カレントアウェアネス-E
No.159 2009.10.14
E984
中国国家図書館創立100周年記念式典の概要<報告>
2009年9月9日,中国国家図書館(CA1640,E755参照)は,その前身である京師図書館が開館した1909年から数えて,創立100周年を迎えた。これを記念して,9月9日・10日に,創立100周年記念式典と,「図書館の国際化:グローバルな知識共有の促進」をテーマとする国際シンポジウムが,北京の同図書館で開催された。国立国会図書館(NDL)からは長尾真館長が出席した。
記念式典は9日午後に,国家図書館に併設されたコンサートホールにおいて,国家図書館の元職員,国際シンポジウムの参加者,その他関係者数百名が参会する中で,約2時間にわたって執り行われた。主催者側の詹福瑞中国国家図書館長の挨拶の後,蔡武文化部部長(日本の文部科学大臣に相当),タイス(Ellen Tise)IFLA会長,呉建中上海図書館長の祝辞と,李長春中国共産党中央政治局常務委員の講話があり,いずれも図書館の社会的役割の重要性を強調するものであった。
国際シンポジウムは9日と10日の2日間にわたって,中国国家図書館第二期新館(E838参照)の学術交流エリアの講堂で開催された。海外・国内からの招待者147名が会場に参集した。詹福瑞中国国家図書館長,ニコルソン(Jennefer Nicholson)IFLA事務局長による基調報告の後,中国内外からの13名による報告が行われた。海外からは米国議会図書館,NDL,ロシア国立図書館,アレクサンドリア図書館,チェコ国立図書館,英国図書館,シンガポール国立図書館が,中国国内からは専門図書館,公共図書館,大学図書館および研究者が,各機関でのデジタルライブラリー事業の進展,国際的なプロジェクトへの参加,情報や知識を共有するための方策,国際的な人的交流等に対する取り組みについて報告した。長尾NDL館長は「電子図書館の建設-知識の共有を目ざして-」と題して,電子図書館構築の必要性,自然言語処理技術を応用した高度な検索機能や,機械翻訳技術を用いた世界的な知識共有の可能性等について発表を行った。
このほか,創立100周年に合わせて,甲骨文や西夏文献など貴重資料の展示会や,創立から今に至る100年の歴史を綴った展示会が,同図書館内の展示ホール等で催され,一般公開されていた。
(収集書誌部・加藤登茂子)