CA1018 – 韓国の「図書館および読書振興法」 / 大口里子

カレントアウェアネス
No.192 1995.08.20


CA1018

韓国の「図書館および読書振興法」

韓国では昨1994年3月3日,図書館および読書振興法が国会を通過し,同年3月24日に公布されて,7月から施行された。

同法が制定されたのは,図書館が決定的に不足している現在,国家的次元で図書館を設置し,国民一般に読書の機会をより多く提供するためである。これにより1991年に制定された図書館振興法(CA737参照)は廃止された。

以前の図書館振興法では,公共図書館を建てる場合,最低300坪の面積に閲覧席が200席以上,基本蔵書数が15,000冊,年間蔵書増加分が1,500冊以上なければならず,こうした規模の図書館新築は困難であった。新法によって公共機関に限らず,民間団体,企業体等にこの基準に満たない小さな図書館(文庫)を設置することができるようになり,また民間団体,企業体等が図書館および読書振興基金に寄付する場合には,税金の控除を受けることができるようになった。

『国会図書館報』ではこの法律の主要骨子として次の3点を挙げている。

  1. 図書館の一般的な目的と機能を遂行しているが,図書館の基準に達していない規模の読書施設として文庫を設立することができる(法第2条第2号)。
  2. 図書館および文庫の設立,施設および資料の拡充,読書の振興に必要な資金を充当するため図書館および読書振興基金を設置し,文化体育部長官がこれを管理・運用する(法第9条)。
  3. 図書館または文庫は業務の相互協力と共同利益の増進のため文化体育部長官の許可を受けて,図書館協会または文庫協会を設立することができる(法第14条)。

今年3月の出張時に,韓国の国立中央図書館の職員から,この法に関連した新しい動きについて聞く機会を得た。韓国の図書館各機関は,文庫の設置とともに読書の生活化,読書教育,読書の月の設定等,国民的な読書運動を進め,国民が図書をたくさん読むようにするために,現在同法に沿ってさまざまな計画を立てている由である。韓国の図書館界は活発に活動しているという印象を強くした。

〈参考:主な条文〉

第1章 総則第1条(目的) この法律は図書館および文庫の設立・運営と読書振興のための環境造成に必要な事項を規定し,図書館および文庫の健全な育成と読書増進活動を活性化し,社会各分野に対する知識・情報の提供および流通の効率化と文化発展および平生(生涯)学習に資することを目的とする。

第2条(定義)

2. 「文庫」とは,図書館の一般的な目的と機能を遂行しているが,第5条の規定による図書館の基準に達しない規模の読書施設をいう。

第9条(図書館および読書振興基金) 1)政府は図書館および文庫の設立,施設および資料の拡充,司書職員の資質向上および研究,その他図書館発展と読書振興に必要な資金を充当するため図書館および読書振興基金(以下「基金」という)を設置することができる。2)基金は次の各号によって文化体育部長官が管理・運用する。

1. 図書館および文庫の設立・運営に必要な経費の補助(以下の項略)

第10条(図書館および読書振興委員会) 1)図書館の均衡のとれた発展と読書振興に関する次の重要事項を審議するために文化体育部に図書館および読書振興委員会を置く。

1. 図書館発展基本政策(以下の項略)

第7章 文庫

第39条(文庫の設立) 1)中央行政機関の長は所管政府機関および関連団体の中で図書館が設立できない機関等に対して大統領令で定める施設基準に達する文庫を設立するように積極的に奨励しなければならない。

4)私立文庫を設立・運営しようとする者は文化体育部令の定によって市長・郡守に申告しなければならない。

第40条(文庫の運営) 1)文庫の設立者は読書資料の拡充と読書指導の実施等,読書振興のために努力しなければならない。

3)私立文庫は該当地域に所在する公共図書館の指導・支援を受けて運営する。

第9章 読書振興

第46条(国家および地方自治団体の任務) 1)国家および地方自治団体は他の法律の規定によって,読書振興のために必要な施策を講究しなければならず,次の各号の方法で読書振興のための施策を実施しなければならない。

1. 読書振興のための総合計画の樹立

2. 図書館・文庫等の読書振興のための施設・設備の拡充(以下の項略)

第47条(読書教育等) 1)国家と地方自治団体は他の法律の規定によって,すべての国民に読書教育の均等な機会を提供するため努力しなければならない。

第48条(読書の月の行事等) 1)国家は国民の読書意欲を鼓舞し,読書の生活化等読書振興活動に対する国民の積極的な参与を誘導するために「読書の月」を設定しなければならない。

2)国家または地方自治団体は読書振興に功績のある者と読書実績の優秀な者等を褒賞または表彰し,奨学金を支給することができる。

第49条(学校等の読書振興活動) 国家と地方自治団体は,学校および職場に所属している学生または職員等の読書活動を活性化するため学校・職場に読書の集まりを設けるように奨励しなければならず,その集まりの育成のために必要な施策を講究することができる。

大口里子(おおぐちさとこ)

Ref:「図書館■読書振興法国会通過」『国会図書館報』31(2)100-109,1994[■はハングル]