 E210

ビル・ゲイツの図書館プロジェクトとその成果 <文献紹介>

 

Bill Gates: Why He Did It. American Libraries. 34(11), 2003, 48-53.
Kniffel, Leonard. When Stars Fell on Alabama. American Libraries. 34(11), 2003, 53-56.

 米マイクロソフト社のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は図書館の頼もしい支援者である。彼はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を通じ,1998年から2003年までに,約1億8千万ドルを投じて全米の公共図書館にコンピュータとインターネットを導入し,図書館員を対象にコンピュータの研修を実施するプロジェクトを行った。その終了を受けて,American Libraries誌2003年12月号にゲイツ氏へのインタビューと同プロジェクトのアラバマ州での成果が掲載されている。

 インタビューでゲイツ氏は,地方の図書館,特に貧困地域の図書館にインターネットを普及させデジタル・デバイドを減少させるというプロジェクトの目標はほぼ達成できた,と喜びをもって語っている(E188参照)。また,図書館にコンピュータやインターネットを導入することは新しいツールの提供に留まらず,公共図書館がコミュニティの中でいかに重要な役割を担っているかを地域の人々に思い起こさせるチャンスであるとも述べている。現に記事によると,同プロジェクトによってコンピュータが導入されたアラバマ州の公共図書館では,市民は様々な目的でコンピュータを使いに図書館を訪れ,図書館員も今やコンピュータは図書館を形作る主要な部分だと認識している。

 同財団は他にも,OCLCに資金を提供し,図書館における情報技術の活用に関するポータル「WebJunction」を構築するなどの図書館支援活動を行っている。こうした活動の今後にも注目したい。

Ref:
http://webjunction.org/do/Home
E188