2025年10月30日、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)が“Subscribe to Open”(S2O)の試行プログラムを2025年末で打ち切ることを発表しました。
S2Oは年間購読収入を基に、年単位で学術誌をオープンアクセス(OA)に転換する出版モデルです。一定数以上の機関が購読契約を行い、購読収入が十分な額に達した場合に、その年に刊行される当該誌の巻号がOAとして公開されます。AIP Publishingでは2024年から、“Journal of Applied Physics”と“Physics of Plasmas”の2誌で試行的に導入していました。
打ち切りの理由としては、S2O、“Read and Publish”契約等の複数のモデルを並行して維持するのは、著者と図書館の双方にとって負担であり、持続可能ではないと判断したこと、一部機関の購読中止等もあり、運用コストが増大する中、ジャーナルの今後の成長に向けた収益確保の見通しが立たなかったこと等が述べられています。
Evolving Our Open Access Strategy: AIP Publishing Concludes the Subscribe to Open Pilot(AIP Publishing, 2025/10/30)
https://publishing.aip.org/about/news/evolving-our-open-access-strategy-aip-publishing-concludes-the-subscribe-to-open-pilot/
参考:
英国王立協会、2026年から同協会が発行する学術誌8誌において“Subscribe to Open”モデルを導入 [2025年08月08日]
https://current.ndl.go.jp/car/256563
Taylor & Francis社、“Subscribe to Open”試行が成功:一部のジャーナルをオープンアクセスで公開 [2025年04月14日]
https://current.ndl.go.jp/car/251569
米国生理学会、2025年から“Subscribe to Open”モデルを導入すると発表 [2024年03月05日]
https://current.ndl.go.jp/car/210687
E2801 – Subscribe to Open(S2O)の現状と課題
カレントアウェアネス-E No.504 2025.07.03
https://current.ndl.go.jp/e2801
