E463 – 電子ジャーナルの一括契約に関する調査(米国)

カレントアウェアネス-E

No.79 2006.03.22

 

 E463

電子ジャーナルの一括契約に関する調査(米国)

 

 北米研究図書館協会(ARL)は2005年11月から12月にかけ,加盟する123館に対し,Elsevier社,Wiley社など大手5出版社との電子ジャーナルの一括契約(bundle)についての調査を実施した。ARLは2003年にも同様の調査を行っているが, CA1586でもレビューされているように,一括契約が有するさまざまな問題点がよりはっきりと浮かび上がってきた。

 調査はウェブ経由で行われ,89館(72%)から回答を得た。回答館の93%が,5社のうち1社以上と契約しており,しかも大多数は複数社と契約している。上位3社はいずれも回答館の75%以上と契約しており,寡占状態になっていることがうかがい知れる。

 契約条件の傾向としては,(1)契約に関する非開示条項,(2)キャンセルを禁止する条項,(3)契約期間の長期性,(4)電子版のみの契約への移行,などが挙げられている。(1)については回答館の61%が,締結したいずれかの契約に非開示条項が存在するとしているものの,その数は契約数全体の3分の1程度に留まっており,図書館側の抵抗も大きいことがわかった。出版社によっても,その態度に大きな違いがあるという。また(2)については,自由にキャンセルできるという契約は全体のわずか3%であり,30%以上は全くキャンセルできないというものであることがわかった。(3)については,平均の契約期間が3年程度であること,(4)については,印刷版の購読を取りやめることによる割引率は約半数が10%未満とそれほど高くないことなどがわかった。

 前回の調査でも,非開示条項のため市場価格や先行事例の契約条件を知ることができず,各図書館は情報不足のまま交渉に入らざるを得ないという問題が生じていることはわかっていたが,今回の調査ではその実態がさらに明確に数値で裏付けられた。

Ref:
http://www.arl.org/newsltr/245/bundle.html
http://www.arl.org/newsltr/235/snapshot.html
CA1586