E387 – 韓国,読書運動加熱の一方で

カレントアウェアネス-E

No.67 2005.10.05

 

 E387

韓国,読書運動加熱の一方で

 

 韓国では,1994年に図書館及び読書振興法(CA1018参照)が制定・施行されて以後,毎年9月は「読書の月」として,地域ごとに読書感想文の表彰や読書会,シンポジウムなどが開催されてきた。特に2001年からは,大韓出版文化協会や韓国図書館協会を含む多数の団体による「本を読む社会づくり国民運動」(CA1504参照)の開始をきっかけとして,テレビや新聞等で読書を呼びかけるプログラムが盛んに実施された。2002年からは文化観光部による青少年読書運動も開始され,官民一体となった活動は,読書熱風と形容されるほどであった。この2005年9月も,朝の読書運動,読書リレー運動,本の即売会,ブックフェスティバルなど,各地でさまざまな催しが展開された。

 このような活動の一方,2つのニュースが波紋を投げかけている。1つは6月15日に発表された,米国の市場調査会社・NOPワールドによる世界30か国の文化スコア調査である。この調査は,各国民の1週間あたりのテレビ,ラジオ,インターネット,読書の平均時間を算出したものであるが,韓国の平均読書時間は最下位の3.1時間(1位はインドの10.7時間,日本は4.1時間で29位)であった。このニュースは各新聞で一斉に取り上げられ,読書時間の少なさを憂える論調が掲載された。

 もう1つは2004年10月に教育人的資源部が出した,2008年度以後の大学入学制度の改善案である。この案では,2007年の高校新入生から,教科別の読書履歴を記録し,点数に換算して大学入試に反映するとしている。このニュースには読書に関する市民団体などが反発し,撤回を求めたデモなどが行われている。

Ref:
http://www.gfkamerica.com/news.asp?go=news_item&key=179
http://www.munhwa.com/opinion/200506/29/20050629010131371710025.html
http://www.donga.com/fbin/output?f=i_s&n=200506300071&main=1
http://www.moe.go.kr/news/news03-01.html?Mode=2&Board_MainNo=840
http://www.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=200509081738011&code=210000
http://news.busanilbo.com/cgi-bin/SRCH/textdisp?date=20050905&time=1009111912
CA1018
CA1504