カレントアウェアネス-E
No.110 2007.07.11
E664
IFLAダーバン大会へ向けて―IFLA Journal誌が特集
隣国韓国で行われた国際図書館連盟(IFLA)年次大会(E546,CA1609, CA1610, CA1611参照)から1年のときが流れようとしているが,日本から遠く14,000キロ離れた地で,次の大会の準備が着々と進んでいる。2007年の第73回年次大会は,8月19日から23日までの日程で,南アフリカ共和国・ダーバンで開催される。
今回のテーマは「未来への図書館:進歩,発展,そしてパートナーシップ」である。IFLAでは既にウェブサイトでプログラムを公開しているが,機関誌“IFLA Journal”2007年6月号でも特集を組み,南アフリカを含むアフリカ中南部の図書館事情の紹介を行っている。この特集は,ダーバン大会で論議される主要な議題を網羅的に扱うよう企画されており,南アフリカのほか,ジンバブエ,ナミビア,ナイジェリアなど,各国の動向・事例を紹介する7本の論文が掲載されている。
Christine Stilwell氏の“Library and Information Services in South Africa: an overview(南アフリカにおける図書館・情報サービス: 概況)”は,今回のホスト国である南アフリカの図書館・情報サービス事情の紹介となっている。図書館や情報に関わる諸制度全体を踏まえた上で,政策,情報資源,サービスを整理しているほか,研修,専門職制などについても言及している。
またKarin de Jager氏の“Towards Establishing an Integrated System of Quality Assurance in South African Higher Education Libraries(南アフリカ高等教育図書館における品質保証統合システム)”では,南アフリカ高等教育委員会(CHELSA)が進めている,大学図書館における品質保証のための基準,規格,モデルの策定作業の進捗状況を紹介している。
このほか,ジンバブエにおける先住民の伝統的知識を保存する取り組み,スワジランド大学における情報サービスの改善に向けての戦略的計画,ナミビアにおける中小企業へのビジネス情報サービスの展開,南アフリカの学術コミュニケーションにおける電子媒体の影響,ナイジェリアにおける女性の政治参加促進のための図書館の役割に関する記事が掲載されている。このIFLA Journal誌の特集は,E603,E627で紹介した情報・文献などとともに,南アフリカおよびその近隣の図書館事情を知る,格好の情報源であると言え よう。
Ref:
http://www.ifla.org/V/iflaj/IFLA-Journal-2-2007.pdf
http://www.ifla.org/IV/ifla73/Programme2007.htm
CA1609
CA1610
CA1611
E546
E603
E627