閲覧制限の申立て(book challenge)が米国の学校司書に及ぼす影響(記事紹介)

2023年8月24日付けで、School Library Journal(SLJ)誌(オンライン)に、閲覧制限の申立て(book challenge)が学校司書に及ぼす影響に関する記事“Book Challenges Are Having a Chilling Effect on School Librarians Nationwide”が掲載されました。

SLJの調査報告書“2023 Controversial Books Survey:2022-2023 Data Comparisons”に基づく内容で、全米における閲覧制限の異議申立ての急増は学校司書を萎縮させており、申立ての内容を理由に書籍の購入を避けたり、蔵書から撤去したりする傾向が高まっているとしています。

記事によると、回答した図書館員の37%が閲覧制限の異議申立てが図書館による図書購入の決定に影響を与えたと回答しており、2022年の27%から増加しているとあります。また、回答者の24%が図書館の書籍や展示を巡って嫌がらせを受けた経験があると回答したとしています。そのほか、2023年に閲覧制限の異議申立てを経験した図書館員の割合は2022年の43%から38%に減少したものの、申立てのうち30%が書籍の撤去につながったことなどが述べられています。

Book Challenges Are Having a Chilling Effect on School Librarians Nationwide(SLJ, 2023/8/24)
https://www.slj.com/story/Book-Challenges-Are-Having-a-Chilling-Effect-on-School-Librarians-Nationwide-SLJ-Survey

参考:
米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2023年版)及び「2022年に最も批判を受けた図書」を公表 [2023年04月27日]
https://current.ndl.go.jp/car/180922

PEN America、2022年後半の米国の学校における禁書に関するレポートを公開 [2023年04月21日]
https://current.ndl.go.jp/car/180661

禁書という環境下における図書館業務:現場からの声(記事紹介) [2023年03月09日]
https://current.ndl.go.jp/car/173795

生徒は新しい本が欲しいのに、制約のために図書館員は購入することができない(記事紹介) [2023年02月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/171940

かつては聖域だった学校図書館、今は戦場に(記事紹介) [2022年11月02日]
https://current.ndl.go.jp/car/47102

米国の学校図書館で静かに本が撤去されている(記事紹介) [2022年04月05日]
https://current.ndl.go.jp/car/45936

CA2029 – 米国の図書館における検閲に関する動向 / 小南理恵
カレントアウェアネス No.354 2022年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2029