E1214 – 世界図書館情報会議(WLIC):第77回IFLA年次大会<報告>

カレントアウェアネス-E

No.200 2011.09.08

 

 E1214

世界図書館情報会議(WLIC):第77回IFLA年次大会<報告>

 

 2011年8月13日から18日にかけて,世界図書館情報会議(WLIC):第77回国際図書館連盟(IFLA)年次大会(E689E835E978E1093参照)がプエルトリコ最大の都市サンフアンにあるプエルトリコ・コンベンション・センターで開催された。参加者数は2,500名を超え,日本からは国立国会図書館(NDL)代表団7名を含む20名以上が参加した。

 今回の大会は「図書館を越える図書館:すべての人々のための統合,革新,情報」をテーマとし,80以上の公開セッション,82機関が出展した展示会,165のポスターセッション等が行われた。また,大会に合わせて常任委員会等の役員会が開催されたほか,15のサテライトミーティングがサンフアン市内やプエルトリコの近隣諸国で行われた。

 14日の開会式では,冒頭にプエルトリコ国内委員会の委員長ヴィゴ-セペダ(Luisa Vigo-Cepeda)氏から,1994年のキューバ・ハバナ大会以来となるカリブ海地域での大会を「小さな」プエルトリコで開催できる喜びが涙ながらに語られた。サンフアン市長等に続いて登壇したIFLA会長のタイス(Ellen Tise)氏は,挨拶の中で「強者でも賢者でもなく,変化に対応できる者が生き残る」というダーウィンの言葉を引用し,図書館は自らの役割を絶えず再定義し,自己改革に取り組む必要があると述べた。プエルトリコ大学の歴史学教授ピコ(Fernando Picó)博士による基調講演の後,陽気なラテン音楽を演奏した地元の楽団には参加者から盛大な拍手が送られた。

 なお,開会式終了後には同じ会場で災害復興をテーマとした特別セッションが行われ,ニュージーランド・チリ・日本(日本図書館協会国際交流事業委員会委員長・三浦太郎氏)からの報告があった。

 15日には国立図書館長会議(CDNL)がプエルトリコ国立図書館で開催され,日本からは網野光明NDL収集書誌部長が館長代理として出席した。会議では昨年に引き続き「自然災害からの復興」と題したパネルディスカッションがもたれ,日本からは東日本大震災について報告した。そのほか,電子納本,デジタル化,リテラシーの3グループに分かれたグループ討議等が行われた。

 17日に行われたIFLA総会では,IFLAの活動報告,財務報告のほか,事務局長の留任,次期会長及び運営理事会メンバーの選挙結果について報告された。

 18日の閉会式では,次回の開催国フィンランドからの歓迎の挨拶に続き,2013年の大会がシンガポールで開催されることが発表された。

 タイス氏は今大会で会長の任期を終え,カナダのパラン(Ingrid Parent)氏が新会長に着任した。パラン氏は,自身のテーマを「図書館:変化を起こす力」(Libraries: A Force for Change)とすると発表し,会は閉幕した。

 今大会の詳細は『国立国会図書館月報』2011年12月号で報告される予定である。

(収集書誌部資料保存課・岡橋明子)

Ref:
http://conference.ifla.org/ifla77
E689
E835
E978
E1093