E1215 – 「国立国会図書館資料デジタル化の手引2011年版」を公開

カレントアウェアネス-E

No.200 2011.09.08

 

 E1215

「国立国会図書館資料デジタル化の手引2011年版」を公開

 

 国立国会図書館(NDL)は2011年8月,同館ウェブサイトの「資料デジタル化について」のページにて「国立国会図書館資料デジタル化の手引」(以下「資料デジタル化の手引」という)の2011年版を公開した。

 「資料デジタル化の手引」は,NDLの所蔵資料を画像としてデジタル化する際の仕様を共通化し,技術を共有することを目的に,2005年11月に初版を刊行した(E413参照)。2005年当時,NDLでは,近代デジタルライブラリー,児童書デジタルライブラリー,貴重書画像データベースという3種類のデジタル化資料によるサービスを提供しており,2004年の「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」に即し,電子図書館事業を積極的に推進していた。なお当時は,マイクロフィルムからのデジタル化が主で,提供冊数も近代デジタルライブラリーで55,000冊ほどであった。

 「資料デジタル化の手引」初版は,このような状況をもとに,デジタル化の手順・技術,画像データの品質・管理・提供方法等を解説するとともに,著作権処理の方法や「マイクロフィルム化及び電子化作業仕様書」のサンプルを参考資料として掲載していた。なお,本書はNDLの遠隔研修「資料電子化の基礎」の補助教材にもなっている。

 「資料デジタル化の手引」2011年版は,技術動向及び国内外の規格に係る内容を最新化するとともに,2009年度補正予算により実施した約100万冊に及ぶ大規模デジタル化作業(E1193参照)で蓄積した知見を新たに追加している。以下,2011年版での改訂点を中心に説明する。

 まず,第1章は,初版で「デジタル化の対象資料およびデジタル化の手順」としていたものを2011年版では「デジタル化作業の概要」とあらため,デジタル化の工程フロー図を入れて,資料を直接スキャニングしてデジタル化する場合とフィルム撮影を行いデジタル化する場合とを解説している。第2章は「デジタル化の技術」で同じだが,初版にはない,海外でのデジタル化画像のフォーマットや解像度の事例を加えた。初版では第3章を「画像データの品質」,第4章を「画像データの管理」としていたが,2011年版では,第3章を「画像データ等の作製」,第4章を「画像データの品質検査」とし,デジタル化の実施工程に沿った内容とした。「品質検査」については,試験標板(品質検査用の試験図票を配置した用紙)の画像の目視検査,原資料の画像の目視検査の観点等を詳しく説明している。また,大規模に資料のデジタル化を行う際に重要となる「デジタル化のプロジェクト管理」を第5章に新設したのも2011年版の特徴となっている。

 なお,巻末の参考資料として,目次のテキスト化や公開する際の著作権処理方法の解説等とともに「図書の原資料からの電子化仕様書」のサンプルを付しているので,あわせて参照いただきたい。

(総務部企画課大規模デジタル化実施本部事務局)
(関西館電子図書館課)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html
https://ndl.secure.force.com/
E413
E1193