カレントアウェアネス-E
No.93 2006.10.18
E557
図書館職員向けeラーニングはトレンドだが・・・(米国)
2003年に活動を開始した図書館職員向けオンライン学習コミュニティWebJunctionが,図書館職員向けeラーニングに対する意識とニーズに関する調査を行い,その成果を公開した。興味があるが組織の方針が定まる見込みがない,価値をまだ評価できていないなど,これまでWebJunctionに寄せられてきた意見が,数値的に裏付けられるものとなった。
この調査は,Webjunction登録者や図書館継続教育ネットワークラウンドテーブル(CLENERT)等のメーリングリストを通じて広報された。合計651人が回答しており,そのうち公共図書館職員が65%を占めている。
調査結果によると,まず,所属組織が今後3年以内にeラーニングでの職員研修を実施する見込みとしている比率が70%,同じく1年以内の見込みが49%となっており,高い率で実施を検討していることがわかる。その利点としては,利便性,費用対効果,目的にあった研修が受けられることなどが挙げられ,また障壁としては,資金や時間の不足と,専門性が挙げられている。
また,回答者を開発者と購入者に分けて,それぞれの特徴を明らかにしている。開発者には,館種,予算規模,開発理由,参考としている情報源,現在のプログラムに対する満足度を,購入者に対しては,館種,予算規模,購入理由,現在利用しているプログラムの提供元,そしてそれに対する満足度をたずねている。それぞれ,「ある程度満足」が約5割なのに対し,「とても満足」は2割にとどまった。さらに,購入者には,興味のあるトピックについても調査している。レファレンスサービス,利用者サービス,情報リテラシーが上位を占めており,現状提供されているコンピュータスキルを中心とするプログラムとのずれが浮き彫りになっている。
以上の調査報告を総括して,WebJunctionは,eラーニングはトレンドだが発展途上であるとしている。今後,図書館職員のニーズにより合致したプログラムの提供が期待される。
Ref:
http://webjunction.org/do/Home
http://data.webjunction.org/wj/documents/14077.pdf