E376 – 「図書館および読書振興法」の改正案,相次ぐ(韓国)

カレントアウェアネス-E

No.66 2005.09.21

 

 E376

「図書館および読書振興法」の改正案,相次ぐ(韓国)

 

 韓国の国会で,図書館および読書振興法(CA1018参照)の改正作業が続いている。2002年に文化観光部が策定した「図書館発展総合計画」では,法律・制度的改善の必要性が挙げられていたものの,2003年の法改正では,軍における知識基盤確立のため兵営図書館を設ける旨が追加されたに留まっていた。

 2005年に入り,まず3月2日に,図書館での携帯電話等の利用が利用者の邪魔になるとして,電波遮断装置を設置可能にする一部改正案が提出された。続いて4月26日,視覚障害者の人権保護と社会参加のため,国立視覚障害者図書館を新設する一部改正案が提出された。

 6月1日には,図書館発展総合計画に基づき,知識基盤社会の核心的な情報文化センターとして図書館を育成するための全面改正案が提出された。この法案には(1)法の名称を「図書館法」とする,(2)法の目的として国民の情報アクセス権と知る権利の保障,情報格差解消を明示する,(3)図書館政策を提案する図書館情報政策委員会を設立する,(4)図書館政策の樹立・施行のため,地域ごとに広域代表図書館を設置する,(5)国立障害者図書館支援センターを設立する,などが含まれている。この法案の代表発議者は国会の文化観光委員長であり,与党を中心とした超党派の議員団から提出された。韓国図書館協会も立案に際しての公聴会の司会・パネリストを務めるなど協力していた。

 さらに9月1日になって,野党の議員団から別の全面改正案が提出された。この法案では,読書振興に関する記述を別法にするとしているほか,韓国固有の図書館未満の読書施設「文庫」の設置・運用に関する記載がある点が,6月1日案と大きく異なる点である。障害者だけでなく子どもや情報脆弱階層への支援,地域ごとの保存図書館の設置なども掲げられている。一方で,図書館法への名称変更,障害者サービスのための図書館設置など,6月1日案と同様の内容も含まれている。9月13日には,各案の回付を受けた文化観光委員会が,3月2日案を除く3案に対する公聴会を開催しており,今後の動向が注目される。

Ref:
http://www.mct.go.kr/korea/office/notify/notify_view.jsp?menu=121&viewFlag=read&oid=@30680%7c2%7c1
http://search.assembly.go.kr:8080/bill/billview.jsp?billid=030116
http://search.assembly.go.kr:8080/bill/billview.jsp?billid=030515
http://search.assembly.go.kr:8080/bill/billview.jsp?billid=030754
http://search.assembly.go.kr:8080/bill/billview.jsp?billid=031619
http://www.korla.or.kr/spboard/board.cgi?id=library_info&action=view&gul=3386
http://www.korla.or.kr/community/notice/view.asp?pkid=202&page=1&searchField=&searchValue=&BBSCode=N0013
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/jk_07_kr_01.pdf
CA1018