カレントアウェアネス-E
No.74 2006.01.11
E428
攻防続く愛国者法,暫定的延長の事態に
米国議会で攻防が続いていた愛国者法(Patriot Act;CA1547参照)の延長問題は,休暇に入る直前の2005年12月22日,現行法を5週間暫定的に延長させる事態となった。内容の審議は年明けに持ち越された形だ。
愛国者法延長法案は7月に上下両議会を一旦通過したが,両法案の内容に差異があるため両院協議会で調整されてきた(E371参照)。12月8日,より強い権限を捜査機関に与える下院法案を軸に合意を得たが,その後リベラル派の上院議員が市民的自由の過剰な制限を懸念し,超党派で法案の修正を求める状況になっていた。
12月15日に下院は,期限切れとなる16条項のうち14条項を恒久化し,最大の争点となった通称図書館条項(215条)と通信傍受条項を4年間の時限規定とする法案を通過させた。しかし,上院では採択に至らず,またブッシュ政権による令状なしの通信傍受が明るみに出たこともあり,12月21日,現行法のまま6か月延長(その後下院で5週間に短縮)させ,その間に審議を続ける暫定措置で決着した。今後も215条を中心に審議が続くものと思われ,米国図書館協会(ALA)はまた徹底的なロビー活動を展開することとなる。
なお,コネチカット州の図書館が起こした訴訟は,9月に連邦地裁で国家安全保障書簡(NSL)の公表禁止規定を違憲とする判決が下されたが,現在控訴審に持ち込まれている。
Ref:
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/december2005ab/patriotextend.htm
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/22/AR2005122201229.html
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2005ab/128dec22.htm
http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d109:H.3199:
http://www.libraryjournal.com/article/CA6256310.html
CA1547
E371