カレントアウェアネス-E
No.113 2007.09.12
E689
世界図書館情報会議(WLIC):第73回IFLA年次大会<報告>
2007年8月19日から23日まで,世界図書館情報会議(WLIC):第73回国際図書館連盟(IFLA)年次大会が「未来のための図書館:進歩・発展・協力」をテーマとして,南アフリカ共和国ダーバンのインターナショナル・コンベンション・センター(ICC)で開催された。参加者は110か国以上から3,000名以上,そのうち1,400名近くが地元アフリカからの参加であった。日本からは,長尾真国立国会図書館(NDL)館長を団長とするNDLからの代表団6名を含む27名が参加した。中国からは100名,また昨年大会が開催された韓国からは80名の参加があった。
19日の開会式は,南アフリカの著名なストーリーテラーで作家・詩人のチーナ・ムショーペさんと子どもたちの司会により進められ,命がけでアパルトヘイトと戦ったオールビー・サックス憲法裁判所判事の基調講演は多くの参加者に感動をもたらした。
開会式の後,IFLAの機構改革に関するヒアリングが開かれ,事務の合理化と財政難のため部会の統廃合等をしたいとの提案について討論が行われた。
大会会期中は,90に近い公開セッションに加え,97機関が出展した展示会,80のポスターセッション等が行われ,大会前後には常任委員会等の役員会が開催された。また,15のサテライトミーティングも南アフリカや近隣の国で行われている。南アフリカ在住の日本人が中心のNPOによるブックモービルプロジェクトの紹介もあった。今回の大会参加者には,南アフリカの図書館に寄贈するため,児童書を持参することが呼びかけられ,多くの参加者が寄贈を行っている。アフリカンダンスなど民族性豊かな出し物が用意されたビーチ・パーティーや文化行事への送迎には,警備が立てられていた。
閉会式では,功労者,ニューズレターやポスターセッションの優秀者等が表彰され,2010年の世界大会は,オーストラリア・ブリスベンで開催されることが発表された。(2008年はカナダ・ケベック,2009年はイタリア・ミラノで開催予定)
閉会式後に開かれた評議会では,会費の値上げとIFLAが資金援助を受ける際の方針が提案されたが,出席者が定足数に足らず,後日郵送投票が行われることになった。今大会で,IFLA会長がアレックス・バーン氏(オーストラリア)からクラウディア・ラックス氏(ドイツ)に交代し,新旧の会長の挨拶が行われた。
22日には約60か国の参加による国立図書館長会議(CDNL)がICCで開催され長尾NDL館長が出席した。地域別の図書館長会議として新たにアラビア語圏の図書館長会議が発足したことなどが報告され,CDNLの将来計画について議論された。また同日,オランダ王立図書館及びオーストラリア国立図書館主催による「デジタルアーカイブと保存に関するアップデートセッション」というインフォーマルセッションも開催され,中井万知子NDL書誌部副部長がNDLの動向について発表した。
(報告:佐藤尚子)