カレントアウェアネス-E
No.74 2006.01.11
E429
読書の振興に関する法律案も相次ぐ(韓国)
E376およびCA1578で既報のとおり,韓国の国会では「図書館および読書振興法」の改正作業が行われている。この改正作業においては,現行法を分割し,図書館に関する法律とは別に読書振興に関する法律を制定する方向で検討されている。これを受ける形で,2005年10月から11月にかけて,読書振興に関する3つの法案が与野党の議員から国会に発議された。
10月13日の「学生読書活動の振興法」案は,学校現場における組織的・計画的な読書教育プログラムを運営するよう,国家および地方自治体の施策を求めている。10月26日の「読書文化振興法」案も,韓国人の読書時間の少なさに関する報道(E387参照)への危機感に端を発し,学校教育での読み書き能力の涵養,読書関連の教科用図書の発行など,読書文化振興のための施策を求めている。いずれも野党議員主体の発議であり,現行法の読書振興に関する部分を引き継いでいるが,10月13日案は教育委員会に,10月26日案は文化観光委員会に回付されている点,また後者には,学校以外の読書に関する規定,国内外の出版物を翻訳し海外交流を行うという規定がある点で異なっている。
11月24日の「青少年読書振興法」案は,10月26日案と同じ問題意識から出発しているが,与党議員が提出した法案である点,また読書振興の資金確保のために基金を設けるとしている点で他案とは大きく異なる。この基金は,音楽・映像コンテンツやゲームの提供業者,マンガや学習教材など青少年関連の出版社,携帯電話の提供業者など,青少年を対象としたサービスを提供している業者に対し,売上額の一部を納付させて作るものであり,青少年図書館の施設拡充・運営や,読書支援事業等に用いられるとされている。
これらの3案は「図書館および読書振興法」の改正案とともに,今後国会で審議されていく予定である。
Ref:
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/172922_100.HWP.PDF
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173083_100.HWP.PDF
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173460_100.HWP.PDF
E376
CA1578
E387