2024年3月27日、米・ロサンゼルス郡図書館が、オピオイド拮抗薬であるナロキソンを配布する「ナロキソン・クリニック」を拡大して実施すると発表しました。
ロサンゼルス郡公衆衛生局との協力によるもので、6月26日までの毎週水曜日に10館で実施されます。利用者にはナロキソンキットが無料で配布され、身分証明書等の提示は不要とあります。キット配布時には薬の適切な投与方法に関するトレーニングが行われます。
ナロキソンは、麻薬性鎮痛薬であるオピオイドの過剰摂取の影響を速やかに回復させることができる点鼻薬です。「ナロキソン・クリニック」の取組は、同郡におけるオピオイドの過剰摂取による死亡の急増に対処することを目的としています。クリニック実施館の図書館職員は、サポート等を提供するための研修を受けているとあります。
発表によると、同郡では2016年から2022年にかけて、強力な合成オピオイドであるフェンタニルの過剰摂取による死亡者数が109人から1,910人に増加しています。
LA County Library To Host More Life-Saving Naloxone (Narcan) Clinics In Response To Fentanyl Crisis(LA County Library, 2024/3/27)
https://lacountylibrary.org/la-county-library-hosts-naloxone-clinics/
Naloxone (Narcan) Clinics(LA County Library)
https://lacountylibrary.org/naloxone/
参考:
米・バイデン政権、 組織等に薬物の過剰摂取から命を救うための行動を喚起する“White House Challenge to Save Lives from Overdose”を開始:図書館界等による取組も紹介 [2024年03月18日]
https://current.ndl.go.jp/car/211602
米・サンディエゴ市中央図書館における警備員増員とナロキソンの追加導入:館内における薬物の過剰摂取や自殺未遂への対応(記事紹介) [2022年12月28日]
https://current.ndl.go.jp/car/169249
米・シアトル公共図書館、職員がオピオイド拮抗薬を投与することを許可 [2022年10月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/46926
E2270 – 米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する研究報告書
カレントアウェアネス-E No.393 2020.06.25
https://current.ndl.go.jp/e2270