2025年6月24日付けで、図書館員の実践等に焦点を当てるオープンアクセス誌“The Journal of Creative Library Practice”に、図書館におけるセンサリースペース(sensory space)の設置に関する記事“Making Room for Everyone: A Practical Guide to Creating Sensory Spaces in Libraries”が掲載されました。著者は、米・モンタナ州立大学図書館のJacqueline L. Frank氏とJennifer Pawlak氏です。
センサリースペースとは、様々な感覚的体験を提供するために設計された特別な空間であるとされています。カラフルで活気があり、おもちゃやゲーム等が用意された、感覚を刺激する環境(high-sensory environments)と、静かで視覚的な刺激が少なく、照明や臭いに配慮するなど刺激を減らした環境(low-sensory environments)との二つがあるとされています。いずれも、主に感覚過敏の利用者等のニーズを満たすためのものですが、誰でも利用可能です。
記事では、世界の大学図書館におけるセンサリースペースの導入状況等が紹介されています。また、ケーススタディとして、著者らが所属するモンタナ州立大学図書館で2023年秋にオープンした感覚を刺激するスペースの設置について、提案・設計、予算、広報等を含めた、導入までのプロセスについて説明されています。
Frank, Jacqueline L.; Pawlak, Jennifer. Making Room for Everyone: A Practical Guide to Creating Sensory Spaces in Libraries. The Journal of Creative Library Practice, 2025.
https://creativelibrarypractice.org/2025/06/24/making-room-for-everyone/
参考:
感覚過敏の人に優しいプログラムや設備を図書館に追加する(記事紹介) [2025年03月19日]
https://current.ndl.go.jp/car/242712
下山佳那子. 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望―. カレントアウェアネス. 2024, (361), CA2066, p. 10-13.
https://current.ndl.go.jp/ca2069