2023年4月24日、米国図書館協会(ALA)が、米国図書館界の概況をまとめた報告書“State of America’s Libraries Report”の2023年版を公開しました。
全米図書館週間(National Library Week)にあわせて発表されたものです。発表によると、パンデミック3年目となった2022年においては、政治・経済・デジタル格差が拡大するとともに、本への批判が全国的に急増したとしています。
ALAが20 年以上前に図書館の検閲に関するデータの集計を開始して以来最多となる1,269件の閲覧制限の申立て(book challenge)があったと報告されています。また2,571タイトルが検閲の対象となり、これは2021 年の1,858 タイトルから 38% 増加しているとあります。閲覧制限の申立ての対象となった本のほとんどは、LGBTQIA+ や有色人種の人によって書かれたもの、あるいは彼らに関連するものであったとしています。
また、「2022年に閲覧制限申立ての多かった図書トップ10」(Top Ten Most Challenged Books in 2022)も公開されており、第1位はMaia Kobabeの“Gender Queer”でした。
発表の中では、図書への批判を含む情報へのアクセスを抑制する動きが活発化していることを受け、ALAが全米図書館週間の月曜日を「読む権利の日」(”Right to Read Day”)と定めたことが報告されています。なお、2023年の全米図書館週間は、検閲に対抗するための全国的な取組である”Unite Against Book Bans”の開始1周年にあたるとあります。
National Library Week kicks off with the highly anticipated annual list of Top 10 Most Challenged Books and State of America’s Libraries Report(ALA, 2023/4/24)
https://www.ala.org/news/press-releases/2023/04/national-library-week-kicks-highly-anticipated-annual-list-top-10-most
”State of America’s Libraries Report 2023”(ALA)
https://www.ala.org/news/state-americas-libraries-report-2023
https://www.ala.org/news/sites/ala.org.news/files/content/state-of-americas-libraries-report-2023-web-version.pdf
※2つ目のURLは報告書本体[PDF:18ページ]です。
参考:
2023年の「全米図書館週間」(National Library Week)は4月23日から29日まで開催
[2023年04月26日]
https://current.ndl.go.jp/car/180889
米国図書館協会(ALA)、25超の団体と協力して禁書反対キャンペーン“Unite Against Book Bans”を展開していると発表 [2022年05月20日]
https://current.ndl.go.jp/car/46163
米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2022年版)および「2021年に最も批判を受けた図書」を公表 [2022年04月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/45973
※タイトルと本文の一部を修正しました。(2024/3/25)
※本文の一部を修正しました。(2024/4/12, 2024/4/15)