E343 – 愛国者法が図書館に及ぼす影響−ALAとCLAの調査ほか

カレントアウェアネス-E

No.61 2005.07.06

 

 E343

愛国者法が図書館に及ぼす影響−ALAとCLAの調査ほか

 

 米国図書館協会(ALA)は,6月20日,愛国者法が米国の図書館に及ぼす影響調査の結果を発表した(CA1547参照)。この調査は全米の公共・大学図書館を対象にした標本調査で,記者発表によると2001年10月以降,連邦または州の捜査当局から図書館の利用記録等を求められたケースが,調査の対象となった図書館だけで,公共図書館63件,大学図書館では74件あった。また,回答した公共図書館の4割,大学図書館の1割が,利用者から愛国者法に対する図書館の方針を尋ねられたことがあるという。

 愛国者法の影響は米国内に止まらない。カナダ図書館協会(CLA)も愛国者法がカナダ国内の図書館に及ぼし得る影響をまとめた文書を作成し,注意を喚起している。

 一方,時限規定の期限を年末に控え,愛国者法をめぐる米国連邦議会での攻防が激しくなっている。下院では,6月16日, 2006会計年度の商務省・司法省・国務省歳出予算法案が可決された。この法案には,愛国者法215条に関わる予算の執行を禁じる規定がサンダース(Bernard Sanders)議員によって盛り込まれており,今後,上院でその是非が審議される(E316参照)。逆に,上院の情報活動特別委員会では,6月7日,愛国者法の時限規定を延長し,連邦捜査局の権限の強化を図る法案が承認されている。

Ref:
http://www.ala.org/ala/pressreleases2005/june2004abc/LawEnforcementStudy.htm
http://www.cla.ca/issues/privacy_briefing.pdf
http://www.ala.org/ala/pressreleases2005/june2004abc/sandersamendment.htm
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/june2005a/sanders.htm
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/june2005a/patriot.htm
CA1547
E316