生徒は新しい本が欲しいのに、制約のために図書館員は購入することができない(記事紹介)

米・ワシントンポスト紙に、2023年1月22日付で記事“Students want new books. Thanks to restrictions, librarians can’t buy them.”が掲載されています。

米国全土の州や地区が学校の図書館員が購入できる資料を制限しており、保護者や教育委員会による監視が強化される中で学校図書館が書架の本を維持するのに苦労している状況について述べられています。

同紙の分析によると、少なくとも10の州において、図書館にどのような本を置くかに関して保護者の権限を強化したり、生徒の本へのアクセスを制限する法律が可決されたと述べられています。

テキサスのある地区では、学校図書館員がこの1年で発注した冊数が前年を6,000冊も下回っているとし、これは新しい規則によって、教育委員会による書籍購入の承認前に保護者が検討するための期間が30 日必要になったためであるとしています。またペンシルバニア州では、本の購入にあたって校長の承認が必要になったために、例年600冊購入してきた図書館員が100冊しか購入できなかったことなどが述べられています。

Students want new books. Thanks to restrictions, librarians can’t buy them.(Washington Post, 2023/1/22)
https://www.washingtonpost.com/education/2023/01/22/students-want-new-books-thanks-restrictions-librarians-cant-buy-them/

参考:
米・EveryLibrary Institute、学校図書館向けデータベースの調達に関する法案のモデルを公開 [2022年12月23日]
https://current.ndl.go.jp/car/168752

禁書に対して今こそ「行動すべき時」:米・ブルックリン公共図書館長のインタビュー(記事紹介) [2022年11月28日]
https://current.ndl.go.jp/car/167017

米・EveryLibrary Institute、学校図書館向けデータベースの契約を規制しようとする立法の動きに関する報告書を公開 [2022年11月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/47109

かつては聖域だった学校図書館、今は戦場に(記事紹介) [2022年11月02日]
https://current.ndl.go.jp/car/47102

米・EveryLibrary Institute、禁書に対する有権者の認識に関する報告書を公開 [2022年09月22日]
https://current.ndl.go.jp/car/46870

米国の学校図書館で静かに本が撤去されている(記事紹介) [2022年04月05日]
https://current.ndl.go.jp/car/45936

小南理恵. 米国の図書館における検閲に関する動向. カレントアウェアネス. 2022, (354), CA2029, p. 2-5.
https://current.ndl.go.jp/ca2029

※本文の一部を修正しました。(2023/2/6)