E978 – 世界図書館情報会議(WLIC):第75回IFLA年次大会<報告>

カレントアウェアネス-E

No.158 2009.09.16

 

 E978

世界図書館情報会議(WLIC):第75回IFLA年次大会<報告>

 

 2009年8月23日から27日まで,世界図書館情報会議(WLIC):第75回国際図書館連盟(IFLA)年次大会が「図書館が未来を創る:文化遺産を礎に」をテーマとして,イタリアのミラノ・コンベンション・センターで開催された。136か国から3,900名以上が参加し,日本からは,長尾真国立国会図書館(NDL)館長を団長とするNDLからの代表団7名を含む40名以上の参加者があった。

 23日の開会式では,本や印刷物に結び付けてイタリアの歴史や文化を紹介する劇をはさみながら,主催者であるイタリア国内委員会委員長やミラノ市長,ルクス(Claudia Lux)IFLA会長等の挨拶が行われた。

 大会会期中,90に近い公開セッションに加え,96機関が出展した展示会,103のポスターセッション等が行われた。中でも,Googleブックス和解案(E857E906E918参照)をメインテーマに取り上げた著作権その他法的問題委員会(CLM)と大学・研究図書館分科会の合同セッションなどが,多くの参加者を集めた。

 26日には約70か国の参加による国立図書館長会議(CDNL)がミラノの観光名所の一つであるスフォルツァ城で開催された。会議では,長尾NDL館長を含む4人のパネリストによるパネル・ディスカッションや,参加者が3つのグループに分かれて意見や情報を交換するグループ討議が行われ,電子図書館時代の国立図書館として,既存の業務・サービスとどのようにバランスを取るか,大規模デジタル化や著作権問題にどう取り組むか等の共通の課題に関する議論が行われた。

 同じく26日に行われた総会では,IFLAの活動報告,財務報告のほか,大会前に行われた次期会長及び運営理事会メンバーの選挙結果について改めて報告された。

 閉会式では,功労者,ニューズレターやポスターセッションの優秀者等が表彰された後,今大会前に急遽2010年の大会開催地に決定したスウェーデン・イエテボリが紹介されて参加者の拍手を浴びた。2012年の大会はフィンランドのヘルシンキで開催されることが発表された(2011年はプエルトリコのサン・ファンで開催予定)。また,今大会でIFLA会長がルクス氏(ドイツ)からタイス(Ellen Tise)氏(南アフリカ)に交代し,新旧の会長の挨拶が行われた。なお,大会に合わせて常任委員会等の役員会が開催されたほか,17のサテライトミーティングが大会前後にイタリア国内各都市や近隣の国で行われた。

                         (関西館・佐藤従子)

Ref:
http://www.ifla.org/annual-conference/ifla75/
http://www.ifla.org/en/annual-conference/ifla75/ifla-community-in-milan
CA1609
CA1610
E689
E857
E906
E918
E968