E430 – 研究図書館のサービス部門はどう変わったか?(米国)

カレントアウェアネス-E

No.74 2006.01.11

 

 E430

研究図書館のサービス部門はどう変わったか?(米国)

 

 米国研究図書館協会(ARL)は2005年12月,同年春に行ったアクセスサービスとそれを担当する部門に関する調査の報告書を公表した。ARLは1991年,従来“貸出し(Circulation)”と名付けられていた図書館資源の提供部門を,サービスの多様化に伴って“アクセスサービス(Access Services)”と呼ぶようになった図書館が増えてきたことに関する調査報告書を出した。今回の報告書は,1995年以後の状況をフォローアップしたものである。

 貸出し/アクセスサービス部門が担当するサービスの中核は,1991年以来ずっと(1)貸出し,(2)書庫管理と排架,(3)宣伝・広報(billing),(4)入退館管理,(5)予約の5種類のままであるが,1995年以後,組織改編によって,新着雑誌,マイクロ資料,インフォメーション・デスク,ILLといった従来は他の部門に属していた機能を,貸出し/アクセスサービス部門に吸収させる図書館が増えてきている。また,貸出し/アクセスサービス部門がキャンパス内のドキュメント・デリバリー,ノートパソコンの貸出しなどの新しいサービスを提供するようになった図書館が2〜3倍に増加したという。このほか,サービスポイントの整理・統合,広報,製本,ILLの受付・管理といった業務での機械化の進展,ILLや書庫資料の請求におけるセルフサービスの増加などの傾向が見られる。

 職員については,サポートスタッフが減り学生アシスタントが増加したこと,機械化に伴う業務の複雑化と専門性の低下により,部門をまたいだ研修の必要性が認識されていることなどが明らかになった。またほとんどの図書館が貸出数をはじめ各種サービスの評価を行っており,特にLibQUAL+(CA1526参照)を利用して利用者満足度調査を行っている館が70%に達しているという。

Ref:
http://www.arl.org/pubscat/pr/2005/announcespec290.html
http://www.arl.org/spec/SPEC290web.pdf
CA1526