カレントアウェアネス-E
No.174 2010.07.08
E1068
LCSHに関する業務の改善状況についての報告(米国)
米国議会図書館(LC)のPolicy and Standards Divisionは,2007年に,米国議会図書館件名標目表(LCSH)の事前結合索引法(pre-coodination)の是非を検討し,事前結合方式の継続と,LCSHに関する業務改善のための提案等を示した文書を公表していた(E768参照)。2010年5月に,その後の業務改善状況等をまとめた報告文書が公表された。内容は,2007年文書の提案と行動計画に沿って,LCSHに関する業務の改善点等を列挙したものである。そのうちいくつかの点を紹介する。
<全般的なことについて>
- 件名標目についてのマニュアルの改訂版を2008年に刊行し,その内容について専門家が定期的にレビューを行っている。
- 件名典拠共同プログラム(SACO)において,協力者からの提案の処理状況をウェブで確認できるようにしたり,SACOの協力者を増やすための取組みを実施している。2009年度では,新しい標目の提案が3,739件,修正の提案が469件あった。
- 目録担当者の業務簡素化に向け,付与された細目の検証をするためのレコード(validation records)を5万件作成した。
- 1991年の細目に関する会議で勧告された事項についての対応など,細目の形式と適用について,見直しを進めている。
<図書館システムのフロントエンド検索エンジンについて>
- 主題アクセスのためのビジュアル化された方策について,LCの戦略イニシアチブ局(OSI)やスタンフォード大学の学生と実験的な取組みを行っている。
- ソーシャルタギングについては,セキュリティの問題から目録への直接の タギングは困難であるが,LCSH SKOSのインターフェースの活用や,目録 作成者向けのLCのサイト“Cataloger’s Desktop”及び“Classification Web”への機能追加等を検討している。
- Flickrで公開している写真に利用者から付与されたタグやコメントを,書誌データの改善に用いている。
<目録担当者の業務の簡素化について>
- 件名標目の自動付与に向けた取組みを継続中である。
- 2007年文書で言及されていた,形式細目の一部を独立した件名標目に変更するという提案は実施しないが,別途,ジャンル/形式標目(E916参照)のシソーラスを構築中である。
- LC SKOSウェブサイト“id.loc.gov”を2009年5月に開設し,LCSHの全標目を複数のフォーマットでダウンロードすることが可能となった。
Ref:
http://www.loc.gov/catdir/cpso/pre_vs_postupdate.pdf
E768
E916