英・Guardian紙に、2022年12月4日付で論説記事“ The Guardian view on local libraries: a resource that must be protected”が掲載されました。
記事は、英国における生活費の危機により、図書館が本を読んだり学んだりするだけでなく、暖をとる場所としてその役割に新たな光が投げかけてられているとし、図書館が衰退することは許されないとしています。
英国では連立政権が緊縮財政の時代を迎えて以降10年間で25%の支出削減が行われた結果、2019年までに数百の地方分館が閉鎖されたとあります。また、パンデミック下のロックダウンによる閉館や分館閉鎖によって貸出数や来館者数が大幅に減少したことにより、図書館の存亡の危機がさらに高まったとしています。一方で、生き残った図書館はフードバンクを兼ねる、あるいはホームレスの人々への対応に取り組むなど、コミュニティの中心となっていることを紹介しています。
Libraries Connectedが図書館長を対象に行った最近の調査では、今後2年間について、回答者の半数以上が蔵書の削減を、また45%が人員削減を想定していることが明らかになったとしています。さらに、約25%が分館を閉鎖せざるを得ないと考えていると回答したとあります。
記事は、下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会が、11月に公開した報告書“Reimagining Where We Live”の中で中央政府が支援を強化するよう求めたことについて触れ、政府が支援に乗り出すことは極めて重要であり、そうしない場合の代償は想像を絶すると結んでいます。
The Guardian view on local libraries: a resource that must be protected(The Guardian, 2022/12/4)
https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/dec/04/the-guardian-view-on-local-libraries-a-resource-that-must-be-protected
関連:
Reimagining where we live: cultural placemaking and the levelling up agenda[PDF:68ページ]
https://committees.parliament.uk/publications/31429/documents/176244/default/
参考:
英国図書館(BL)を無料で楽しむ方法:生活費の高騰を受けて居場所を提供(記事紹介) 2022-10-13
https://current.ndl.go.jp/car/46987
生活費危機に直面している英国における社会的弱者のための図書館の取組:延滞料を廃止し、“Warm Bank”として暖かい場所を提供(記事紹介) 2022-10-05
https://current.ndl.go.jp/car/46944