2023年9月19日、米国図書館協会(ALA)が、2023年の閲覧制限の申立て(book challenge)に関する暫定データを公開しました。
2023年1月から8月までの全米の学校図書館、公共図書館、学術図書館等における検閲の動きに関するデータがまとめられています。
発表によると、ALA知的自由部(OIF)は、同期間において695件の検閲の試みがあり、1,915タイトルが閲覧制限の申立ての対象となったと報告しました。
閲覧制限の申立てがあったタイトル数は、ALAが統計を開始して以降、最多であった2022年の同時期のデータに比べて20%増加しているとあります。また、全体に占める公共図書館における申立ての割合は、2022年同期間では16%であったのに対し、2023年では49%に増加していること等が述べられています。
申立ての対象となったタイトルの多くは、有色人種やLGBTQIA+コミュニティの人によって書かれた本、あるいはこれらの人について書かれた本でした。
American Library Association Releases Preliminary Data on 2023 Book Challenges(ALA, 2023/9/19)
https://www.ala.org/news/press-releases/2023/09/american-library-association-releases-preliminary-data-2023-book-challenges
参考:
米国図書館協会(ALA)、2022年の禁書に関する暫定データを公開:2022年の禁書の申し立て件数は2021年を上回る見通し [2022年09月22日]
https://current.ndl.go.jp/car/46873
閲覧制限の申立て(book challenge)が米国の学校司書に及ぼす影響(記事紹介) [2023年08月31日]
https://current.ndl.go.jp/car/192034
米国図書館協会(ALA)、検閲との戦いを支援するために100万ドルを分配へ [2023年06月29日]
https://current.ndl.go.jp/car/184454
米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2023年版)及び「2022年に最も批判を受けた図書」を公表 [2023年04月27日]
https://current.ndl.go.jp/car/180922
CA2029 – 米国の図書館における検閲に関する動向 / 小南理恵
カレントアウェアネス No.354 2022年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2029