2024年3月14日、米国図書館協会(ALA)が、2023年に閲覧制限の申立て(book challenge)のあったタイトル数等を発表しました。
発表によると、検閲要請の対象となったタイトルは、2022年の2,571タイトルから約65%増加の4,240タイトルで、ALAによる記録開始以降最多レベルに達しました。
ALA知的自由部(OIF)では、2023年に1,247件の検閲の要請があったことが記録されており、以下の四つの重要な傾向が明らかになったとしています。
・ 2023年、圧力団体は学校図書館に加え公共図書館にも焦点を当てた。公共図書館の検閲要請の対象となったタイトル数は前年比92%増、学校図書館は11%増であった。
・ 一度に何十、何百という複数のタイトルの検閲を要請するグループや個人があったことで、対象タイトル数が急増した。
・ 性的少数者(LGBTQIA+)及び黒人・先住民・有色人種(BIPOC)の個人の声や体験を描写したものは、検閲要請の対象となったタイトルの47%を占めた。
・ 17の州では、それぞれ100タイトル以上について検閲が試みられた。
ALAでは、2024年の全米図書館週間(4月7日~13日)の「読む権利の日」(”Right to Read Day”)に当たる4月8日に、米国図書館界の概況をまとめた報告書“State Of America’s Libraries Report”と併せて閲覧制限申立ての多かった図書トップ10のリストを発表するとしています。
American Library Association reports record number of unique book titles challenged in 2023(ALA, 2024/3/14)
https://www.ala.org/news/press-releases/2024/03/american-library-association-reports-record-number-unique-book-titles
参考:
米国図書館協会(ALA)らによる禁書反対キャンペーン“Unite Against Book Bans”、ウェブサイト“Book Résumés”を公開:閲覧制限申立ての対象となった本の要約等を掲載 [2024年03月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/210664
米国図書館協会(ALA)、2023年の閲覧制限の申立て(book challenge)に関する暫定データを公開:公共図書館における申立てが急増 [2023年09月26日]
https://current.ndl.go.jp/car/193423
米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2023年版)及び「2022年に閲覧制限申立ての多かった図書」を公表 [2023年04月27日]
https://current.ndl.go.jp/car/180922
CA2029 – 米国の図書館における検閲に関する動向 / 小南理恵
カレントアウェアネス No.354 2022年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2029