E768 – LC,LCSHの事前結合/事後結合方式等に関するレポート公表

カレントアウェアネス-E

No.125 2008.03.26

 

 E768

LC,LCSHの事前結合/事後結合方式等に関するレポート公表

 

 結合索引の作成方法には,事前に有意味な順序で索引語を並べる「事前結合索引法(pre-coordination indexing)」と,個別の検索要求発生後に演算子を用いて索引語を組み合わせる「事後結合索引法(post-coordination indexing)」の2種類がある。米国議会図書館(LC)の目録政策・支援局(Cataloging Policy and Support Office)は,米国議会図書館件名標目表 (LCSH)の事前結合/事後結合方式の是非などに関する検討を行い,このほどその成果として“Library of Congress Subject Headings Pre- vs. Post-Coordination and Related Issues”が公表された。この検討作業は,LC収集・書誌アクセス部長による2006年の指示に基づき実施されたものである。

 このレポートの前半では,LCSH及び事前結合/事後結合方式に関する,これまでの議論が整理されるとともに,事前結合方式の長所(柔軟性,LCによるサポートなど)と欠点(複雑さ,利用者にとって難解,作成に関する高コストなど)について言及されている。これらの議論を受けて後半では,(1)事後結合方式に対する潜在的能力を最大化することとともに、事前結合方式によりもたらされる検索語の結合による利益も享受するための,事前結合方式による索引作成の継続,(2)LCSHやLCC(米国議会図書館分類表)を用いた新たな図書館蔵書検索インターフェイスの開発,それを用いた利用者の誘導,および利用者による検索語彙やフォークソノミー(CA1623参照)の追加の可能性の模索,(3)自動件名付与支援システムや結合した件名の自動照合検証システム,さらなるLCSHの体系化など,目録担当者の作業負担軽減に向けた取り組み,(4)2006年8月に実施されたLCの目録担当者アンケートの結果の反映,(5)目録担当者と利用者の両者を支援するアプリケーション開発に向けた,使用しやすいフォーマットでのLCSHのウェブ公開,の5点を推奨している。これらの推奨事項には,さらに詳細な行動計画が示されている。たとえば(1)では,目録担当者向けのマニュアル作成とガイダンスの実施やLCSH内部での一貫性向上と適用性改善に向けたレビューの実施,LCSHに対する提案や既存の標目の修正,新たな標目の追加について利用者から受け付けるウェ ブ・フォームの開設などを挙げている。

 LCSHに対しては廃止の提言(CA1617参照)もなされていたが,「書誌コントロールの将来ワーキンググループ」の最終報告書“On the Record:Report of The Library of Congress Working Group on the Future of Bibliographic Control”(CA1650E749参照)では,利用と再利用のためのLCSHの最適化が盛り込まれている。今回公表されたレポートのプレスリリースによると,最終報告書にもレポートの内容の多くが盛り込まれているという。なお本レポートには、近年のLCSHに関する議論や報告が末尾に添付されており,検討過程を知る上で有益な資料となっている。

Ref:
http://www.loc.gov/catdir/cpso/pre_vs_post.pdf
http://www.loc.gov/catdir/cpso/pre_vs_post.html
CA1617
CA1623
CA1650
E749