2022年10月7日、米国における図書館のための政治活動委員会EveryLibraryの関連組織であるEveryLibrary Instituteが、学校図書館向けデータベースの契約を規制しようとする立法の動きに関して、報告書を公開したと発表しました。
報告書によると、米国では、州立図書館機関が図書館データベース、電子書籍、その他教育リソースを州レベルで契約して、学校図書館や公共図書館に提供しています。近年、学校図書館向けのデータベースが、ポルノや性に関する内容の資料を含んでいるという主張のもと、反アクセス団体から「攻撃」を受けており、また、「攻撃」が、学区でのコンテンツの検閲やアクセス遮断の試みから、州全体の図書館コンソーシアムに対する訴訟や、生徒やその家族のアクセスを過度に規制・抑制する法案の提案・制定へとエスカレートしていると述べられています。
報告書では、学校図書館向けのデータベースに対する規制の性質や歴史、2021年から2022年の学校図書館向けデータベースに対する規制についての総括、そのような規制に関する議論、規制法案に反対する論拠と反対する際の政策的な考察、州立図書館と教育機関への政策提言、学校図書館向けデータベースへのアクセスを支援するための積極的な立法を行うためのヒント、等がまとめられています。
レポートは、EveryLibrary Instituteのウェブサイト上で無料公開されていますが、閲覧には氏名・メールアドレス等の登録が必要です。
New Policy Report on Anti-Access Database Legislation(EveryLibrary Institute, 2022/10/7)
https://www.everylibraryinstitute.org/policy_report_antiaccess_db_legislation_2022
Weathering the Attacks on State Library Database Contracts – Policy Report(EveryLibrary Institute)
https://www.everylibraryinstitute.org/state_lib_db_contracts_report_2022
参考:
米・EveryLibrary Institute、禁書に対する有権者の認識に関する報告書を公開
Posted 2022年9月22日
https://current.ndl.go.jp/node/46870
米国で2022年の禁書週間が始まる(9/18-24):テーマは“Books Unite Us. Censorship Divides Us”
Posted 2022年9月21日
https://current.ndl.go.jp/node/46855
米国図書館協会(ALA)、25超の団体と協力して禁書反対キャンペーン“Unite Against Book Bans”を展開していると発表
Posted 2022年5月20日
https://current.ndl.go.jp/node/46163
米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2022年版)および「2021年に最も批判を受けた図書」を公表
Posted 2022年4月12日
https://current.ndl.go.jp/node/45973
米国図書館協会(ALA)、人種差別やLGBTQ+等に関する書籍を図書館から排除する取組に関する有権者・保護者への調査結果を発表
Posted 2022年3月25日
https://current.ndl.go.jp/node/45870
米国図書館協会(ALA)、米国の学校や図書館における書籍の検閲の実施に反対する声明を発表
Posted 2021年12月2日
https://current.ndl.go.jp/node/45270
PEN America、米国の学校における禁書に関する調査レポートとリストを公開
Posted 2022年4月18日
https://current.ndl.go.jp/node/46003