カレントアウェアネス-E
No.65 2005.09.07
E371
愛国者法延長をめぐる緊迫した状況
米国愛国者法(CA1547参照)の延長をめぐる攻防が大詰めを迎えている。2005年末に期限切れとなる一部条項を恒久化もしくは延長する再授権法案が7月21日に下院を通過,7月29日に上院を通過しており,法案成立は決定的となっている。ただ,上院法案と下院法案には,連邦捜査局(FBI)の権限の範囲や,焦点となっている215条(図書館の業務記録を入手することができる条項を含む)の期限(上院法案が2009年,下院法案が2015年)などについて差異があるため,9月以降両院協議会で調整される予定となっている。
こうした状況の中,米国市民自由連合(ACLU)は8月25日,通常の裁判所命令が必要ない国家安全保障書簡(National Security Letter: NSL)によってコネチカット州の図書館が利用記録の提出を迫られたことを明らかにし,愛国者法に基づいたこうした捜査は違憲であるとして提訴したことを発表した。また,再授権法案審議の折,愛国者法の公表禁止規定によってこうした法執行の実態を明らかにすることができないとして,公表禁止規定の差し止めを求めている。NSLについては,2004年に連邦地裁で違憲判決が下されている(E254参照)。米国図書館協会(ALA)は,この裁判を支持し,公表が許されるならこの図書館を図書館界の代表として議会での証言に送る用意もあるとする文書を発表した。また,図書館に対する捜査に関する全国調査(E343参照)のフルレポートを公開し,捜査の実態を綿密に分析している。
Ref:
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2005ab/073aug01.htm
http://www.aclu.org/SafeandFree/SafeandFree.cfm?ID=18957&c=262
http://www.ala.org/ala/pressreleases2005/august2005/FBIACLU.htm
http://www.ala.org/ala/washoff/oitp/LawRptFinal.pdf
CA1547
E254
E343