E1292 - NIIと大学図書館が協力して構築する新たな学術情報基盤の構想

カレントアウェアネス-E

No.215 2012.05.24

 

 E1292

NIIと大学図書館が協力して構築する新たな学術情報基盤の構想

 

 国立情報学研究所(NII)の学術コンテンツ運営・連携本部図書館連携作業部会が,「電子的学術情報資源を中心とする新たな基盤構築に向けた構想」(2012年3月付け)という報告書を公開した。同作業部会では,2009年3月にNII及び大学図書館の取り組むべき課題について示した「次世代目録所在情報サービスの在り方について(最終報告)」(E923参照)を公表している。今回の報告書は,その後の学術情報流通の状況を再確認し,NIIの今後の構想について検討した結果をまとめたものである。

 報告書は,まず,「電子情報資源の急速な拡大」「目録情報の価値の変化とLinked Open Dataの展開」「電子情報資源の確保とコレクション構築」「統合的図書館システム」という4つの観点から現状及び課題を整理している。あわせて,国内外の関連機関―OCLC,HathiTrust,JISC,科学技術振興機構(JST),国立国会図書館(NDL)―の動向を紹介し,大きく変わりつつある学術情報流通の「いま」をまとめている。それらを受けて,今後の日本の学術情報基盤の方向性を,(1)電子情報資源の確保,(2)メタデータのオープン化と相互接続性(相互運用性)の確保,(3)統合的発見環境とシステム基盤,という3点に集約している。更に,「電子コレクション構築」及び「システム整備」という2本の課題について今後実施していく内容を具体的に示している。

 このうち,システム整備については,「電子リソース管理データベース」(ERDB)と「統合インデックス」という2つのシステムの構築を新規に検討するとしている。ERDBは,全国の大学図書館が契約した電子リソースの書誌データ・契約データ・利用統計データ等を一元的に管理するためのシステムであり,民間のナレッジベース等を活用して構築し,SaaS型のクラウドサービスとして大学図書館に提供するということである。また,統合インデックスは,国内外の様々な学術情報を網羅的・効率的に発見するための「資源発見システム」の基盤として整備するもので,その開発においては,名寄せ,識別子,学認(CA1736参照)等のNIIの研究成果を活用するとしている。

 報告書は最後に,上記の基盤整備のためには持続的な推進体制を確立することが必要であると述べている。今後はそのために,2010年10月にNIIと国公私立大学図書館協力委員会の間で結ばれた連携・協力の推進に関する協定に基づいて,NIIと大学図書館が密に連携した推進体制を整備していくということである。また,新たなコンテンツやシステムの導入に当たって,利用者ニーズの調査や他機関との重複回避等のための調査研究や実験的プロジェクトを実施することを想定し,大学図書館職員や研究者から構成される調査研究体制を整備することが必要であるともしている。

(関西館図書館協力課・林豊)

Ref:
http://www.nii.ac.jp/content/archive/pdf/content_report_h23.pdf
http://www.nii.ac.jp/content/justice/documents/kyoteisyo_20101013.pdf
CA1762
CA1736
CA1727
E923