E1093 – 世界図書館情報会議(WLIC):第76回IFLA年次大会<報告>

カレントアウェアネス-E

No.178 2010.09.02

 

 E1093

世界図書館情報会議(WLIC):第76回IFLA年次大会<報告>

 

 2010年8月10日から15日まで,世界図書館情報会議(WLIC):第76回国際図書館連盟(IFLA)年次大会が「知識へのオープンアクセス-持続的な発展の促進に向けて」をテーマとして,スウェーデン第二の都市ヨーテボリのスウェーデン・エキシビション&コングレスセンターで開催された。128か国から3,300名以上が参加し,日本からは,長尾真国立国会図書館(NDL)館長を団長とするNDLからの代表団7名を含む25名以上の参加者があった。大会会期中,160近い公開セッションに加え,約80機関が出展した展示会,200のポスターセッション等が行われた。また大会に合わせて常任委員会等の役員会が開催されたほか,13のサテライトミーティングが大会前後にスウェーデン国内各都市や近隣の国で行われた。

 11日の開会式は,WLIC2010組織委員長のオルソン(Agneta Olsson)氏の 挨拶から始まった。経済危機により当初予定されていたオーストラリアのブリスベンでの開催が困難となり,急遽1年前にヨーテボリでの開催が決まったため(E978参照),準備期間の短さに起因する様々な困難に見舞われたが,今回無事に開催できる喜びに触れつつ,ヨーテボリへの歓迎の意が表された。引き続きIFLA会長のタイス(Ellen Tise)氏が「知識へのオープンアクセス」という今大会のテーマに沿い,知識が成功の鍵でありその知識の主要な供給源は図書館であること等を述べた。続くヨーテボリ出身の第60回国連総会議長のエリアソン(Jan Eliasson)氏の挨拶の後,余興として1970年代に世界的にヒットしたスウェーデン出身のポップ・ミュージック・グループであるABBAの楽曲のカバー演奏があり,会場内も総立ちとなって歌い踊り,盛り上がりを見せた。

 12日には国立図書館長会議(CDNL)がヨーテボリ大学で開催され,日本からは長尾NDL館長が出席した。会議では「自然災害からの復興」と題したパネル・ディスカッションのほか,電子納本,著作権,リテラシーの3グループに分かれたグループ討議等が行われた。

 14日に行われた総会では,活動報告,財務報告に続き,2011年の会費を2%引き上げる決議等が行われた。

 このほか今大会のテーマ「知識へのオープンアクセス」にふさわしく,セマンティック・ウェブやLinked Data等,図書館を取り巻く新しい潮流を扱うジョイントセッションも開催され,関係者の関心を呼んだ。

 15日の閉会式では,IFLA前会長ルクス(Claudia Lux)氏が最高功労者に選ばれたほか,ニューズレターやポスターセッションの優秀者等が表彰された。今後の年次大会は, 2011年はプエルトリコのサン・ファン, 2012年はフィンランドのヘルシンキで開催される予定である。2013年はアジア・オセアニアが会場となる予定であるが,日本も開催国として立候補しており,いずれの国で開催されるか注目されるところである。

(収集書誌部・東 弘子)

Ref:
http://www.ifla.org/en/ifla76
E978