米・シアトル公共図書館、職員がオピオイド拮抗薬を投与することを許可

2022年9月28日、米・シアトル公共図書館が、オピオイドの過剰摂取を急速に回復させる薬であるナロキソン(naloxone)を職員が投与できると決定したことを発表しました。

オピオイドの過剰摂取とみられる症状が出た図書館利用者に対し、訓練を受けた図書館員が必要に応じて図書館側が提供するナロキソンを投与することが可能になるものです。

緊急時に利用者を助けるための手段を持つことに職員が関心を示したこともあり、同館は数か月にわたり法的な問題や安全性について検証してきたとし、責任等について市の関連当局の検証などを含む慎重な審議プロセスを経て、決定に至ったとしています。

ナロキソンの投与はあくまで図書館職員がボランティアとして行うものであるため、図書館における薬の入手はこうした職員の在否によることになり、図書館の敷地内でオピオイドを過剰接種した利用者がいつでもナロキソンの投与を受けられるわけではないとしています。また、利用者の医療に関する図書館としての第一の手段は引き続き消防局の専門知識に委ねることであるとし、ナロキソンの投与は911へ通報した後の処置となるとしています。

なお、地元紙The Seattle Timesによると、シアトルのあるワシントン州の合成オピオイドによる過剰摂取による死亡は2019 年から 2020 年にかけて倍増し、予備データでは、2021 年にさらに増加するとしています。

Library Staff to Be Authorized to Voluntarily Administer Naloxone(The Seattle Public Library Shelf Talk Blog, 2022/9/28)
https://shelftalkblog.wordpress.com/2022/09/28/library-staff-to-be-authorized-to-voluntarily-administer-naloxone/

Seattle Public Library staff authorized to administer naloxone(The Seattle Times, 2022/9/29)
https://www.seattletimes.com/seattle-news/seattle-public-library-staff-authorized-to-administer-naloxone/#:~:text=The%20Seattle%20Public%20Library%20will,opioid%20overdoses%2C%20officials%20said%20Wednesday.

参考:
米・公共図書館協会(PLA)とOCLC、米国の公共図書館の「オピオイド危機」対応に関する共同プロジェクトの成果を公開
Posted 2019年11月8日
https://current.ndl.go.jp/node/39471

E2270 – 米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する研究報告書
カレントアウェアネス-E No.393 2020.06.25
https://current.ndl.go.jp/e2270