CA737 – 韓国の「図書館振興法」成立 / 大口里子

カレントアウェアネス
No.141 1991.05.20


CA737

韓国の「図書館振興法」成立

韓国の「図書館振興法」は,今年2月7日第152回臨時国会本会議を通過,3月8日公布された(法律第4352号)。法は9章46条と付則から成る。ひきつづき「図書館振興法施行令(大統領令)」等が制定された。『朝鮮日報』1991年3月30日の記事によれば「国務会議は3月28日,図書館振興法施行令とそれに伴う文化部および所属機関職制改定案を審議・議決した。これにより国立中央図書館を中心とする図書館業務を文教部から文化部に移管するための法制整備がすべて完了した」とある。

韓国の「図書館法」は1963年10月28日法律第1424号として制定されたが,それが改定されたのは25年後のことで,1987年11月28日に改正図書館法(法律第3972号)が公布された。この改正は韓国の図書館界の宿願であっただけでなく,教育界,言論出版界など各界の期待を担ったものであった。しかし「図書館振興法」の成立により,「図書館法」は廃止された。

現在,韓国の図書館数は国立中央図書館1,国会図書館1,公共図書館195,大学図書館301,学校図書館6,055,専門・特殊図書館334,合計6,889館になっている。公共図書館は今まで学生らの入試用勉強部屋または読書室程度としか利用されていないのが実情のようである。

今回の「図書館振興法」の提案者李御寧文化部長官は,提案理由として「今日の図書館は教育情報および文化の中心機関としての機能と役割を担うことが大きく要求されている」こと,また「今までの教育的機能の他に各種文化施設と協力,地域文化発展の核としての役割を担い,国民の文化の向上のための,情報の利用と流通を活性化すること」をあげている。

「図書館振興法」の骨子は次のとおりである。

  1. 文化部長官に所属する図書館発展委員会を置く。図書館発展委員会は,図書館発展基本政策,図書館協力網の構成および運営,図書館振興基金の管理・運用,その他図書館振興政策に関して文化部長官が付議する事項等を行う。
  2. 国立中央図書館を文化部長官所属とし,国家代表図書館としての業務を行う。各種書誌の作成および標準化と国際標準番号(ISBN・ISSN)の付与,他の図書館に対する業務,文化活動および生涯教育の指導・支援を行う。資料の納本対象を図書のみでなく,逐次刊行物,音盤・ビデオなどに拡大する。
  3. 文化施設との協力。図書館はその目的を達成するために文化院,博物館,美術館等各種文化施設と協力する。
  4. 「図書館振興法」は公布後1カ月経過した日から施行される。

大口里子(おおぐちさとこ)

Ref: 朝鮮日報1990. 9. 21 ; 1991. 3. 30
毎日経済新聞1991. 2. 12