E344 – 地域の図書館等におけるデジタル資料保存の調査(英国)

カレントアウェアネス-E

No.61 2005.07.06

 

 E344

地域の図書館等におけるデジタル資料保存の調査(英国)

 

 地方の図書館等における所蔵資料のデジタル化と保存の現状を把握することを目的に,博物館・図書館・文書館評議会(MLA)と電子情報保存連合(DPC;CA1467参照)が合同で行った調査の報告書が,6月16日に発行された。

 この調査は,9つあるMLAの地方機関のうち北西部および中西部の管轄区域内にある43の図書館等を対象にアンケート方式で行われたものである。主な質問項目は,デジタル情報の保存計画の有無,デジタル化された資料または最初からデジタル形式で生産された(born digital)資料の保有状況(数,予算,保存形式,記録メディア,管理方法),デジタル情報の保存に向けた各館の取り組み(保存計画に必要な活動のうち未着手のもの,人と予算以外に必要なもの,等)などであった。

 報告書によると,各館は,デジタル資料の保存について助言を必要としている,現在の活動はborn digital資料の扱いよりも蔵書のデジタル化が中心,といった傾向が見られる。また,各館,MLAの地方機関,DPCのそれぞれが取るべき活動についても,デジタル資料の長期管理を各施設の戦略計画に盛り込む,デジタル資料の保存を支援する団体を地域単位で設ける,保存形式,長期保存,運営管理の手法についてのガイダンスを行うなど,重要な14のポイントが挙げられた。また,これらの活動にあたっては,デジタル化した資料だけでなく,born digital資料も含めて一括して取り組む必要があるとも指摘している。

Ref:
http://www.mla.gov.uk/documents/mla_dpc_survey.pdf
http://www.mla.gov.uk/news/press_article.asp?articleid=821
CA1467