カレントアウェアネス-E
No.62 2005.07.20
E355
文化遺産デジタルコンテンツの一元的提供について <文献紹介>
総務省. 「メタデータを活用した文化遺産情報のネットワーク利活用に資する技術の開発・実証」実験報告書. 2005. 58p. (オンライン), 入手先 < http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050704_2_2.pdf >, (参照 2005-07-13).
2003年4月,文化庁と総務省は,国や地方の文化遺産に関する情報のブロードバンドでの公開およびその利活用の促進を目的とした「文化遺産オンライン構想」を発表した。本構想により,既に2004年4月から,博物館・美術館・関係団体等によりデジタル保存されたコンテンツを集めたポータルサイト「文化遺産オンライン」が試験公開されている。この構想をさらに推し進める上で必要となるコンテンツの一元的な管理および検索・閲覧について,技術実験を行った結果が,7月4日,総務省から報告された。
本実証実験では,共通メタデータ体系として策定された「J/Meta」に則り文化遺産オンライン用のプロファイルを作成するとともに,メタデータの新規作成および各館既存/固有のメタデータからの一括変換が可能なツールを作成している。また,各コンテンツをデジタル著作権管理(DRM)技術で暗号化し,権利者の流通目的(販売,宣伝,調査研究等)に応じ,閲覧回数,期間,期限,保存可否,印刷可否,コピー可否等を制御できるようにした。このほか,コンテンツに流通コンテンツ記述子(DCD)および電子透かしを埋め込んだ原本性の確認システムや擬似課金システムの実験も行っている。
本実証実験により,メタデータ統一性の確保,著作権者の権利保護,コンテンツの原本性の保証等について相当の技術的成果が得られたが,コンテンツ流通を促進するに当たり,よりいっそう,権利保護とユーザの利便性のバランスを追求していく必要があると指摘されている。
Ref:
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050704_2.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050704_2_1.pdf
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/030422_9.html
http://bunka.nii.ac.jp/jp/index.html