図書館の自由委員会、「差別扇動本とされる蔵書の提供について」を公表

2015年6月、日本図書館協会(JLA)図書館の自由委員会は、同委員長名義で「差別扇動本とされる蔵書の提供について」を公表しました。

この文書は「反差別・反レイシズム」活動を行う団体「OoA.Against.Racism」から寄せられた『マンガ嫌韓流』の閉架願いについての公開質問状に対し、図書館の自由委員会の見解を示すものです。

公開質問状では『マンガ嫌韓流』シリーズを「図書館の自由に関する宣言」の第2-1-(1)「人権またはプライバシーを侵害するもの」に該当するとし、日本図書館協会の見解を尋ねています。今回、発表された「差別扇動本とされる蔵書の提供について」では、「『宣言』第2-1-(1)の「人権」を広く解して市民のアクセスを制約することは、『国民の知る自由』という基本的な権利を、資料と施設の提供によって保障することをもっとも重要な任務とする図書館としては、慎重であるべき」と述べています。また、「人権またはプライバシーを侵害」の判断基準については、「被害者の人権保護と著者の思想・表現の自由の確保とのバランス、および国民の知る自由を保障する図書館の公共的責任を考え」、「差別的表現は、特定個人の人権の侵害に直結するものを除き,制限項目に該当しない。」とする過去の規定を確認しています。

差別扇動本とされる蔵書の提供について(日本図書館協会 図書館の自由委員会)
http://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/cmnt201506.html

日本図書館協会 図書館の自由委員会様宛へ「マンガ嫌韓流」閉架願いについての「公開質問状」(OoA.Against.Racism (OoA公式)Blog、2015/5/12付け)
http://ooaagainstracism.tumblr.com/post/118770365284

参考:
【イベント】「図書館の自由に関する宣言」60周年記念講演会(8/8・東京)
Posted 2015年6月16日
http://current.ndl.go.jp/node/28680

E1472 – 「はだしのゲン」閲覧制限に関する図書館関係団体等の動き カレントアウェアネス-E No.244 2013.09.12
http://current.ndl.go.jp/e1472

CA881 – マドンナSexと図書館の自由 / 斎藤憲司 カレントアウェアネス No.166 1993.06.20
http://current.ndl.go.jp/ca881

JLA、素案「加害少年推知記事の扱い(提供)について」を発表
Posted 2006年11月6日
http://current.ndl.go.jp/node/4869