カレントアウェアネス-E
No.93 2006.10.18
E556
学生が創るオープンアクセス誌Library Student Journal創刊
図書館情報学専攻の学生による図書館情報学のオープンアクセス誌「Library Student Journal」(LSJ)が,2006年9月,オンライン上に創刊された。LSJは,米国のバッファロー大学の学生が編集する査読誌であり,将来図書館情報学の専門家となる人のための国際的な学術雑誌となることを目途としている。
投稿原稿には,記事,エッセイ,レビュー,論評,レターの5区分があり,原則として学生が執筆する。論評については,実務者や教育者も執筆できるが,新しい技術や将来の流行に関する記事に力点が置かれ,学生主体で編纂されている。
査読は最低3人が担当することになっており,そのうち2人は編集委員,1人はそれ以外が担当することになっている。編集委員は米国の図書館情報学専攻の学生を中心に現在25人ほどおり,外部査読者も含め引き続きボランティアを公募している。
このオープンアクセス誌は,スポンサー付オープンアクセス(OA)モデルの実験的試みでもある。ボランティアスタッフと,バッファロー大学のサーバと,少額の寄付により編集・刊行し,著作者にも読者にもコスト負担を求めないモデルを追及している。バッファロー大学大学院生のギニー(Eli Guinnee)編集長は,創刊号の論評の中で,図書館情報学は技術の進歩を活用できる立場にあること,既存の雑誌の出版モデルがオープンアクセスの普及により崩壊寸前にあることの2つの前提を指摘した上で,以下のように述べている。
「読者,著者,編集者のみなさんが,我々の取り組みから,図書館が出版社になれるということ,そして,図書館員がその多様な技能と情報資源を自由に駆使し,高品質な学術情報の出版に直接,積極的に携わるということを学び,手本としてくれることを願っている。」
このスポンサー付OAモデルの実践が継続されていくか,注目される。
Ref:
http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/index.php
http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/articles/guinnee_2006_9_open.html