E838 – 中国国家図書館,第二期新館・国家デジタル図書館を開館

カレントアウェアネス-E

No.136 2008.10.01

 

 E838

中国国家図書館,第二期新館・国家デジタル図書館を開館

 

 99回目の創立記念日にあたる2008年9月9日,中国国家図書館が第二期新館および国家デジタル図書館(CA1640参照)を開館した。これは1975年,当時の周恩来首相による新館建設の提案・建設用地確保を礎とし,2001年からの第10次5か年計画において国の重点文化プロジェクトと位置付けられ,2004年末に着工し,建設が進められてきたものである。新館の総面積は80,538平方メートルで,第一期本館,古籍館(分館)とあわせると25万平方メートルと,国立図書館としては世界第3位の広さになったという。

 この新館の外壁・天井はすべてガラスカーテンウォールとなっており,中央部はアトリウムになっている。屋根は,水平方向に突き出した「大屋根」となっており,この中に位置する4,5階は,デジタル化した資料や電子書籍を閲覧するスペースとなっている。3階は大屋根を支える基礎の部分で,四方を展望できるエリアである。2階は建物の入口で,PC検索スペース,貸出カウンターがある。1階はホールなどを含む学術交流センターとレストラン,アトリウムの底に当たる地下1階は閲覧スペースおよび国家図書館4大コレクションの1つである『四庫全書』の展示エリアとなっている。地下2階,3階は閉架式書庫である。全体として下から上に向かって,過去から未来を表象するコンセプトを有している。

 この新館は読書サービスのためのスペースと位置付けられており,主に中国語の新刊資料と電子資料が提供される。電子資料としては,PCでの電子書籍,電子ジャーナル,電子新聞の提供のほか,持ち歩き可能な電子書籍リーダーで,Apabi社が提供する19万タイトル(38万冊)の電子書籍および1,000タイトルの年鑑が提供される。このほか,無線LANサービスの提供,電子タグ(RFID)の導入,視覚障害者のためのスペースの設置と「中国盲人デジタル図書館」ウェブサイトを通じた電子図書館サービス,携帯電話へのプッシュ型情報配信サービスなどが,新館のサービスの特徴とされている。

 新館で主に担われる国家デジタル図書館(CA1640参照)は,2005年から2010年までのプロジェクトであり,2008年6月時点で200テラバイトを超える容量のデジタルリソースが構築しているという。このうち130テラバイトが,中国国家図書館により作成されたものとのことである。

 この新しいサイトを拠点に,中国国家図書館がどのようなサービスを展開していくのか,大いに注目される。

Ref:
http://www.nlc.gov.cn/sztsg/eqgc.htm
http://www.nlc.gov.cn/syzt/2008/0909/article_140.htm
http://www.nlc.gov.cn/en/news/nlcnews_2008091102.htm
http://www.nlc.gov.cn/syzt/2008/0912/article_148.htm
http://www.nlc.gov.cn/syzt/2008/0911/article_144.htm
http://www.cdlvi.cn/index/node_149889.htm
CA1640