E607 – 韓国国会の「立法調査処」新設と国会図書館の職制改革

カレントアウェアネス-E

No.100 2007.02.14

 

 E607

韓国国会の「立法調査処」新設と国会図書館の職制改革

 

 2006年12月26日,韓国国会の本会議で「国会法一部改正法律案」および「国会立法調査処法案」が可決された。これにより,国会議長直属の機関として「立法調査処」が新設されることとなった。

 この立法調査処は2005年6月,当時の国会議長が,専門的な政策情報を生産し,国会議員の立法政策提案力を向上させるための機関として必要性を訴えて以来,1年半あまり検討が続けられてきたものである。その位置付けは米国議会図書館(LC)の議会調査局(Congressional Research Servicecenter: CRS)をモデルとしており,独立性・中立性を保ちながら,立法活動を支援するものとされている。その職務は,(1)国会の委員会または国会議員が要求する事項の調査・分析および回答,(2)立法・政策関連の調査研究および情報の提供,(3)立法・政策関連資料の収集・管理および普及,(4)国会議員研究団体に対する情報の提供,(5)外国の立法動向の分析および情報の提供,の5つと規定されており,これらを処長以下90名程度の立法専門の職員が担うことになる。国会ホームページ内のニュースによれば,実際の活動開始は,2007年8月末の予定とされている。

 このような国会改革の動きに対し,韓国国会図書館も2006年12月,職制を改正し立法情報サービス機能を拡大している。具体的には,立法情報に関するレファレンス,立法情報に関するデータベースの構築,海外資料の調査・翻訳などの業務を担える専門家を,契約職公務員として配置できるようにし,人員を拡大した。また同時に,電子図書館政策を担う電子情報政策課と,民間ポータルサイトや海外の図書館との協力業務を担う広報協力課の2課が新たに設置されるとともに,資料の収集・整理・閲覧などを担う部門では機能統合も行われた。

 立法情報サービスに関して国会図書館を取り巻く環境は,立法調査処の設置,またその他の競合機関の存在により,今までとはまったく違ったものとなった。国会図書館も絶えず変化していかなければならず,今回の職制改正はそのための第一歩である,とノ・ウジン国会図書館広報協力課長は述べている。立法調査処がどのように組織され,活動していくのか,また国会図書館はどのような形で存在意義を示し,進んでいくのか,今後の動向が注目される。

Ref:
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/175861_100.HWP.PDF
http://www.assembly.go.kr/brd/news/news_vw.jsp?newsId=4530
http://www.assembly.go.kr/brd/news/news_vw.jsp?newsId=4602
http://www.nanet.go.kr/libinfo/data/pdf/rule1.pdf
http://www.nanet.go.kr/libinfo/data/new_library/200701_04_nal.pdf