カレントアウェアネス-E
No.34 2004.04.07
E188
米公共図書館のデジタル・デバイド対策の現状,報告書の発表
2月25日,マイクロソフト社のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は米国公共図書館協会大会の席上で,氏の設立したビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団による報告書『アクセスの平等を目指して:デジタル・デバイド対策における公共図書館の役割(Toward Equality of Access: The Role of Public Libraries in Addressing the Digital Divide)』を発表した。同財団は1997年から,図書館におけるインターネットアクセスの普及のために2億5千万ドル(約262億円)を超える資金提供や,図書館員がコンピュータ技術を修得する支援を行っている。
同書によると,インターネットアクセスの整備された公共図書館は1996年には全体の28%であったが,現在は95%以上にのぼり,約1,400万人の米国人が公共図書館でインターネットを利用している。さらに年収15,000ドル以下の世帯は年収75,000ドル以上の世帯に比べて公共図書館でのコンピュータ利用の割合が2〜3倍高く,家庭や職場にネット環境のない人々に対する図書館の貢献がうかがわれる。
一方で,不充分なコンピュータ設備,図書館員の更なる技術向上の必要性,予算削減による館の運営自体の圧迫(E010参照)などにおいて公共図書館は難しい問題に直面していると指摘されている。
Ref:
http://www.gatesfoundation.org/nr/Downloads/libraries/uslibraries/reports/TowardEqualityofAccess.pdf
http://www.gatesfoundation.org/Libraries/Announcements/Announce-040225.htm
E010