E1067 – JISC等による博物館・文書館・図書館のメタデータの共有計画

カレントアウェアネス-E

No.174 2010.07.08

 

 E1067

JISC等による博物館・文書館・図書館のメタデータの共有計画

 

 英国情報システム合同委員会(JISC)は,英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)と共同で,博物館・文書館・図書館(MLA)のリソースの探索に関するタスクフォース“Resource Discovery Taskforce”を立ち上げた。このタスクフォースは,MLA各機関のメタデータに焦点を当て,それらを共有化しリソースの探索インフラを提供することで,教育や研究を支援することを目的としている。2010年6月に,このタスクフォースのビジョン“One to Many; Many to One”と,このビジョンに基づく実施計画(Implementation Plan)が発表された。

 タスクフォースのビジョンでは,共同的・集合的・統合的なリソースの探索・提供インフラを通して,英国の研究者や学生が,コンテンツやサービスに容易にかつ継続的にアクセスするようになる,という将来像が掲げられている。また,関係機関・関係者間の連携と一連の流れが図式化されており,そこには,MLA各機関によるメタデータの提供,サービス提供者によるメタデータ集合体(aggregation)を活用したサービスの考案,MLA各機関のスタッフによるそれらのサービスの利用者への提供等が描かれている。このビジョンは,サービスやリソースの共有,関係機関のサポートといった内容を含む,JISCの2010年から2012年までの戦略計画にも対応するものとされている。

 実施計画は,タスクフォースのビジョンの実現のために策定され,以下のような7つの具体的な作業が挙げられている。

  • データ集合体を生成・管理・利用するためのフレームワークの構築
  • データ集合体の権利・ライセンスについての調査
  • データ集合体に提供する候補となるメタデータの選定
  • データ集合体の管理に最も適したメタデータ標準と技術の選定
  • データ集合体へのメタデータ提供に関する大学及び関係機関との共同プロジェクト
  • コンテンツの提供,集合体の生成,サービスの考案を担う人々へのサポート
  • コンテンツ提供者やサービス提供者,利用者らとの意見交換

 これらの作業は2010年6月から2012年12月までの間に行われる予定である。これらの中で鍵となるのはフレームワークの構築であり,また,フレームワークの維持においては,データ集合体を利用したサービスではなく,集合体そのものに重点が置かれると述べられている。

 今回の計画は,最初の段階では英国のみが対象とされているが,次の段階で欧州の図書館や文化機関にも適用できるものと見込まれている。将来的には,リソースの情報を活用したサービスが国や分野を越えて提供され,利用者は世界中のあらゆる種類のコレクションにアクセスできるようになるとのことである。

Ref:
http://www.jisc.ac.uk/news/stories/2010/06/discovery.aspx
http://ie-repository.jisc.ac.uk/475/1/JISC%26RLUK_VISION_FINAL.pdf
http://rdtf.jiscinvolve.org/wp/implementation-plan/
http://rdtf.jiscinvolve.org/wp/2010/06/08/launch-of-vision/