E462 – 愛国者法,図書館条項を修正して成立

カレントアウェアネス-E

No.79 2006.03.22

 

 E462

愛国者法,図書館条項を修正して成立

 米国で3月9日,上下両院を通過した愛国者法延長法案がブッシュ大統領の署名を得て成立した。これにより,紛糾が続いていた愛国者法(CA1547参照)の改正問題は,期限切れとなる16条項のうち14条項を恒久化し,議論の多かった2条項を2009年まで延長することで決着した。

 本来の期限である昨年末に決着せず(E428参照),2度の暫定的延長を行うという状況に陥っていたが,2月9日,反対に廻っていた共和党上院議員と政府側との間で法案を一部修正することで合意に達した。主な修正点は,(1)国家安全保障書簡(NSL)の公表禁止規定(E371参照)を緩和すること,(2)NSLの対象から図書館を除外することの2点で,米国図書館協会(ALA)の要求に一定程度答えた形となった。

 ただし,(1)公表できるのはNSLを受け取ってから1年後,かつ政府が機密でないと認めたものに限る,(2)図書館活動のうち電子メールの送受信など電子的通信サービスは捜査対象外としないとも規定されており,ALAは,図書館におけるプライバシー・市民的自由が十分保障されるのかがあいまいで,法的実効性があるのか疑問だとして,今後も改正を求めていくと声明を発表している。

Ref:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/03/09/AR2006030901307.html
http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/march2006/HousePATRIOTvote.htm
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/february2006a/patriotcompro.htm
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2006ndx/018feb17.htm
CA1547
E428
E371