米・サンディエゴ市中央図書館における警備員増員とナロキソンの追加導入:館内における薬物の過剰摂取や自殺未遂への対応(記事紹介)

米・ロサンゼルスタイムズ紙に、2022年12月17日付で、記事“La biblioteca del centro de San Diego podría contar con más guardias de seguridad y naloxona para frenar sobredosis e intentos de suicidio”が掲載されています。米・サンディエゴ市中央図書館における、薬物の過剰摂取や自殺未遂の抑制のための警備員増員とナロキソンの追加導入に関するものです。

同館で自殺未遂や薬物の過剰摂取が発生していることを懸念し、市当局は警備員の増員と訓練の徹底を提言しているとあります。記事によると、市当局が発表した新しい計画では同館にさらに2人の警備員を配置する予定で、1人は最上階からの自殺未遂を防ぐため、もう1人はトイレや階段の吹き抜けなど隠れた場所での薬物使用に対処するためだとしています。またすべての警備員は、薬物の過剰摂取とみられる症状が出た人に対する拮抗薬のナロキソン投与の訓練を完了することになるとあります。

関係者による話として、同館では2019年7月以降36件の過剰摂取事故、263件の違法薬物の使用または所持があったとしています。また、2021年11月に警備員によるナロキソンの投与が開始されて以降17人が同薬を投与され、命を救われた可能性があると述べられています。

La biblioteca del centro de San Diego podría contar con más guardias de seguridad y naloxona para frenar sobredosis e intentos de suicidio(Los Angeles Times, 2022/12/17)
https://www.latimes.com/espanol/california/articulo/2022-12-17/mas-guardias-de-seguridad-y-narcan-para-la-biblioteca-del-centro-de-san-diego

参考:
米・シアトル公共図書館、職員がオピオイド拮抗薬を投与することを許可 2022-10-03
https://current.ndl.go.jp/car/46926

図書館はホームレスの解決策の一部であるべきか(記事紹介) 2022-09-20
https://current.ndl.go.jp/car/46853

米・公共図書館協会(PLA)とOCLC、米国の公共図書館の「オピオイド危機」対応に関する共同プロジェクトの成果を公開 2019-11-08
https://current.ndl.go.jp/car/39471

薬物使用の場として利用される米国の公共図書館(記事紹介) 2016-09-13
https://current.ndl.go.jp/car/32529

E2270 – 米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する研究報告書
カレントアウェアネス-E No.393 2020.06.25
https://current.ndl.go.jp/e2270