E555 – デジタル資料の長期保存にCD・DVDを用いることのリスク

カレントアウェアネス-E

No.93 2006.10.18

 

 E555

デジタル資料の長期保存にCD・DVDを用いることのリスク

 

 1990年代初頭以後,文書館・図書館・博物館などは,所蔵資料をデジタル形式で長期保存するための媒体として,主にCD・DVDを用いてきた。ところが2000年前後,ハードディスクやそのバックアップ用磁気テープなどの保存媒体が高速化・低価格化し始めたのとほぼ同時期に,CD・DVDの信頼性に対する懸念が出始めた。

 このような中で,ユネスコの「世界の記憶」(CA918参照)プロジェクトの技術小委員会も,この懸念を最小化するための媒体および記録/再生装置の選択方法や記録・検証の手順を明確にするため,2006年6月,CD・DVDの信頼性に関する文書を公表した。この文書では,媒体の規格や記録方式(追記の可/否,片面/両面,一層式/二層式など),記録/再生時における媒体と装置との互換性など,CD・DVDの種類と特性を紹介した上で,媒体の選択,データの記録,検証などを行う際の留意事項や,許容できるエラーレベルについても触れている。CD・DVDを長期保存媒体として使用する際のリスクとその低減方法が端的にわかるガイドラインとして,活用できるものとなっている。

 なお,この文書では最後に,低価格化したハードディスクとそのバックアップ用磁気テープなどに触れ,これらがCD・DVDの代替媒体として有力な長期保存用媒体になりつつある,としている。

Ref:
http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22734&URL_DO=DO_PRINTPAGE&URL_SECTION=201.html
CA918