カレントアウェアネス-E
No.174 2010.07.08
E1069
CDNLAO 2010カントリーレポート(1) 中国,韓国
第18回アジア・オセアニア国立図書館長会議(CDNLAO)が2010年4月13日にシンガポールで開催された。この会議は,「アジア・オセアニアの協同に向けて」をテーマにしたもので,議事のほか,各国の国立図書館の動向及び各国内の最新の図書館事情についての報告(カントリーレポート)がなされた。これまでも『カレントアウェアネス-E』では,たびたびこのカントリーレポートについて内容の報告を行ってきたが(E519,E713参照),2010年度も今号から数回に分けてこのカントリーレポートを国別に紹介していきたい。
中国
2009年に開館100周年を迎えた中国国家図書館(NLC)は,国際図書館連盟(IFLA)の国立図書館分科会と共同で,「図書館の国際的発展:グローバルな知識共有の促進」をテーマとするシンポジウムを開催した(E984参照)。NLCによる国際協同活動はカントリーレポート内の各項目でも認められるもので,例えば,NLCとハーバード大学図書館が共同で進める漢籍のデジタル化事業,東京大学東洋文化研究所が今後電子化する4,000タイトル以上の漢籍のNLCを通じた一般公開などがそれにあたる。
そのほか,NLCと中国作家協会が共同で作成した「閲読中国」という,中国古典文学をインターネットで読むことのできるウェブサイトの公開や,図書館のリソースを広く家庭に普及させるために中国国家デジタル図書館が製作したデジタルテレビ番組の放送などが挙げられている。また,中国政府が公開する情報のオンラインで提供するポータルの開設が紹介されている。さらに国際的活動としては,NLCはワールド・デジタル・ライブラリーへ参加したほか,NLC内にIFLA中国語センターやNLC中国学センターを設立している。
韓国
2009年の概観の部分では,Dibrary(ディブラリー)と名付けられた国立デジタル図書館の開館(E934参照)が挙げられている。Dibraryは,国立中央図書館所蔵資料のフルテキストデータベースや,国立中央図書館が購入するデジタルコンテンツのほか、韓国内外の1,250機関から提供される1億6,000万に及ぶデジタルコンテンツを提供するものである。このほかには,国立書誌センターの開設,国立中央図書館の地図資料室や障害者のための利用室の開室が紹介されている。またモバイル端末で図書館資料を検索し,著作権法保護対象外の資料についてはそのまま利用可能とするサービスの開発についても報告されている。
図書館関連の法整備の動きもあった(E976参照)。この法改正によって,国立中央図書館の法定納本の対象が拡大され,オンライン資料もその対象に含まれることとなった。
さらに,韓国国内外との連携協力の動きが数点報告されている。特徴的なものを列挙すると,「朝鮮への窓」(Window on Korea)という朝鮮関係資料コレクションの海外の図書館での構築支援事業や,海外で朝鮮研究に携わる図書館をサポートするための,朝鮮研究図書館員国際ネットワーク(INKSLIB)のウェブサイト公開がある。
Ref:
http://www.ndl.go.jp/en/cdnlao/meetings/2010.html
http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/bulletin7-4-1.php
E519
E713
E934
E976
E984